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異世界薬局 作者:高山 理図

7章 新大陸の伝承(1148年)

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7章4話 窓際の黄色い花

「それではカンファレンスを始めます」

 医学部長クロード・ショーリアックの外科学講座、総合医薬学部長ファルマ・ド・メディシス門下数名の術前のカンファレンスが始まった。これまで、医学部で医師と医学生たちの症例検討会は行われていたものの、研究科を超えた協力は初である。
 ファルマは前世においても、医師と合同のカンファレンスに出席した経験は卒後臨床研修や、大学病院に所属していたころの数回しかない。なので、最小限しか口出しせず、カンファレンスの進行はクロードの従来の方式に任せている。

「本症例は18歳女性、身長5.3杖、体重 40杯 体格はやせ型。主訴は、認知、記憶障害、易怒性の亢進、既往歴、家族歴は不明、四肢、および体幹に異常はなし、代謝疾患や精神疾患はなし、軽度のしびれと歩行障害はあり」

 クロードが黒板に書きつけながら症例の呈示を始める。クロードは帝国内通用単位ではなく、多くの医師や薬師に通じるように、神聖国が定めている国際単位を用いている。
 ちなみに、杖というのは神杖を基準とした長さの単位で、一杖は30cm程度である。重さの単位も聖杯の重さを由来とする「杯」というものが存在する。
 基本情報をクロードが説明したあと、ファルマが続ける。

「神術検査は私が透視神術を用いて行い、右前頭葉に0.1杖以下の腫瘍形成を予測しました。腫瘍の輪郭は比較的鮮明で、領域は特定できました。同時に血管走行の把握を行い、周辺血管の局在画像、血行の支配領域をこの図のように書き起こしました。臨床検査学部に委託した血液検査では特記すべき初見はなし。小切開を加え腫瘍に定位的生検術を実施した結果、顕微鏡的には高密度の腫瘍組織であり、細胞核は大小不同、クロマチン凝集あり、多核や巨核、ならびに壊死層もみられました。遺伝子検査においてはp53に変異、CDKN2Aの欠損、EGFR増幅、MAPK経路の変異が示唆されました。免疫組織化学的検査では、腫瘍特異的マーカー(MIB-1)の発現率は19%でした。臨床経過,神術所見、病理所見から術前診断として神経膠腫の中でも最も悪性度の高い四段階目の膠芽腫であり、早急な手術加療が必要と考えられます」

 ファルマの説明を聞いて、最前列席でそっと涙をぬぐう貴婦人がいた。
 ナタリー・ブロンデルの実の母親であり、宮廷薬師フランソワーズも同席していた。
 最後尾にはエレンも座っている。

「周術期の患者の術前評価として危険視される所見はなかった。私の方からは開頭術の術式とアプローチのための経路説明をする」

 ふたたびクロードが術式を図示して説明を続ける。これまでにクロードがノバルート医大との連携のもと開発してきた神術術式に加え、ファルマからの助言を総合した、ほぼ地球における標準的な開頭術の術式が採用されている。

「以上、膠芽腫疑い、この患者に対し3月10日 開頭頭蓋内腫瘍摘出術を実施します。本症例について、御討議をお願いいたします」

 そこで颯爽と手を上げたのは、ブリジット・ル・ノワール。
 ノバルート医大出身一級医外科准教授で、まだ若いクロードの一番弟子の女性医師だ。この彼女が勝気でプライドが高いが手術はとびぬけて上手く、脂が乗りきっている。
 彼女は今年から導入された白衣をガウンのようにして着ている。
 医学部長であるクロードは侍医長でもあるため、基本的に宮殿に常駐し、いくつかの講義をブリジットに割り振っていた、いわばクロードの名代であった。

 大陸の医師もまた、薬師と同じように一級、二級、三級と格付けされている。
 この世界では、医師は専門の違いこそあれ全員が外科医であり、手術を行う。
 医学部は外科のみで、一般外科、整形外科、脳外科など幅広い診療科が含まれている。
 一級医は医神を守護神とする貴族の医師。医神の加護を持ち、希少であるため、各国の王侯貴族に仕えている。人数も少ない。
 二級医はその他の属性の貴族の医師。主に傷病の治療、切断、切除を行う。戦争の際に軍医として活躍する。 
 三級医は抜歯、瀉血、腫れ物の除去など行う平民医師、床屋を兼ねている者もいて、床屋外科ギルドに所属している。
 ちなみに、平民は今回、学力不足で、一人も医学部に入学していない。今年度サン・フルーヴ帝国医薬学校に在籍するのは、貴族の医学生のみである。これは、医薬学部と対照的であった。
 そんな背景のなか、ブリジットがさっそくファルマをやり玉にあげる。

