時代の要請です。
Google(グーグル)の親会社であるAlphabetには、Jigsawというグループが存在します。地政学的な問題に関する、サイバーセキュリティ開発を目的としたグループですが、そんなJigsawが取り組んできたプロジェクトにProject Shieldがあります。これはDDoS攻撃からウェブサイトを守るためのツールで、ジャーナリストや人権保護団体、選挙管理委員会のウェブサイトを守るために使われてきました。
そんな中、アメリカでは中間選挙が近付いてきておりProject Shieldは候補者、選挙キャンペーン、そして政治活動委員会も含まれるよう、対象が拡大されることになりました。 アメリカで急激に膨れ上がっている選挙システムへのハッキングに対する不安。それに対応する形です。
DDoS攻撃はウェブサイトにジャンクなトラフィックを大量に送ることでシャットダウンさせてしまい、正当な訪問者もアクセスできなくする攻撃です。Project ShieldはGoogleの巨大なインフラを活用してトラフィックをフィルタリングし、正当な訪問者のトラフィックだけを通すことでこの攻撃を無効化します。
Jigsawの広報担当者であるDan Keyserling氏は公式ブログで次のように述べています。
民主政治のための組織・団体をターゲットとしたデジタル攻撃はアメリカでも世界中でも激しさと頻度を増しています。コンピューターシステムとサーバーを膨大なトラフィックで圧倒するというDDoS攻撃は政治的な表現や有権者が必要な情報にアクセスする権利を消してしまいます。政党、選挙キャンペーン、政治組織はますますターゲットとして攻撃されるようになっています。民主主義のプロセスにおいてこういった組織は非常に重要な役割を担っており、我々が世界中のニュース組織に提供しているものと同様のサイバー対策を受ける価値を持っています。
ちょうどアメリカ合衆国国土安全保障省が「2016年の大統領選挙において、ロシア人ハッカーが21州の選挙システムをターゲットにハッキングした」と発表したばかりです。Googleには政治プロセスを保護するさらに大規模な「Protect Your Election(あなたの選挙を守れ)」プロジェクトが存在しています。Project Shieldはその一環となっているようです。
インターネットの発展で多くの人が膨大な情報にアクセスできるようになりましたが、その一方でサイバー攻撃や偽ニュースが民主主義の根幹を揺るがす時代にもなりました。時代を反映した取り組みです。
Image: shutterstock
Kate Conger - Gizmodo US[原文]
(塚本 紺)