70年かけても女性候補者率が2割に満たない体たらくでは法律で努力を求められても仕方ないとしか言えない

「国と国民の命を預かる仕事に男女を持ち込まないでほしい」「候補者男女均等法」に対する自民党部会で反対してきた小野田紀美議員の意見
今さらこんな低レベルの「意見」が出ているのが何とも。

まず、個人的な意見を表明しておきます。
本来、候補者を男女均等にするための努力目標などは不要であるべきだろうというのが基本的な考えです。ただしそれには前提条件があり、選挙に立候補する上で男女間に制約の差がない、というのがそれです。

もちろん、現在日本において、立候補に際し法的制約に男女間差があるわけではありませんが、制約というのは別に法的なものに限りません。経済的あるいは社会的なものも制約の一つであり、それは現在日本においても尚男女間差を生み出す制約となっています。
これも基本的な認識としてですが、政治家としての根本的な資質の点において性別による差は存在しないと考えています。したがって、教育・社会参加の機会や経済的条件において男女間に差がないと仮定した場合、政治家を志す候補者の人数も男女同等になるはずだという認識を私は持っています。
ところが先の衆院選(2017年、第48回)での候補者1180人中、女性はわずか209人、17.7%に過ぎませんでした。そしてそのわずか17.7%という数字が戦後最高の数字というのが現在日本の状況です。

女性に参政権が認められてから70年以上経っているにもかかわらず、尚候補者中の女性の割合は2割に届かない状況なわけです。
つまり法的制約を取っ払いさえすれば後は放置しても自然に女性候補者が増えていく、なんてことにはならない、あるいはそのような自然増を待っていたら100年単位で時間が過ぎ去ってしまう、と言う問題があるわけです。

その状況を踏まえれば、人為的な施策として女性候補者を増やすことを推奨することには意義があると考えますし、そのために仮に“有能な男性が排除されかねないという懸念”を認めるにしても、許容されるべきだと考えます。

もちろん、候補者数を男女均等にすることが最終的な目標であってはならず、女性候補者が増えにくいという経済的・社会的制約を解消していくことにつなげる必要があるわけで、推進する側としてそれを見失ってはいけないのも確かですけどね。


それを踏まえて、小野田紀美氏のツイートについて。

小野田紀美自民党 参議院議員】 @onoda_kimi 2018-05-16 22:36:27
①候補者の均等といいますが、私は候補者に女性が選ばれづらいと感じたことはありません。自民区議の公募を受けた時、いくつかの地域の公募に応募しましたが多数OK頂きましたし、北区の公募も面接20人くらいのうち私含み2人いた女性は、3人の公募枠に両方選ばれました。女性不利ではなかった。

小野田紀美自民党 参議院議員】 @onoda_kimi 2018-05-16 22:42:22
②ただ、公募に応募してくる男女比を考えると圧倒的に女性が少ないように思います。「候補者に選ばれづらい」のではなく「そもそもやりたい人が少ない」のが現実かと。理由は様々あるでしょうが、ひとつは政治家の仕事って「家に奥様がいて家庭を全部任せて24時間仕事に費やせる」環境前提な所…?

小野田紀美自民党 参議院議員】 @onoda_kimi 2018-05-16 22:49:57
③早朝から夜までまさに24時間戦えますか状態で土日も無し、年末年始も無し、という労働環境をプライベート捨てて望む女性は少ないのではないかと思います。環境をそのままに、女性の数を均等にと無理矢理増やそうとしても良いことにはならない気がします。特に自民系は仕事に地域にどっぷりですし。

2017年衆院選での主要政党別の女性候補者の割合です。

党名 男性候補 女性候補 候補者総数 女性候補者率
自民党   307 25 332 7.5%
公明党   48 5 53 9.4%
共産党   185 58 243 23.9%
維新の会  48 4 52 7.7%
社民党   17 4 21 19.0%
希望の党  188 47 235 20.0%
立憲民主党 59 19 78 24.4%
全体    971 209 1180 17.7%

新人候補に限定するとこう。

党名 男性候補 女性候補 候補者総数 女性候補者率
自民党   42 2 44 4.5%
公明党   18 2 20 10.0%
共産党   170 52 222 23.4%
維新の会  27 3 30 10.0%
社民党   14 4 18 22.2%
希望の党  83 41 124 33.1%
立憲民主党 29 13 42 31.0%
全体    473 157 630 24.9%

単純に「公募に応募してくる男女比を考えると圧倒的に女性が少ない」のが原因ならば、政党別でこんなに女性候補者率の差が出るというのは不可解ですね。


小野田紀美自民党 参議院議員】 @onoda_kimi 2018-05-16 22:52:44
④「女性の数が増えれば環境も変わる」という人もいますが、候補者の数は無理矢理均等にできても、最終的に選挙で選ぶのは有権者です。有権者はどういう人を選ぶのでしょう。以前、区議だった時こんなことがありました。夜の会合で例によって「結婚しろ子供産め」という事を有権者に言われ続け、

小野田紀美自民党 参議院議員】 @onoda_kimi 2018-05-16 22:54:49
⑤2次専で興味ないと言っても聞かないので「じゃあ、仮に私が結婚して子供産んだとしましょう。この時間はとうに保育園のお迎えですね。夕飯も作らなきゃだし家のことするとこういう会合には出席できなくなるけどいいんですね?」と言ったら返ってきた言葉は「そんな奴に票入れねえよ」でした。

そんな有権者ばかりではありませんし、そういった意識を変えるという意味でも女性候補者数を増やすこと自体に意味があるという話にしかならないですけどね。あと「保育園のお迎え」とか夕飯を作るとか、それ別に女性がやらなきゃいけないわけじゃないですよね?