「透視神術とおっしゃいましたか。透視神術の予測だけで、侵襲的な検査である脳生検にいったのですか。それでは従来の占術と変わらないのでは」
「仰る通りです」

 ファルマが即答する。

「なるほど、神術の腕によほどの自信があるとお見受けします。あなたはその若さで筆頭宮廷薬師にまで上り詰めたお方ですから、類まれなる才能を持った神術使いであることは存じております。しかし、慢心は患者のためになりません。診断が的中しなかったこともおありでは?」
「これまでの診断と治療に誤りがなかったかというと、確認のしようがありません」

 ファルマは診眼という、クロードのいうところの予知能力的なチート能力を持っているが、その診眼の結果が正しかったのか、正解は神のみぞ知るだ。
 病名に基づいて、薬剤師の立場から適応すると考えた処方した薬は効果があった。彼の知識は地球上における最善に基づいていたが、病態を制御できないこともあった。
 その事実があるだけだ。すると、ブリジットは「へぇ……」と甘ったるい声をだした。常々気に入らなかった、若き学部長をやりこめようとしたのだろう。

「そんな無責任なことでは、呆れてしまいますわ」
「口を慎みたまえブリジット君。我々はただの医療者ではない、医療神術使いだ。最善の医療を提供するために神術を使って何が悪い。それに、私が行った生検の結果、腫瘍は事実存在した」

 クロードの弁護が入った。医神を守護神に持つクロードは、手術中にもいくつかの神術を使う。

「結果論としてはそれで正しかったかもしれません。しかし神術は術者の技量に影響されます。世界中でたった一人にしか使えない神術になんの意味がありましょうか。神術に頼った診断をしなくてもよいよう、平民医師、平民薬師でも診断、治療ができるようにド・メディシス学部長は医療改革を行いたいのではなかったのですか」

 ずけずけとモノをいうが、ファルマは彼女の意見はもっともだと考えた。

「御明察の通りです。ただこの神術は私が偶然に習得したもので、簡単に伝承することができないのです」
「ならばそれは、独りよがりな技芸にすぎませんわ」

 ブリジットは不快感をあらわにした。それを見計らったかのように、ファルマの瞳が鋭く輝く。

「ですので、それに近いものをお見せすることはできようかと思います」

 ファルマはバッグの中からごそごそとガラス器具と、一枚の写真を同時に取り出した。
 それは、X線管とよばれるのと、人の手の骨が映ったレントゲン写真だった。

「こちらは電磁放射線発射装置であり、こちらはその発射された電磁放射線が人体を通り、それを検出した写真です。諸先生方は私の講義を聴講しておられるので、今、電磁放射線といってもその正体をご存じですし、どうしてこう見えるのかもおわかりかと存じます」

 ファルマが前列の参加者に手渡した写真が、会議室を一周する。
 ブリジットは目を丸くしてファルマから写真を奪い取り、クロードは「素晴らしい!」と大げさなアクションで拍手を送った。ブリジットは半信半疑で質問する。

「これを改良すれば、透視神術を持っていなくても診断がつくようになるってわけ?」
「さきほどル・ノアール先生がおっしゃったとおりです。誰にでも使える技術でなければ意味がない、ですので試作装置を準備中です。ただ、今は開発にかかる時間を待てないので今回は神術で対応させていただきます」
「やるじゃない、子供教授!」

 ブリジットはひゅうっと口笛を吹く。

「やめないかはしたない。ル・ノアール君は口が悪いにもほどがあるぞ。ド・メディシス教授、失礼しました、あとでよく言っておきます」

 クロードがブリジットの保護者のような立ち回りをする。そのほかの医師からも手が上がった。

「透視写真は画期的で、技術開発には期待しております。して、術式の検討に戻りますが、それで成功例があるのですか」
「人間での経験はないが、先週から実施している中型動物での実験においては、神薬を使わずとも私の執刀で十例中八例が一週間生存中だ」

