本文は不慮の死を遂げた関東居住『柴田歩(しばたあゆむ)』に代わり筆を取る。


    故人が周囲一同へ迷惑が向かないよう気を使った為か、加害者の取った行動の真意が何の勘違いか知る由は無く名を知る事も無い手前共、名義名目を定義し直接警告する事には該当しない。


    毎日活気溢れる生活を送る中、想い描く創作活動を成し遂げたいという望み叶わぬまま歩は殺された。両親家族、友人一同は連日悲しみに暮れるばかりである。


    アニメ、漫画、ゲームが大好きでいつも自分や友達と見せ合っては可愛らしい元気な笑顔を見せてくれた歩があまりの苦痛から泣きに泣いて、自ら死を選ぶまでの非常事態になるとは誰もが思わない悲劇だ。


    加害者などが、学校に通いながらイラストや文章書きの努力に励んでいた女の子が「もうやだ、インターネットって怖すぎる。もう誰かを信用なんてできないよ」と身体を震わせて号泣した様を想像できやしないだろう。


    まして、自分に至ってはパートナーとなる重要な存在。友人共、皆が大切に解り合っていた仲。それが歩も自分達も、楽しかった笑顔が泣く事で崩れるだけにしかならなかった。


    加害者が誰とはっきり判らないまでも、歩の友人達は「絶対に許せない」とまで怒りに震えるばかりだ。


    動きは最小に留めたが、調査では歩が最大限に受けていたメール文章や状況などから、殺人罪が成立する事は確実と判断された。


    歩のパソコン内に遺っていた妙な受信メール内容を見る限り、公がどうだのや罪にならないだのと下らない文ばかりが見られたが、インターネット被害の立証は十分に可能であると確認されている。


    安心させてやる、事を先に大きくなど全く動かしてはいない。このまま下記の通りにすれば事無きを得る。それでも次に勝手な勘違いから舐めた真似をしたが最後、貴様を殺人の罪で完全に終わらせる。


    そもそも貴様に告訴だなんだとふざけた文を送信され何度も追いやられた、明るい夢を見続けていた若い女の子はとっくにこの世を去ってしまっている。対象となる当人亡き以上、告訴うんぬん何一つできやしないのだ。


    加害者が開放感を得る為に殺したかった相手を殺せて望み叶ったぶん、もう十分に快楽を得て満足しただろう。いい加減、ここらで何もかも全て棄てて終わらせてくれやしないだろうか。


    大切な命を取り戻す事もできなければ、くだらない何を立証する価値も沸かない以上、歩の関係者の要求を受け入れ、二度と関連しないと内々に誓って静かに去りさえすれば、本件は先に動く事無く、此方で全てを棄却する。


    日程詳細は決めないが五月下旬までに、歩が間違って渡してしまったという未完成の作品、歩と交流した記憶を完全に消去、削除しろ。


    そして先の通り、歩に関係する事柄、周囲などへ二度と関わらない事を誓え。頼む、お願いだ。これ以上、大事な頑張りを形にしていた歩と、一緒にいられた自分達の笑顔を傷付けないでくれ。


    貴様が何もしていないと思い込んでヘラヘラ笑う事は勝手だが、ふざけた軽い気持ちがこれだけ大切な故人と内縁の者達を泣かせ、あまつ死に追いやるのだという事を少しは理解するべきだ。


    以上を以て数日にて本ページを棄却し、全関連を遮断するものとする。    柴田家 関係者 一同