女だから言えること | 引きこもり、精神病からの生還

太ったおじさんみたいなおばあさんです。キレキャラとおふざけキャラと真面目キャラを分離する才能がないので、丸ごとの自分を出してます。

借金癖、浪費癖のある家族への対応

私は、この増田に対して

「もう夫が更生してるので詳しいことは書かないが、似たようなことを似たように処理した。人と人を結びつける一番強い感情は「償い」だと心理系の人が言ってて、夫も一生をかけて私に償うと言って、超真人間になった」

とコメントしました。

 

 コメントではこのように書いたのですが、同じような状況だった私としては、この増田の失望、怒り、不安、は察するにあまりあるので、我が家で夫がまともな金銭感覚になった経緯を少し書いてみたいと思います。(ちょっと詳しいことを書くが、夫よごめん。)

 念のために書いておきますが、今現在の夫が尾木ママのように優しい態度で、かいがいしく私の世話をやいてくれる良い夫です。定職についているし、家事のほとんどは夫がやってくれるし、他の全てのことよりも私を優先してくれ、大切にしてくれます。

 ですが、この増田のブコメにもあったように、過去の夫は周囲から「クズ」と言われても仕方がないくらい、素行の悪い人間でした。精神科の医師や、訪問看護の看護師も「(精神病が治らない原因は夫にあるので)別れたほうがよい」毎回私を説得していたほどの素行の悪さでした。

 私は夫の素行の悪さには原因がある。そこを掘っていかないと、この人は永遠に変わらないと思いました。そして、夫にヒアリングし、掘ってみると夫の素行の問題は「夫の母親」の影響が強いということが分かり、夫のご両親に手紙、メール、電話で様々な説得を試み、3~5年で夫はやっと、一般的な社会人としての感覚を身につけました。5年間の出来事を一つの記事にまとめるので大雑把な長文になりますが、ご容赦を

 

更生前の夫

無職

 夫は出会った時には正社員として会社に所属していたのですが、一緒に暮らし始めてすぐに、長らく会社で起っていたもめ事に嫌気がさし、辞めてしまいました。その後、就職活動はしていたのですが、高卒で運転免許も持たず、何の職能もない夫は面接に落ち続け、どんどん自分に自信を無くしてゆき、「どうせ、また落ちる。」と、就職活動自体を怖がるようになっていました。

 ですので、私が出資し、運転免許を取ってもらい、本人が興味があるという分野の学校に半年ほど行ってもらいました。正直、半年学校に行ったくらいでその業種で雇ってもらえるはずもないとは思っていました。ですが、本人に自信をつけて欲しいということと、免許さえ持っていれば、希望業種で働けなくても、配送業にはつけるだろうし、世の中には頑張ってもどうしようもなくて、あきらめて納得のいかない職業に就く人もいるということを身をもって分かってもらおうと思っていました。

 夫が正社員になるまでには3年ほどかかりましたが、その間は私が飲食業で働きつつ、貯金を切り崩しながら生活していました。

ネットゲーム依存症

 そういった現実から逃げるように、夫は就職の面接に行っている時間以外はネットゲームにのめり込んでいました。夫は就職活動の傍ら、空いた時間で単発の軽作業のアルバイトに行っていて数万円の収入はありましたが、それをはるかに超える課金を行っていました。つまりは、私のお金で課金をしていたのです。

 

モラハラ・精神的DV

 夫は就職活動が上手くいかないイライラからネトゲ依存症で、キャラを強くするためには、私を怒鳴り散らしてでも、お金を取り上げる始末でした。挙句の果てには、「ボス狩りに行く途中で、休憩時間の今しか飯を食べるタイミングがないから、今すぐ飯を作って」と言われて、作っていると「遅い!早くしないと出発する!」と怒り出す始末。当然、大ゲンカですよ。

 

夫がそんなふうになった原因

 ここまで、夫の過去の「クズ」具合のごくごく一部について触れてみましたが、じゃあ何故、夫が「クズ」だったのかについての分析です。

母親の過干渉

 夫は子供の頃から、自分が努力しなくても高い評価が得られるという環境がありました。例えば、図画の宿題で夫が絵を描くと母親が「あまりに下手なので可哀そうで見ていられない。」と、母親が手直しする、または描いてしまっていたのだそう。夫は子供なので「これを持っていきなさい。」と母に言われ、素直に母の描いた絵を持って行き、コンクールで賞をとってしまう、そのようなことが続いていたようなのです。