 クロードは付け焼刃ながら、一週間で開頭術のための準備を進めていた。
 ファルマはそれを頼もしく思う。

「私からもよろしいでしょうか」

 今度は、フランソワーズからの質問だ。
 わが子の手術とあっては、どんな疑問も明らかにしておきたいというのが親心だろう。ファルマとクロードは数日前、とうとうフランソワーズとナタリーに膠芽腫の告知を行って手術と治療の同意をとった。二人ともショックを隠せない様子だったが、治療に専念するほかにないと腹をくくってくれた。フランソワーズも薬師団の一人として治療に参加する予定だ。

「このたびは、娘のためにこれほど大規模かつ挑戦的な体制を組んで手術を実施していただき、本当にありがとうございます。諸先生方、よろしくお取り計らいのほどお願いいたします」

 フランソワーズは数秒間その場で会釈をして感謝の意をあらわした。

「質問は二点あります、周術期の薬師の薬剤管理に神薬が出てきたのですが、その二つの神薬が現存するというのは初耳で、貴重な神薬資源を使っていただくということで恐縮しております。神薬はすぐに分解してしまうと聞きましたが、どのようにして神殿が数百年間安定的に保管できていたのでしょうか。また、ド・メディシス教授の使っておられる既存の薬と相互作用しないのでしょうか」
「質問にお答えします。神薬の詳細につきましては神聖国の機密事項となりますので私の口から申し上げることはできないのですが、品質には問題のないものを、少量ですが今回に限り調達できます。神薬と薬剤の相互作用の有無については、文献や神術分析により事前の評価を行い確認しております」

 苦しい弁だが、ファルマは嘘はついていない。
 まさか自分が調合するとは、この場にいる医師団、薬師団は夢にも思わないだろう。エレンが困ったような顔をしてファルマと目配せをした。この場では彼女だけが真相を知っている。

「神聖国の機密にかかわるので組成等は開示できないというわけですか。神薬が入手できなくなったらどうするのです」

 隙を見せたファルマに、ブリジットが追い打ちをかける。開示できなくもないのだが、ファルマにしか作れないものは開示しても意味がないのだ。そこでファルマはこう述べた。

「神薬はなくとも手術は可能です、成功率も変わらないかもしれません。が、今回初の脳腫瘍摘出術ということで、不測の事態に備えて用います」
「もし神薬が使えるのであれば、毎回使ったほうがいいに決まっていますが、実際はどうなんですか?」
「当然ながら、守護神の創造する神薬資源には限りがあります、しかし」

 ファルマは敢えて誤解を正していないのだが、ブリジットらはファルマの現状を知らないので、今回調達される神薬が過去の薬神によって造られたものだと誤解している。
 しかしその誤解をファルマは逆手にとる。

「その限りある神薬を消費していては、あっという間に底をつき、医療技術が普及しません。どの神術使いにも使える汎用神術と組み合わせた、もしくは神術に頼らない術式を確立してゆくのが最善かと考えます」
「確かに」
「やむをえますまい」

 医師たちも薬師たちも口々に同意した。そうせざるをえないというのが実情だ。

「薬師としては手術中に何を支援すればよいですか?」

 薬師団からの質問が出た。

「手術チームに加わる薬師へは、周術期の薬学的管理をお願いします。麻酔薬などの医薬品の管理、温度管理、術中の調剤調製、術後鎮痛用薬剤の適正な使用などが含まれます。詳しくは、明日の部門会議でお話いたします。挑戦的な手術にはなると思いますが、彼女の救命のために尽力しましょう。ほかに質問がなければ、これで本会を閉会といたします」

 こうして、不安を払拭できないながら、術前合同カンファレンスは閉会した。

 ◆

 ついにその朝がやってきた。
 病室で目を覚ましたナタリーは、病室の窓を開けて外に目を奪われていた。カーテン外にはサン・フルーヴの霞がかった街並みの上に太陽が昇り、鮮やかな色彩が広がっている。

