堀江貴文「AIに仕事を奪われると歎くダサさ」

「搾取される側にいる人」たちの残念な発想

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ペッパーなどのロボットは、相手が近づいてきたことを認識して話しかけたり、人の話を聞いて何か対応するということができるようになった。しかし、料理の盛りつけなどの細やかな作業は苦手。手を使って仕事をさせるまでには、まだ少し時間がかかる、といった状況だ。

また、AIの進化自体も、「腕」によるところがあるのではないかと思う。たとえば人間も、目と耳があるだけでは急速なスピードで進化することはできない。おそらく人間以外の動物が進化しない原因もそこにあり、犬やサルも、「知能は大体2~3歳児ぐらいで止まってしまう」といわれている。理由として、脳の体積が小さいということももちろんあるが、身体性という意味でいうと、手を器用に使えていないことが大きい。

歩けるようになると手が自由になるため、多様なインタラクション(モノを持ったり、手を握ったり、字を書いたり)が可能になる。手でインタラクションができるようになると、知能は向上する。たとえば人間はあいた両手で文字が書けるようになり、文明を創ることができた。

5本の指を自由自在に操れるハンドをAIが獲得すれば、人間の手は不要になる。身体性をもって外界とコミュニケーションを取るようになり、ますます急速に知能が向上していくだろう。ほとんどの作業を機械が代替する時代の到来だ。

問うべきは未来ではなく、「今」

しかし、それがいつになるのかは誰にもわからない。

見えない未来など、考えていても仕方がない。本来問うべきものは、「未来」ではなく、「今」であり、「今自分が何をすべきか」であるはずだ。

さまざまなところで何度も言っていることだが、自分の「好き」という感情に向き合い、ひたすらに没頭することだ。それがいつしか仕事になる状況が、今は増えている。それを履き違えて「AIに仕事がとられる」「AIは人間の敵だ」とただただ不安に思っているのなら、勘違いも甚だしい。

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  • NO NAMEdc03c0d29f2d
    AIが発達して、仕事を肩代わりしてくれる。
    それで世の中どうなるのか、単純化して二つの道を考えてみる。

    1
    生産性が向上し、富を人類全体が分かち合い、貧困もなくなり、総体的な幸福が訪れる。

    2
    生産性が莫大に向上し、富は生産性向上に投資した人々によって回収され、格差が極度に進む。

    極端かもしれないが、おおよその方向性はこの二つではないか。

    これまで人間は、絶えず2の道を歩んできた。過去のラッダイト運動(昨今でも「ネオ・ラッダイト運動」があるらしい)はその象徴で、2の道を歩んできた足跡を示そうとすれば、枚挙に暇がないほどだと思う。
    もし「AIこそ1の道を歩むチャンス」と言うのなら、路線変更が可能な根拠を示して欲しい。
    さもなくば、「明るい未来があるのに、わからないのはバカ」という下目遣いの言説で、富の集中のための現実隠蔽に加担していることにしかならない。たぶんそのつもりなのだろうが。
    up106
    down26
    2018/5/19 09:23
  • NO NAMEd0f30a00897e
    勉強も運動もしてこなかった人は、頭は悪いし体力も無いから、AIに代替されてしまうような仕事しかできないというのが現実

    ホリエモンが思うほど現代日本人の平均レベルは高くない
    up119
    down43
    2018/5/19 08:22
  • NO NAME95073797abcd
    ポジショントークというか、氏はBIもそうだし「お前らはなにもせず大人しく搾取されてろや」というスタンスなので、真に受けるのはそれこそバカ。

    結局仕事を奪うのはAIではなく、AIを使用する企業。そして、それは大企業、特にグローバル企業による多くの企業の淘汰。というカタチで浸透が進む。もちろんそれらの企業はAIの活用で新たな雇用を創出などしない。生産性向上の名の下に人間の仕事を機械で置き換えていくだけ。

    同時に、組織に属するのではなく、個人で稼ぐ力を持て、というのが氏の主張でもあるが、そんなことは誰にも可能なことじゃないわけで。
    その全てを自己責任という個人の責任に押し込めることで、超格差社会のエクスキューズにしているのが持てる側の本音。
    up90
    down20
    2018/5/19 11:00
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