THE すき焼き

沖縄の食堂にある謎メニューであり人気メニューのひとつ、すき焼き。本土のすき焼きとは似て非なるもの。県内にある5つの食堂のすき焼きを集めてみた。

昔ながらの沖縄の食堂やステーキハウスにはたいてい置いてある謎メニューのひとつ、すき焼き
ちゃんぽん」や「みそ汁」と並んで主にガテン系の男性から熱烈に支持されている人気メニューですが、本土のすき焼きとは違い”鍋物”ではありません。具材やだしの味も似ているようで、なにかが違います。

沖縄のすき焼きとはいったい何なのでしょうか?
というわけで、今回はいろいろなお店のすき焼きを食べてみました。
 

お食事処 三笠(那覇市)

インターネットで "沖縄 すき焼き" でキーワード検索すると、『みかど』と並んでたくさんヒットするのがこちら『お食事処 三笠』。以前はみかどと同じく58号線沿いにあったのですが、2016年12月に2本ほど裏通りにあたる現在の場所に移転しました。

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場所柄、わりと気合の入った雰囲気の男性が多く訪れていました。

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こちらが三笠のすき焼き 700円。
すき焼きもライスもなにやら洋風の平皿に盛られて出てきました。そしてすき焼きの皿に添えられているのはスプーン(もちろんテーブルに割り箸も置かれています)。ちなみにすべて食べきれるか不安だったのでライスは半分で!とお願いしてこの量でした。

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具材は牛肉、キャベツ、レタス、たまねぎ、春雨、豆腐、生卵。

キャベツとレタスのダブル使いというのは少し珍しいかもしれません。
豆腐は隠れて見えていませんが、野菜の下に大きめのものが隠れていました。沖縄といえばしっかりとした食感の島豆腐が有名ですが、このすき焼きに入っていた豆腐はきめ細かくぷるぷるとやわらかい感じでした。どこの豆腐だろう。

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生卵は黄身の弾力がすごくてお箸でつついてもなかなか割れませんでした。三笠、いい卵使ってますね。
全体的に甘辛い味付けだけど、野菜のだしがしっかりと出ているので意外とあっさり。春雨がどんどん汁気をすって膨らんでいくので、最初にやっつけておくことをおすすめします。

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三笠で忘れちゃならないのがこちらのバター(マーガリン)。移転後の店舗でもしっかりありました。
カウンターに置いてあるので使ったらもとに戻しましょう。

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ライスに添えるのもいいですが、今回はすき焼きにイン。汁にまろやかな甘さがプラスされて、身体に危険を感じる美味しさでした。

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ゆるキャラ発見

御食事処 三笠
沖縄県那覇市松山1-12-20
24時間営業、不定休
TEL:098-868-7469
http://www9.plala.or.jp/mikasa1/
 

だるま屋(西原町)

お次は西原町にある『だるま屋』西原店。他に、浦西にも店舗があります。

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沖縄そばとカレーがおすすめの安くて早くてボリューム満点のお店。
お昼時になると駐車場から車が溢れ出るほどの人気です。

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だるま屋のすき焼き定食 600円。
汁物代わりのミニそばまでついてこのお値段とは安い!彩り、盛り付けも美しいです。

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具材は牛肉、キャベツ、レタス、たまねぎ、長ネギ、春雨、豆腐、半熟卵。

本土のすき焼きには長ネギが欠かせませんが、沖縄すき焼きに長ネギが入っているのは珍しいほうではないでしょうか。
卵は完全な生卵ではなく、少し煮込んで白身が固まりかけの状態です。

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すごいボリュームでしたが、しっかりめの甘辛いだしの味わいと野菜の甘み、牛肉の旨味、半熟卵のまろやかさが渾然一体となって美味しくいただけました。長ネギも少し食感を残したシャキシャキ具合でいい感じ。

だるま屋
沖縄県中頭郡西原町字我謝722
営業時間:10:00〜22:00
TEL:098-945-5128

 

いちぎん食堂(那覇市)

那覇市の久茂地川沿いにある「いちぎん食堂」。24時間営業で観光客から地元客まで幅広いお客さんで賑わっているお店です。酒を飲みながらアツい仕事の話をしているサラリーマンの横で、もくもくとステーキ定食を食べるおじいさん、その向こうは観光客が出てきた料理の写真を撮っている、みたいななんともいえない独特の雰囲気が漂った空間が広がります。