「おはよう、ナタリー・ブロンデル君」
「朝日がきれいですね。教授」

 ナタリーは振り向かずに、窓の外を見たままファルマに応じる。
 ファルマは窓際のナタリーの隣に並んだ。

「今日も明日もいい天気になるみたいだ、春はすぐそこだよ」
「今日を限りと思って、目に焼き付けておこうと思います」

 術前内服薬を持ってきたファルマに、ナタリーは不安な胸の内を吐露する。

「そんなに太陽を見ていたら目が焼けてしまうよ。また明日見たらいい。さて、手術前なので絶食だったね」

 ファルマはナタリーと話をしながら、深夜から苦労してブリュノとともに調合した神薬を飲ませ、鎮静剤も併用する。
 この神薬が、今日と数日の彼女の命に、絶対的な保障をもたらす。
 青い神薬の入ったグラスを飲み干したナタリーの様子を見ていたファルマは尋ねる。

「気分が悪くなったりはしていないか? 違和感は」
「いいえ。体がぽかぽかとします、気分が落ち着きました」

 ナタリーは胸をゆっくりとなでおろした。
 神薬の効能としては、不安な気持ちを落ち着ける効果もあるらしい。

「それはよかった、前向きでいてくれよ」
「教授にお願いがあるのですが。母を悲しませるので直接は渡せません。もしダメだったらということで、これを預かってもらえませんか」

 ナタリーがファルマに手渡した小箱の中には、何通かの手紙が入っていた。
 それぞれあて名が書いてあり、母親や親類、友人らに宛てた遺書だと思われる。
 ぱらぱらとめくると、ファルマの名前もあった。インクは滲んでおり、涙のせいだろうかと推測する。ファルマはナタリーの気持ちを無碍にせず、神妙な面持ちで受け取った。

「わかった、ではこれを預かっておこう。私も君にあげたいものがある。去年の秋仕込んだのがきれいに咲いたから見てやってくれ」

 ファルマは病室の窓際に、黄色い花をつけたクロッカスの水栽培の小瓶を飾った。

「教授、観賞用の花なんて育ててたんですか? なんか薬草しか栽培しないイメージがあるので意外です」
「まあ、プライベートでも薬師をやっているわけではないからね。それにほら、君が花が好きだとお母上にうかがったから」
「この花に、何か意味などあるんですか?」
「あるよ」 

 にこっとファルマはほほ笑むが、具体的には自分の口からは言わない。

「え、あるんですか」
「私たちは誰も、明日のことはわからない。でも、君は今日は死なないことになっている」
「……そこまで言うなら、はったりを真に受けてあげてもいいです」
「その意気だ。次は手術室前室で会おう」

 ファルマはそう言ってナタリーを元気づけ、自分の心臓のあたりにこぶしをトントンと当てると、片手をひらりと振って病室を出て行った。
 パントマイムのようなその不思議なジェスチャーを見たナタリーは、はっとした。

「そういうことか」

 彼女は何だかおかしくなって小さく吹き出し、クロッカスの花弁を指でそっとなぞった。
 ナタリーはクロッカスの花言葉を思い出した。
 ファルマは、「私を信じて」といったのだ。

「ああいう男、大嫌い。ほんっと嫌い。そんな大切なこと、ちゃんと口で言ったら?」

 ナタリーはそう言いながらも、束の間笑顔になっていた。



 1148年3月10日午前9時、サン・フルーヴ帝国医薬大学医学部附属病院にて、ナタリー・ブロンデルの手術が行われた。手術室はガラス張りになっているため、多くの医学生がノートやカメラを携え見学にきている。また、この手術室では鏡の反射と集光を利用して、手元が明るく保つために十分な照明が確保されていた。
 さらに手術室の衛生については、事前に疫滅聖域とクロードの浄化神術の重ね掛けで無菌状態に近くなっている。