 で、さすがに周囲の子供たちは、普段の図画の時間に夫の描く絵を見たことがあるわけですから、「あの絵、お前が書いたんじゃないだろ!」と気づき、それを夫に言います。ですが、夫は母に持って行けと言われて持って行ったわけですから、「違う、僕が書いたんだ!」と嘘をつかざるを得ず、そこから嘘をついても平気な性格、つまり「虚言癖」を身に着けたようです。

 あとは、夫がお金で問題を起こした時には、親が全額支払って、親に返済することは求めなかったようです。我が子が問題を起こしたのだから、親が責任を取るのは当たり前、という真面目な性格のご両親なのです。

 

母親からのプレッシャーと低評価

 夫の実家は、そこそこ中流で父親は日本では名の通った大学を卒業し、そこそこの給料をもらえる大手に勤める会社員。義母は、息子にそのようになってほしかったみたいです。ですが、大学に行くことを拒否し、フリーターやリゾートバイトをしながら、のらりくらりしている夫を、義母は全否定していたようです。

 「正社員でない。」「(お父さんのように)大学を卒業してない、大企業に就職してない、給料が多くない。」、これらの理由で夫を責め続けていたようで、夫はこれにすごくプレッシャーを感じていたようです。

 さらに、夫の問題は親子関係の問題でもあると思った私は、私、夫、ご両親で集まって家族会議をさせてもらったことがあるのですが、義母は本人(夫)の前で「子育てに失敗した。」「この子は(私達が尻ぬぐいしないと)浮浪者か犯罪者になる。」と言うのです。心の中で不安を感じるのは自由ですが、それは本人の前で、しかも母親が言っちゃダメ!ってことで、「本人の前でそんなことを言わないでくれ。」と義母にはお願いしました。

 そんな調子で、夫はどんどん自分の中に閉じこもり、母親に反発し、自身を失っていったようです。

 

自分自身の努力を人に褒めてもらったことがない

 母親の過干渉のところで書いたように、母親が息子に良い思いをさせたいがために、かわりに宿題をやってしまったり、周囲の子より高級な持ち物を持たせた結果、夫は「自分で努力しなくても褒めらる」体験を積み重ねてしまっていました。

 ですから、努力しなくても褒めらる方法として「ホラを拭く」つまりは、「嘘をつく」こと身につけてしまったのです。逆に言えば、何の努力もせずに結果が得られてきてしまったので、努力の仕方が分からない子に育ってしまったようです。

 

自分で責任を取ったことがない

 過干渉のところでも書いたように、夫が何か問題を起こすと、ご両親は「自分たちの育て方が悪かったせいだ。」と思ってしまい、親が謝りに行き、親がお金を補填していたようです。もちろん未成年の頃は、そうするしかなかったのでしょうが、成人後もそれを続けていたらしく、夫は自分がどんなに間違いを犯しても、自分が嫌な思い、つらい思いをしなくても済む環境だったようです。

 

対策

母親から(心理的に)遠ざける

 夫は都合が悪くなるとすぐ母親にお金を借りようとしたり、実家に帰ろうとする人でした。このような時、私は夫に対しては「本当にそれでいいの?また、現実から逃げて、ゲームしながら引きこもるの?実家に帰って親に甘える生活に戻ったら、あなたは、もう一生、現実と向き合う生活には戻れないよ?」と説得していました。

 逆に母親に対しては、「息子さんに、絶対お金は渡すな。実家に帰りたがっても絶対に家に入れるな。」と説得していました。「でも、実家に入れないとあの子は浮浪者か犯罪者になる。」と不安がるので、「オタクの息子さんは根は真面目で優しい人なので、犯罪者にはなりません。物を知らなくて犯罪に巻き込まれることはあっても、自ら犯罪を犯すなんてことはありえませんから安心してください。浮浪者になるならなってみればいいんじゃないですか?浮浪者になれば、いかにご両親に手厚く保護されていたか分かると思いますよ。いい人生経験です。そんなに心配なら、息子さんが浮浪者になる時に、私も一緒に浮浪者になりますから安心してください。」と説得しました。

 

母親に共感し、励ます

 義母がなぜ、そんなに人を責め、子供に過干渉になってしまうのかを分析した時に、義母の実の母が、義母に無関心なだけでなく、義母の能力の高さに嫉妬して、義母をいじめていたこと知りました。

 ですから私は義母に対して、「よく、そんなお母さまと一緒に暮らしましたね。私だったら逃げだしていたと思います。お(義)母さんは責任感の強い方なんですね。」と共感しました。

