2018年のゴールデンウィーク、福島県いわき市へ行きました。
子供のころから数えきれないほど遊びに行っている親戚の家。
そこで見た求人広告に福島県の変化を感じました。
普段、福島の情報を気にしていても、離れた所に住んでいると気付かない現実があります。
記憶はいつか薄れてしまうので、ブログに記録しておきます。
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福島県浜通りといわき市について
福島県は大きく3つの地域に分けられます。
出典:いくべ福島へ!(ikube福島) - ふくしまの旅[公式]
浜通り(はまどおり)、中通り(なかどおり)、会津地方(あいづちほう)。
いわき市は浜通りの南端に位置しており、茨城県と隣接しています。
面積は東京23区の倍近く1,232 km²と広く、人口は約34万人です。
福島県は東北電力管内ですが、浜通りには東京電力の発電所が 3つあります。
福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所、広野火力発電所。
原発事故後、県外からいわき市へ行かれた方が「いわき市の原発が近くに見える。怖い。」というような発言をTwitterでされていましたが、いわき市に原子力発電所はありません。
勿来(なこそ)火力発電所を見て「原発」と誤解されたようでした。
除染から中間貯蔵施設へ
これは東日本大震災の翌年、2012年8月にいわきの親戚宅で撮影した求人チラシの一部です。
この頃は除染作業員の求人をよく見かけました。
1枚の求人チラシに除染作業員の求人が5社くらい掲載されていたのを覚えています。
そして今回、震災から7年2ヶ月後の2018年5月。
チラシを開いて目に飛び込んできたのは「中間貯蔵施設」に関係する求人でした。
それも 2つ。
中間貯蔵施設とは、除染で取り除いた土や放射性物質に汚染された廃棄物を、最終処分をするまでの間、安全に管理・保管するための施設です。
双葉町(ふたばまち)と大熊町(おおくままち)にまたがり、福島第一原子力発電所を取り囲む1600ヘクタールの敷地に建設されるそうです。
除染から中間貯蔵施設へと計画は確実に進んでいるんですね。
参考:中間貯蔵施設の概要|中間貯蔵施設情報サイト:環境省
中間貯蔵施設について|除染情報サイト:環境省
うれしい再始動
「本当に?」と目を疑った求人広告がありました。
7月28日再始動。これはどこの求人かというと……
Jヴィレッジ!
Jヴィレッジは1997年に日本初のサッカーナショナルトレーニングセンターとして開設。
W杯サッカー日本代表のトレーニングキャンプをはじめ、各種カテゴリーの大会・合宿等で多くのチームに利用されてきました。
敷地は広野町(ひろのまち)と楢葉町(ならはまち)にまたがっています。
福島第一原子力発電所での事故発生後は、事故対応拠点として2017年3月まで使用されていました。
芝のフィールドはヘリポート・駐車場・除染場・作業スペース・資材保管場所として使われ、アスファルト や砂利が敷かれたところも。
また、第一原発の作業員さんがここで作業服(防護服)に着替えて原発に向かう「中継基地」にもなっていました。
当時、変わり果てたJヴィレッジを見て「もう二度とサッカー場として使われることはないんだ」と悲しくなりました。
東日本大震災から7年4カ月の時を経て、2018年7月28日(土)から天然芝ピッチ5面と人工芝ピッチ1面が利用可能となり、 2019年4月までに全施設オープン予定。
Jヴィレッジに明るい未来がやってきました!
本当に良かった。
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待ってました!イオンモールいわき小名浜
チラシの大きさに驚きつつ、うれしくなった求人はこちら。
2018年6月15日(金)イオンモールいわき小名浜(おなはま)がいよいよOPENします。
「小名浜に大きなイオンができるってうわさなの」と最初に聞いたのは、震災前だったような気がします。
その後、建設予定地は津波浸水、そして原発事故。
小名浜にイオンはできないと諦めていました。
2015年12月1日のいわき経済報には、こんな記事が。
2016年3月1日の開業予定は、大幅に遅れる見通しとなっているが、さらに遅れること必至。
規模縮小、大幅見直しもありうるという。
最終的には、進出断念もありうるが、同市と協定書にサインしているため、同背後地に整地も進み、インフラ整備も順調なことから道義的に白紙には戻せないという。
いわき経済報より引用
紆余曲折の長い長い道のりでしたね……
場所は、体験型水族館のアクアマリンふくしま(小名浜港2号埠頭)と、いわき市観光物産センターいわき・ら・ら・ミュウ(1号埠頭)のすぐ近くです。
地上5階建てのイオンモールいわき小名浜は、東日本大震災の経験を踏まえ、防災面に配慮した設計になっています。
1階は津波対策を考慮してピロティ駐車場、2階から5階に商業施設を設置。
3階より上は津波避難ビルとして施工されています。
地震などによる災害が発生した場合は、営業時間内だけでなく閉店後の夜間もペデストリアンデッキ(歩道橋)と接続した店内通路や屋上などを開放し、一時的に避難者を受け入れる機能があります。
出典:http://iwakionahama-aeonmall.com/files/pdf/3/pdf.pdf
このペデストリアンデッキは港の方向にも伸びているため、アクアマリンパーク(小名浜港1・2号埠頭地区)の観光客なども安全に避難することができます。
このほかにも非常用水として使用できる受水槽、非常用電源設備、耐震性の高い壁と天井。
イオンモールいわき小名浜は地域に雇用とにぎわいをもたらすだけでなく、防災拠点として安心を与えてくれるでしょう。
最後に
東日本大震災後、私はいわき市で災害ボランティアに参加しました。
そこで目にしたのは、記憶の中のいわきとは異なる風景。
特に沿岸部を訪れたときは、あまりの変わり様に言葉を失いました。
「あの楽しいいわきは消えてしまったんだ……」
ボランティアの帰り道、強い喪失感に襲われました。
建設中のイオンモールいわき小名浜(奥)と小名浜さんかく倉庫(2017年4月撮影)
震災から7年、中間貯蔵施設の計画が進み、Jヴィレッジは再始動。
小名浜には新しくイオンモールがOPENします。
少しずつ変わっていく福島県浜通り、いわき市。
前を向いて一歩一歩進めば、明るい未来を作っていける。
いわき市の求人広告から、私はそんな事を感じました。