 ナタリー・ブロンデルはファルマが創造した二つの神薬を服用し、仰臥位の体位をとり、三本の金具で頭部を締め付けるように固定。切開予定部位をその場で剃毛し、ポピドンヨードで頭蓋を消毒、続いてアルコールで消毒をしたのち前頭葉切除線のマーキングが行われた状態で静脈麻酔薬での急速導入で全身麻酔に入った。挿管と吸入麻酔が設備不足でできないため、人工呼吸と吸入麻酔はバッグバルブマスクの内部に吸入麻酔薬を噴霧したガスを送り、間に合わせる。
 麻酔の組み合わせと量はファルマが念入りに診眼で事前に調査をし、管理はファルマと、麻酔科医として育成中の専従の医師が行う。
 正直、ファルマも含めて麻酔管理の専門家はこの世界にいないにも等しい。そこで、ファルマと同じく診眼を使えるエレンに協力を求めた。彼女は脈拍、酸素飽和度の異常、体温、呼吸数その他すべてのバイタルの異常が把握できるようにファルマが数日かけてトレーニングをした。脳波だけは診眼では検出できないため、痛み刺激によって変化する色と部位を覚えてもらって、それで覚醒レベルをはかることにした。
 長時間診眼を使うと彼女が消耗するので、数分に一度、瞬間的に異常を検索する方法で永らえてもらう。
 現代地球で用いられているすべての電子医療機器がここには存在しないため、エレンには患者の生命にかかわる重大な異変が発生する前に報告してもらう。
 ブロンデルの頭部だけでなく、全身が赤く変わり始めたら緊急事態だ。
 診眼の予後予測は、刻一刻と変化する。手術で救命できるという判断が、失敗を起こせば覆ったりもする。神薬を使って数日を不死身で凌げたとしても、その後死亡する予測が出てしまえば一巻の終わりなので、だからこそ気が抜けない。
 そこでバイタルのモニタはエレンを信頼して完全に任せ、ファルマはクロードに腫瘍をガイドし、具体的に指示を出すことで手術のサポートに回ることに徹する。
 自らの能力を過信せず、分業しなければ手に負えない。

「それでは、18歳女性 部位は右前頭葉 頭蓋内腫瘍摘出術を行います。予定の手術時間は四時間です。よろしくお願いいたします」

  クロードがそう宣言すると、マーキングされた部位の頭皮の切開に入った。
 ファルマの診眼を使って全ての外科医の手術結果を予測すると、クロードの執刀でしか成功しそうになかったので、是が非でも執刀させてほしいと噛みついてくる准教授ブリジットを引き下がらせ、助手に回らせるのには苦労したそうだ。
 クロードは晶石つきのメスをもっており、メスを小さな杖と化し神術出力装置とすることができる。神術で出血のコントロールを行っているのだろう、メスを表皮に直角に当て、軽やかに鋭的に切開する。頭皮は血行に富んでいるはずだが、驚くほど出血しない。神力の被膜で優しく覆って創面を保護しているから、出血は最小限で済むとクロードは事前に説明していた。
有言実行。さすがだ、とファルマは恐れ入った。
 それでもブリジットは確実に頭皮クリッピングをしてゆき、創縁にはガーゼをはさみこみ、硬膜を吊り上げる。
 クロードは引き続き弧を描くように切開した皮膚弁を持ち上げ、硬膜用の剥離子を用いて筋層の切開を行い、これも驚くほどスムーズに終えると、次は頭蓋骨を骨切にとりかかる。見学していた医師たちがため息をもらした。

「さすがは侍医長様です」
「やあ、まだ始まったばかりじゃないか、おだてないでくれよ」

 賞賛の声が上がる中、クロードは平常トーンでそんな受け答えをしていた。軽口をたたきながらも、集中は絶やさない。
 彼はドリルに持ちかえ、骨表にいくつか小孔バーホールを穿孔し、その間を糸鋸で切ってゆく。脳生検のときに事前に穿孔したものも利用する。ブリジットは適宜整理食塩水を投与することで、骨の欠片が飛び散るのを防ぐ。

「さあ、目的の腫瘍へ行くぞ、案内してくれ」

 ファルマはブロンデルの頭部の透明模型を示しながら、血管の位置も注意し、どこに腫瘍があるのかを正確にナビゲートする。クロードは脳実質と白質を切開し、予定通りのルートで腫瘍にアプローチした。

「これか……確かに、白質と色が違うな。腫瘍だ」

 腫瘍の全周を、安全域を残してメスで外周剥離を行ってゆく。右前頭前皮質の切開を進めるクロードは、ファルマの指示に従う。機能を最大限に温存するには覚醒下での手術がよいのだが腫瘍のある場所は言語野や運動野ではないので、覚醒下で行わなくてもよいと判断した。クロードの神術により出血はコントロールできているものの、断端からの出血点は、ブリジットが凝固止血でつぶしてゆく。
 クロードは操作を終えると一息ついた。水分を補給しながらもクロードは冷静そのもので、汗一つかかない。

