優秀なインド人が日本を微妙に避ける事情

プロフェッショナル人材が求めているのは?

プラブネ:ちょっとおもしろいエピソードがあります。私には高校生の娘がいて、東京・江東区のインド系インターナショナルスクールに通っているんですが、この学校ができた2004年当時はインド人生徒だけだったんです。

でも、2007年ごろインド式計算がブームになって、私自身も関連本を編集したり、本(晋遊舎『インド式計算パズルインドラ―遊びながら数字に強くなる魔法の計算パズル』)を書いたりしたのですが、その頃から日本人の子どもたちが入学するようになったんですよ。

今、娘のクラスは、14人が日本人。インド人が5人。日本人のほうが多い。この子たちは日本人として日本にいながらインドの文化の中で暮らしているわけです。彼らが世の中に出ていく時にはグローバル人材になっているでしょう。

日本は「オンリーワン」になるべき

プラブネ:そう考えると、海外から人を呼ぶより、自分の国でグローバル人材を育てたほうがいいんじゃないかと思うんです。必ずしも海外から人を呼べば社会がよくなるわけではないですから。異なる文化を我慢するのではなく、受け入れることは結構難しいですからね。

――しかし、今、日本人口が急激に減っています。海外からの雇用や、海外市場への進出は避けられないのでは。

プラブネ:人口減はいいことじゃないですか。

――え!? いいことですか?

グローバルは大事だけれど、自分のアイデンティティを守ることも大事だと語る、ヤンマーのショハルフベック氏(撮影:尾形文繁)

プラブネ:私は理想、というか、必ずしも悪いことじゃないと思うし、ライフスタイルを見直す機会だと思う。世界で1位になりたいのであれば、それなりの経済パフォーマンスが必要だけれども、SMAPの歌にも「ナンバーワンにならなくてもいい、もともと特別なオンリーワン」とあるでしょう? オンリーワンになれば、人口に頼る必要はありません。

私は仕事でいろいろな社長さんに会うんですけど、必ず「日本でモノが売れないのは、人口減少が……」という話になります。そうじゃなくて「売れるモノを作ってないだけじゃないの?」と思う。特別なオンリーワンを見つけるといいと思います。

ショハルフベック:僕は日本に来るまでまったく海外に出ていないんです。でも、日本の大学に来て、めっちゃ人生が変わった。物事をいろいろな立場から見られるようになりました。(出身校の)立命館アジア太平洋大学(APU)には、当時100カ国くらいから学生がきていた。ちょっとしたパーティや食事会でも少なくとも10カ国以上の人が集まるのです。

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  • NO NAME823909cd8233
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    よく聞く話なんですが、日本企業では、いい大学を出たスキルのある外国人社員に通訳をさせていることがある。しかも、違う部署の通訳をさせられることも少なくない。そこで本人のスキルが生かせるわけではないのでそういうのでちょっと嫌になってしまうんです。それはすごくもったいない。
    ---------------------

    日本では就職の実態が就社だというのが根底にあり、終身雇用が前提だった時代に造られた文化。解雇しない代わりに本人の希望やスキルとは関係ない仕事をさせることが認められていた。

    今、会社の中で管理職以上になっている人は、この制度の中で育ったので何の疑問も持っていない。むしろ当たり前だと思っているので、自分のスキルを活かすために他へ転職することに偏見を持っている。

    結果、皆が嫌々仕事をしていて、これが日本の生産性を下げている。
    up190
    down0
    2018/5/18 06:27
  • NO NAME8e0d80773e28
    日本企業は、日本人に対してさえ、どういう仕事をしてほしいのか明確に示すことができていないと思います。
    優秀な外国人に来てもらいたいなら、まず隗より始めよ、です。
    up123
    down0
    2018/5/18 08:06
  • NO NAMEee91343c16f5
    米国留学、駐在経験者として意見させていただきます。
    日本が長く低迷している中、今後外国人の受け入れは必須ですが、まだまだ課題が多く残されていると感じています。

    まず。多人種国家の欧米と単一民族国家の日本とでは、「異文化理解力」が圧倒的に不足していると感じます。
    特に、企業の中枢を担っている40代以上は、飲み二ケーションや残業など、仕事>プライベートの世代なので、プライベート・個人重視の外国人マインドはなかなか理解出来ないでしょう。
    米国暮らしが長かった私ですら、時に異端児的な目で見られますから。
    ここを改善しなければ日系企業に優秀な外国人は集まらないと思います。

    内需が先細る日本にあって、外国に活路を見出すために優秀な外国人がもっと必要です。
    島国マインドを変えていかなければ、「日本の未来は世界が羨む」という状態にはならないでしょう。
    up98
    down16
    2018/5/18 08:29
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