小野田紀美自民党 参議院議員】 @onoda_kimi 2018-05-16 23:04:10
⑥そんな現実もあるなかで、有権者の意識が変わらないまま数の均等を目指して選挙に出て当選するのでしょうか…。本当に女性議員を増やしたいなら、女性の立候補希望者が少ない中で無理矢理候補者の男女均等を目指すのではなくて「立候補したい、政治がやりたい」と思える環境にしていく事ではないのか

候補者男女均等法の成立自体が、有権者の意識を変えるきっかけにもなるわけですが、そういう視点は無いようです。
「「立候補したい、政治がやりたい」と思える環境にしていく事」が大事なのは誰でもわかりますが、これだけでは具体性に欠けますね。まあ、具体的な話としては、議員の産休・育休、子連れ登院の是非とか色々あるわけですが、そういったことって女性議員がいないと話が進まないのも現実ですよねぇ。
それに先の「家のことする」のは女性の役目だという思い込みも、女性が立候補することを躊躇する心理的障壁になってるんじゃないですかね。

小野田紀美自民党 参議院議員】 @onoda_kimi 2018-05-16 23:06:36
⑦まぁ、それ以前に私は政治家に男も女もないと、男女云々の前に「政治家」だと思っているので均等にする必要もないと思っているのですが。女性議員でないと女性の意見をだせないというような理論って、老若男女国民の声を背負って命がけで働いている議員に失礼じゃないですか?

小野田紀美自民党 参議院議員】 @onoda_kimi 2018-05-16 23:09:24
⑧私は性別は女ですが、私に一票を託してくれた老若男女全ての方々のイタコとなって思いを背負って政治家をしているつもりですし、女性といったって十人十色、独身もいれば既婚者もいる、子供がいる人もいるしいない人も。立場や思いなんて人の数だけあって、性別でくくれるようなものではないのでは?

政治家は国民全体の代表であって男女関係ないというのは、それはそれで立派な意見だと思いますが、それを敷衍すると選挙区といった特定の地域の代表になるのもおかしな話で、比例代表大選挙区で構わないともなりますね。「女性議員でないと女性の意見をだせないというような理論」は納得できないけど、選挙区選出の議員でなければその選挙区の意見はだせないという理論には納得してるんですかね?

小野田紀美自民党 参議院議員】 @onoda_kimi 2018-05-16 23:16:10
⑨あと、仮に候補者選定の時に政治家として100点の資質をもつ男性と、60点の女性が候補だったとして、男女比均等のために60点の女性候補に選ばざるをえなくなるのなら、それはあまりにも国益に反する行為です。大切なのは議員の男女比をそろえることではなく、日本の国益に資する議員を選ぶこと。

「政治家として100点の資質をもつ」自民党議員を屏風から出してください、というのは冗談にしても上で「仮に“有能な男性が排除されかねないという懸念”を認めるにしても」と書きましたが、当選した方々を見渡してみても、排除されても惜しくない有能から程遠い連中がごまんといるじゃないですか。
候補者選定で政治家としての資質を評価している自民党の人はそもそも、女性に「保育園のお迎え」とか夕飯を作るとかと求めてるから女性の点数を低くつけてそうですしね。
その方がよほど「国益」を毀損していると思いますよ。

それでも尚、“有能な男性が排除されかねないという懸念”があるのなら、努力義務しかない候補者男女均等法に縛られず候補者にすればいいわけですし、男女比を偏らせてでも推薦したい有能な候補者であることを訴えれば良いだけですね。自民党は今でさえ、女性候補者の比率が主要政党中最も低い政党なんですから、何を今さらという感じです。

小野田紀美自民党 参議院議員】 @onoda_kimi 2018-05-16 23:19:40
⑩無理矢理の均等は能力をもつ男性への逆差別にもなりかねませんし、女性議員だって女性というだけで「どうせ下駄履かせてもらって議員になったんだろ?」というレッテルを貼られかねないので非常に迷惑です。男とか女とかそんな事はどうでもよくて、ただただ政治家として良きも悪きも評価をしてほしい

小野田紀美自民党 参議院議員】 @onoda_kimi 2018-05-16 23:24:31
⑪まだまだ思うところは沢山ありますが、前述のようなことを自民党の部会で発言して反対し続けましたがだめでした…すみません。文字数の関係もあり、誤解を招く所もあるかもしれませんが、前述が私のおおまかな考えです。国と国民の命を預かる仕事に男女を持ち込まないでほしいと強く思います。

「国と国民の命を預かる仕事に男女を持ち込まないでほしい」とか言ってますけど、女性に参政権が認められてから70年以上も経過しているにもかかわらず、女性が「「立候補したい、政治がやりたい」と思える環境」すらろくに整備できない時点で「女性議員でないと女性の意見をだせない」と言われても仕方がない状況を作ってきたわけで、そのほとんどの期間において政権にあった自民党の責任は軽くは無いんですよね。

「国と国民の命を預かる仕事」の中には、女性が「「立候補したい、政治がやりたい」と思える環境」を整備することは含まれてなかったんですかねぇ。