「よし、摘出操作は終了。これで全摘出だろうか、ファルマ教授、見てくれ」

 ファルマは体をどかせたクロードに代わり摘出腔の奥を覗き込み、摘出腔に指を入れて、固い腫瘍が残存していないことを確認する。

「はい、これで間違いないと思います。摘出率は99%は確実かと。では摘出腫瘍を迅速診断に回して」

 断端に腫瘍がないかということを、今度は病理学的に検索するためだ。病理医はまだいないが、臨床検査部と病理部の機能を合わせ持った部署が立ち上がっている。
 ファルマは術中迅速診断を待ちながら、診眼に加えて拡大視を用いて、腫瘍の取り残しがないかを念入りに確認する。細かく見ても、光る部分はどこにもない。
 摘出範囲は十分だと思われたが念のため、エレンにも確認する。ダブルチェックできるようになったのが有難い。

 追加切除なく一度の手術で取りきる、目指すのは根治だ。

「エレンはどう見える?」
「取り残しはないと思う、光っている部分はないわ、でも顕微鏡を使って見たわけでもないし」
「細胞単位の残存を追うのは、限度があるよな……」

 待機していると15分後、専従医からの判断が告げられた。

「断端に腫瘍はないとの見通しです。追加切除は不要です」
「ありがとうございます」

 よしきたとばかり、ファルマが答える。

「再発防止のためにカルムスチン生体内分解性ポリマー基材を留置し、腫瘍標的放射性抗体の投与を行います」
「よし、ではこの段階はド・メディシス教授に任せるとしよう」

 この操作はファルマが担当する。カルムスチンは、腫瘍のDNAの転写複製阻害を行い、腫瘍細胞の増殖を抑える。放射免疫抗体は、ファルマが術前生検で検体を徹底的に遺伝子検査することによって見出した腫瘍に最適な抗体、それが腫瘍に特異的に結合し、さらに抗体に結合させたベータ線とガンマ線を放射する放射性物質が、脳内に散らばった可能性のある腫瘍細胞を死滅させるだろう。

「よし。では閉創、閉頭だ。深部から順にいくぞ」

 クロードは硬膜を縫合し、ファルマが提供したフィブリンの糊で髄液が漏れないよう閉鎖しておく。無血的な手術であったので、ドレーンの留置も必要なさそうだ。糸で骨片と骨縁を縫い合わせて固定し、皮切の両端から丁寧に皮下を連続縫合、表皮も医療用ステープラーで閉創した。

「終了します。お疲れさまでした」

 エレンとファルマが診眼でブロンデルの全身状態を確認する。
 クロードから引き継いで、ファルマは麻酔の術後管理に移行する。彼女が覚醒するまでは、20~30分、気が抜けない。創部の感染については、ファルマが聖域を展開している限りはあまり心配しなくてもよいが、感染兆候には気を付ける。

「総手術時間は4時間41分、出血量は50量でした、お疲れ様です皆さん」

 クロードが手術室を退室してゆくのを見送り、ファルマはそう言って締めたあと、そっと安堵の息をついた。

「幸いにして、予知能力は正確だったわね。ド・メディシス教授」

 ブリジットは皮肉か称賛かわからない言葉をファルマにあてつけていった。 

 ◆

 全身麻酔から覚醒したナタリーは、母親とファルマが視野いっぱいに彼女を覗き込んでいるのに気付いた。

「私が分かる? よく頑張ったわ、手術は成功したわよ」

 フランソワーズはナタリーの手を握り、ファルマはナタリーの様子を注意深く見守って麻酔覚醒後の評価を行った。このあたりの手順はファルマも知らないことが多かったため、ネットで正確な資料を入手できるようになって随分と助かっている。