 さらに、めんどくさい母、老いて(認知症になった)両親、優秀な夫、人数の多い子供の世話を、ここまできちんとできる女性なんて、そうそういるものではありません。お母さんは本当に頑張ったし、立派だと思います。と尊敬の気持ちを伝えました。実際に義母は、夫を支え、家を建て、(夫以外の)子供に大学に行かせ、親を引き取って、2世帯同居の大所帯を仕切ってきた優秀な女性です。

 学力が高くなく、思い込みが強く、否定的発言=(愛ゆえの)厳しさと思っている点で、子供や夫からは、鬱陶しがられたり、バカにされたりしていたようです。確かに癖のある人ですが、彼女の家庭内での功績を褒める人が一人もいなかったのは、納得がいきませんでした。ですから、夫にも義父にも、義母が母として妻として、いかに能力の高い人なのかを説明し理解させ、義母の自尊心を取り戻すための工夫もしました。

 また、そのような母親の暴走を止められなかった父親にも、反省を促しました。「お父さんは、家庭を顧みていましたか?」的なことです。「お母さんに家庭のことを丸投げにしておいて、お前には見識がないと妻を見下げるとは何事ですか!?子育てや家事に追われて、見識を身に着ける時間・余裕すらななかったのが、あなたの妻ではないのですか?もう少しお母さんの家庭内での功績を尊敬し、愛情表現をしてください。」と。

 

自分で責任をとらせる

 義母も私も、夫が起こした金銭問題をかわりに支払うということで解決していました。ですが、これ、かわりに払っちゃうから本人が自覚を持てず、調子に乗るんだと、ある時点で気づきました。

 ですから、義母も私も夫の不始末のお金を建て替えはするものの、借用書を書かせて、必ず返してもらうし、前の借金を返さないうちは次のお金は出さない、と明言ししまた。さらに、夫は身内からの借金だと舐めてかかっていたので、一緒に公証役場に行き、借金の公正証書を作り、マジでこれ私に対する借金だからね、返さないと裁判になるよ?というプレッシャーを与えました。

 さらに、義母や私に対する借金を返すためには、クッソぼろい家に住み替え、毎日貧相な食事をとらなければならないことも教えました。お金がなければ、生活の質は底辺に落ちるということを教えたかったからです。夫だけ貧相なご飯を食べさせるのはただの嫌がらせなので、二人とも貧相な食事を食べる、または、夫には肉を食べさせ私は卵を食べるなど、夫が金銭で問題を起こせば、私が不幸な思いをすると刷り込みました。さすがに、夫は私が大好きなので、私だけ貧相な食事をとっているのは見るに堪えなかったようです。

 さらに、それでも夫が浪費した場合は「今月は(あなたの浪費のせいで)家賃が払えないから、大家さんに謝って、1か月待って欲しいって頼んできて。」と言いました。(実際は払える程度の貯金はありましたが、一か月の収支で赤字がでても、私の貯金から補填しないという方針だったので、払えないと伝えました。)それまでの夫なら、ご両親が真面目なのをいいことに、母親に「家賃が払えないから、お金貸して(ただし、返す気はない。)」と言っていたのでしょうが、義母にも「絶対お金は出すな」と伝えていたので、義母はお金を出しませんでした。

 困り果てた夫が「そんなの恥ずかしくて嫌だ。」と、なめたことをぬかすので、「おめー、自分の無駄使いで家賃が払えなくて大家さんに迷惑かけてんのに、自分が恥ずかしいから謝るのが嫌って、どういう了見だ!恥ずかしいと思うなら、家賃を払えるような生活をしやがれ!家賃を払える生活ができないなら、大家さんに謝りに行く!その、どちらかしかありませんから!誰かが何とかしてくれると思うなよ!自分のケツは自分で拭け!」と、叱ってました。

 あと、使えるお金が限られているとティッシュ2枚で鼻をかむ夫にも腹が立ちます。たとえ風邪をひいて苦しんでいる時でもです。本来優しいはずの私が、風邪をひいて苦しんでいる夫よりも、ティッシュの枚数を気にするようになったのを見て、夫は貧乏は人の心まで貧しくし、ギスギスした生活を送らなければいけなくなると学んだようです。

  夫は自分が働かない、あるいは浪費をすると、ボロボロの雨漏りのする家に住まなければいけなくなる、食事が貧相になるなど、生活の質が死ぬほど落ちることを知りました。さらに金銭トラブルを起こすと、迷惑をかけた相手に謝りにいき、返済の交渉をするという心理的な負担を負うということも学習しました。そして、そこから起こる貧乏は、人の心のゆとりをなくさせ、性格まで変えてしまうと学びました。