メニューもかなり豊富。その中ですき焼きは630円。

いちぎん食堂のすきやき 630円
具材はしらたき、タマネギ、青菜、えのき、椎茸、牛肉、そして島豆腐のカタマリがどどんと鎮座しています。
割とあっさり目の味付けが多いように思う沖縄のすき焼きですが、割といちぎん食堂のすき焼きは濃い味です。青菜も異様にシャキシャキしていたのですが、なんか別の野菜だったのかもしれません。

卵スープがついてくるのですが、とろみがついたよく中華料理屋で出てくる感じのスープなので、すき焼きと一緒に食べていると割と混乱してきます。

いちぎん食堂
沖縄県那覇市久茂地2-12-3
24時間営業
TEL:098-868-1558
 

うちなー食堂 コザ飯(沖縄市)

沖縄市の美里にある「うちなー食堂 コザ飯」。前は単独店舗があったようですが、現在は黒猫屋という居酒屋の店舗と同じ建物で昼のみ営業しているようです。

割と新しめのお店なのですが、ここのウリはかつて平良川にあった老舗大衆食堂「サンドイッチシャープ」の味を再現したというすき焼き。値段は700円でバターか生卵かどちらかをつけられます。

すき焼 700円具材は春雨、青菜、島豆腐、牛肉だけのシンプルな感じ。
ご飯とみそ汁が付いてきます。付け合わせはバターを選びました。なぜかトレイにタバスコが付いてきたんですが、これすき焼きにかけるのでしょうか?何かの間違い?

皿の半分はほぼ春雨。春雨好きにはたまらないかもしれません。味付けは結構甘口な気がします。

食べてて気づいたのはこの甘口の味付けが、バターライスにものすごくよく合うのです。これはうまいやつだ。

うちなー食堂コザ飯
沖縄県沖縄市美里仲原町1-12
11:00~15:00(L.O.14:30)
TEL:098-939-8913
 

丸長食堂(沖縄市)

おかずの旅でも出てきた、コザ十字路近くの食堂「丸長食堂」。24時間営業で、どんな時間に行ってもたいてい誰かお客さんがいる老舗食堂。

すき焼 650円
入っている具材は白菜、青菜、島豆腐、牛肉、春雨です。生卵は別添え。
写真では写っていないですが、みそ汁も付いてきます。

すき焼きの具材はしらたきでしょ…!と思ってましたが、春雨がすき焼きの汁を吸っていてなかなかに美味です。牛肉も多めで素敵。そして丸長食堂も定食には漬けものとバター(という名のマーガリン?)が付いてきます。

バターを乗せたご飯に醤油をちょっと垂らして食べるもよし、生卵で卵かけご飯を作るもよし、内地のすき焼きみたいに溶いた生卵ですき焼きを食べるもよし、バリエーションが楽しめるすき焼きです。

丸長食堂
沖縄県沖縄市美里1-24-13
24時間営業、月曜定休
TEL:098-938-8902
 

まとめ

以上、沖縄のすき焼きのご紹介でした。

さて、上記のすき焼きから沖縄のすき焼きの違和感を考えてみます。まず目につくのはしらたきが一般的なすき焼きにおいて、春雨の使用率が高いこと。恐らく注文を受けてから一皿分ずつ作っているので味が染みこみにくいしらたきよりも、短時間で味が染みこむ春雨が使われているのかもしれません。

また、長ネギよりもタマネギがよく使われているのと、青菜の使用率が高いのも沖縄のすき焼きの特徴だと言えるのかもしれません。青菜はおでんにも入っているので沖縄の料理の定番ではあるのですが。キャベツが具材として入ってるすき焼きもあるので、大衆食堂でよく使われている具材をすき焼き風に煮込んだ料理、それが「沖縄のすき焼き」と言えるのかもしれません。

まだまだ沖縄の大衆食堂にはすき焼きがあるので、また食べ歩いてすき焼きを紹介しつつ「沖縄のすき焼きとは何なのか」考えてみたいと思います。

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