「腫瘍は全部取ってくださったわ。命拾いしてくださったのよ」
「よかった……ありがとうございました」

 ナタリ―は頭をもたげて、フランソワーズの隣に見えたファルマに礼を述べた。
 ファルマは軽く微笑んだまま頷いた。首をもたげると、病室にはほかの医師や薬師、エメリッヒにジョセフィーヌも入って彼女の術後管理に携わっているのが見えた。ジョセフィーヌは多くの人間の協力を得て手術を終えたことを知り、もう一度繰り返す。
 ナタリーが覚醒したと聞いて、クロードが下級医に呼ばれたのか術衣の上に白衣を羽織ったまま病室にひょこっと顔を出した。

「やあ、目覚めてくれて安心したよ」
「私もです、皆さん、ありがとうございました」

 ナタリーはぼろぼろと泣きながら、一人一人の目を見て頭を下げた。

「難しい手術だったと思います、もう二度と目を覚まさないのではと、半分諦めていました」
「少し休んだほうがいい。痛みが出てきたら言って。何か不安なことがあったら聞かせてほしい、今日はずっと傍についているから、疼痛管理は私と君の母上の担当だ」

 ファルマが言葉に詰まるナタリーに目くばせをした。

「ド・メディシス教授」
「なに?」
「窓際のクロキュスがちょっときれいに見えるので、明日も生きていけるような気がします」

 ナタリーは掠れた声でやっとそれだけ述べた。

「それはよかった。春になったら逆さに吊った青いバラをあげよう」
「今度は、”不可能を可能に”、ですか。教授のそういう気障なところ、大嫌いです」
「それは誉め言葉に聞こえるな」

 おどけたファルマを見てほほ笑んだ彼女は、うつらうつらして、やがて穏やかな寝息をたてはじめた。

挿絵(By みてみん)
◆謝辞
本項の医療描写は、医師 高橋敦宣先生に監修いただきました。どうもありがとうございました。
◆お知らせ
5月23日に、異世界薬局コミック版3巻が発売されます。表紙等の情報は活動報告をご覧ください。
◆参考文献
脳神経外科手術の基本手技 中外医学社 永田和哉ほか
STEP 外科 外科総論 脳神経外科 小林士郎ほか

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八男って、それはないでしょう! 

平凡な若手商社員である一宮信吾二十五歳は、明日も仕事だと思いながらベッドに入る。だが、目が覚めるとそこは自宅マンションの寝室ではなくて……。僻地に領地を持つ貧乏//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 完結済(全205部分)
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  • 最終掲載日:2017/03/25 10:00
ありふれた職業で世界最強

クラスごと異世界に召喚され、他のクラスメイトがチートなスペックと“天職”を有する中、一人平凡を地で行く主人公南雲ハジメ。彼の“天職”は“錬成師”、言い換えればた//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全319部分)
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  • 最終掲載日:2018/05/12 19:00
アラフォー賢者の異世界生活日記

 VRRPG『ソード・アンド・ソーサリス』をプレイしていた大迫聡は、そのゲーム内に封印されていた邪神を倒してしまい、呪詛を受けて死亡する。  そんな彼が目覚めた//

  • ローファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全160部分)
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  • 最終掲載日:2018/03/27 12:00
没落予定なので、鍛治職人を目指す

前世でプレイしていたゲームのキャラに生まれ変わった主人公。そのキャラとは悪役令嬢とともに没落し、晩年を夫婦として一緒に暮らすクルリ・ヘランという男だった。 ゲー//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全127部分)
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  • 最終掲載日:2018/05/17 21:23
異世界食堂

しばらく不定期連載にします。活動自体は続ける予定です。 洋食のねこや。 オフィス街に程近いちんけな商店街の一角にある、雑居ビルの地下1階。 午前11時から15//

  • ローファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全120部分)
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  • 最終掲載日:2018/03/24 00:00
おかしな転生

 貧しい領地の貧乏貴族の下に、一人の少年が生まれる。次期領主となるべきその少年の名はペイストリー。類まれな才能を持つペイストリーの前世は、将来を約束された菓子職//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全187部分)
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  • 最終掲載日:2018/05/04 20:00
異世界のんびり農家

●KADOKAWA/エンターブレイン様より書籍化されました。  【一巻 2017/10/30 発売中!】  【二巻 2018/03/05 発売中!】 ●コミック//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全422部分)
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  • 最終掲載日:2018/05/10 00:58
異世界転移で女神様から祝福を! ~いえ、手持ちの異能があるので結構です~