 さらに、私が数年続いた「夫の生活態度・浪費」+「母のがん闘病と死去」で、金銭的にも精神的にもボロボロになり、精神病院に入退院を繰り返していたことで、夫は「俺のせいだ」「俺がららちゃんを追い込んだんだ」と、強く反省したようです。

 

夫の良い所を褒める

 義母も夫も、本気で人に褒められるという体験をほとんどしたことがない人だったようです。お世辞で褒められたことは何回もあるようですが、本人たちもお世辞だと気づいていたんでしょうね。二人とも、とにかく褒められたいアピールのすごい人たちでした。ですから、私は夫に対して本当にすごいと思うところを、毎日のように褒めています。これは、今でもそうです。

 たとえば、夫は毎月私に給与明細を渡して、私がそれを両手で受け取って「ありがとうございます。大切に使います。」という儀式をやります。その時に、夫が「これっぽちの給料でごめんね、ふがいない夫でごめん。」と言ったので、「何言ってんの!これだけの給料を稼ぐのが、どんなに大変かを私は知ってる。だからそんなことは言わないで。この給料はあなたの汗と涙と血の結晶よ。我慢の結晶なの。だから金額は関係ない。少なくとも、今の私はこの金額を稼ぐことはできないから、これだけ稼げてるあなたはすごいと思う。」と伝えました。(ちなみに夫の手取りは10万円代です)

 

私がいなくなるという恐怖心

 また、最後の方は私も本気で夫と別れようかと思っていて「言っとくけど、私はご両親とは違うからね。私は冷たい人間だし、あなたと血も繋がってないから、もうヤダって思ったら簡単に見捨てるよ。これは脅しじゃないからね。こないだも、不動産屋に物件を探しにいったからね。」と伝えていました。

 そういったことでも、夫は危機感を持ち、自分を変えようと努力したっぽいです。

 

夫の罪悪感と償い

 夫と暮らし始めて、おそらく10年ぐらいが過ぎたのだと思います。この前、何かの拍子に夫が「俺は本当にららちゃんにひどいことをしてきた。そんな自分を俺は一生許せないと思う。」と言いました。「まあ、もう終わったことだし、今はかいがいしく尽くしてくれてるんだから、もういいよ。」と言ったのですが、「いや、ららちゃんが許す許さないの問題じゃないの、俺の中の問題なの。俺がららちゃんにやってしまったことは消せない、ららちゃんの俺に対するトラウマも消えない、だから俺は一生をかけて、ららちゃんに償いをする。」というのです。

 私は夫のその熱弁ぶりに、「はぁ…」と引いてしまいました。「てか、私だって明日、ごめん!好きな人ができて、そっちと暮らしたいから別れて!とかで裏切ることだってあり得るわけだから、そんなに重く考えなくていいよ。」と、わりと本気で言ったのですが、聞き流されました。

 

増田に伝えたいこと

 上記の増田に伝えたいことは、ゲーム内で地位を得るために浪費する人は、現実社会で自尊心が満たされていないのではないかということ。一時的に増田が借金を立て替えても、夫の自尊心が満たされることがなければ、また別の何かに依存する可能性があります。

 増田も夫の何かを高く評価して一緒にいるのでしょうから、夫を褒めて現実社会での自尊心を高めてあげれば、何かに依存する傾向はおさまるのではないかと思いました。また、夫のご両親に問題があるとか、増田のご両親が夫を見下げているとか、増田の実家の持ち家に住まわせてもらっていることが、夫の自尊心を傷つけているとかいったことはないでしょうか?

 借金を立て替えるという対処療法だけでなく、何が夫を依存に走らせているのかの分析が必要で、それをたどっていくと、ウチのケースのように、ものすごく根深いものがあったりします。ぐちゃぐちゃにもつれた関係や心理をほどいていくのには、数年かかったりもします。増田自身が夫をカウンセリングするのがむつかしければ、精神科や心理のプロにお願いするという方法もあると思います。

 さらに、ウチのように真人間に戻る人もいれば、人格破綻していて何をどうやっても無理な人もいると思います。どこで、区切りをつけるかは増田の判断でしかないでしょう。

 私は文章が下手なので、増田にどこまで伝わるか分かりませんが、何かの参考にしてもらえたら嬉しいです。