 放課後の学校に残っていた人がまとめて異世界に転移することになった。  呼び出されたのは王宮で、魔王を倒してほしいと言われる。転移の際に1人1つギフトを貰い勇者//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全204部分)
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  • 最終掲載日:2018/05/10 00:00
失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~

とある世界に魔法戦闘を極め、『賢者』とまで呼ばれた者がいた。 彼は最強の戦術を求め、世界に存在するあらゆる魔法、戦術を研究し尽くした。  そうして導き出された//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全192部分)
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  • 最終掲載日:2018/05/09 11:00
聖者無双 ~サラリーマン、異世界で生き残るために歩む道~

地球の運命神と異世界ガルダルディアの主神が、ある日、賭け事をした。 運命神は賭けに負け、十の凡庸な魂を見繕い、異世界ガルダルディアの主神へ渡した。 その凡庸な魂//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全364部分)
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  • 最終掲載日:2018/05/17 22:00
デスマーチからはじまる異世界狂想曲( web版 )

◆カドカワBOOKSより、書籍版13巻+EX巻、コミカライズ版6巻発売中! アニメBDは2巻まで発売中。 【【【アニメ版の感想は活動報告の方にお願いします!】】//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全578部分)
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  • 最終掲載日:2018/05/13 18:00
賢者の孫

 あらゆる魔法を極め、幾度も人類を災禍から救い、世界中から『賢者』と呼ばれる老人に拾われた、前世の記憶を持つ少年シン。  世俗を離れ隠居生活を送っていた賢者に孫//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全130部分)
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  • 最終掲載日:2018/04/28 22:33
公爵令嬢の嗜み

公爵令嬢に転生したものの、記憶を取り戻した時には既にエンディングを迎えてしまっていた…。私は婚約を破棄され、設定通りであれば教会に幽閉コース。私の明るい未来はど//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 完結済(全265部分)
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  • 最終掲載日:2017/09/03 21:29
Knight's & Magic

メカヲタ社会人が異世界に転生。 その世界に存在する巨大な魔導兵器の乗り手となるべく、彼は情熱と怨念と執念で全力疾走を開始する……。 *お知らせ* ヒーロー文庫よ//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全142部分)
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  • 最終掲載日:2018/05/14 21:47
二度目の人生を異世界で

唐突に現れた神様を名乗る幼女に告げられた一言。 「功刀 蓮弥さん、貴方はお亡くなりになりました!。」 これは、どうも前の人生はきっちり大往生したらしい主人公が、//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全404部分)
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  • 最終掲載日:2018/05/14 12:00
ワールド・ティーチャー -異世界式教育エージェント-

世界最強のエージェントと呼ばれた男は、引退を機に後進を育てる教育者となった。 弟子を育て、六十を過ぎた頃、上の陰謀により受けた作戦によって命を落とすが、記憶を持//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全180部分)
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  • 最終掲載日:2018/03/17 16:22
謙虚、堅実をモットーに生きております!

小学校お受験を控えたある日の事。私はここが前世に愛読していた少女マンガ『君は僕のdolce』の世界で、私はその中の登場人物になっている事に気が付いた。 私に割り//

  • 現実世界〔恋愛〕
  • 連載(全299部分)
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  • 最終掲載日:2017/10/20 18:39
マギクラフト・マイスター

 世界でただ一人のマギクラフト・マイスター。その後継者に選ばれた主人公。現代地球から異世界に召喚された主人公が趣味の工作工芸に明け暮れる話、の筈なのですがやはり//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全1886部分)
  • 18632 user
  • 最終掲載日:2018/05/18 12:00
蜘蛛ですが、なにか?

勇者と魔王が争い続ける世界。勇者と魔王の壮絶な魔法は、世界を超えてとある高校の教室で爆発してしまう。その爆発で死んでしまった生徒たちは、異世界で転生することにな//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全537部分)
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  • 最終掲載日:2018/02/03 23:34
魔王様の街づくり!~最強のダンジョンは近代都市~

 書籍化決定しました。GAノベル様から三巻まで発売中!  魔王は自らが生み出した迷宮に人を誘い込みその絶望を食らい糧とする  だが、創造の魔王プロケルは絶望では//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 完結済(全223部分)
  • 19035 user
  • 最終掲載日:2018/03/30 19:25