JR北海道の札沼線・北海道医療大学~新十津川間の廃止が決定的になりました。沿線4町のうち、強く存続を求めていた月形町が廃止を受け入れる姿勢を示したためです。今後、バス転換の協議に移り、2019年に廃止となりそうです。
月形町が廃止受け入れへ
札沼線・北海道医療大学~新十津川間(札沼北線)は47.6kmで、1日の運転本数は上下15本。2016年度の輸送密度は64人で、道内で最も利用者が少ない区間となっています。JR北海道は「単独で維持できない路線」として廃止を求めており、沿線4町と協議してきました。
沿線4町のうち、浦臼町と新十津川町はバス転換を容認する姿勢を見せている一方、月形町は北海道医療大学~石狩月形間について、部分存続することを求めてきました。当別町は、月形町に歩調を合わせる姿勢を示しています。
月形町の上坂隆一町長は、2018年5月16日に、JR北海道の西野史尚副社長と会談。西野副社長は、町が求めていた部分存続について「安全面や運行管理上の問題がある」として、存続は困難との回答書を渡しました。
北海道新聞5月17日付によりますと、「上坂町長は会談後、記者団に『存続は非常に難しく、苦渋の選択をしなくてはならない』と述べ、廃止受け入れを検討し、6月に最終判断する方針を示した」とのことです。
高橋知事も決断促す
月形町が存続を断念する姿勢を見せたことで、JR札沼北線の存続を強く求める自治体はなくなり、廃止はほぼ決定したといえます。
2018年4月27日には、高橋はるみ北海道知事が、札沼北線を視察。毎日新聞によりますと、沿線4町長との会談で「限られた財源や時間の中で、最適な交通体系は何か早期に結論を出してほしい」と、4町の決断を促しました。
4町はいずれも近く結論をまとめる予定で、それを受け、沿線4町長でつくる「沿線まちづくり検討会議」が6月中にも会合を開きます。そこで札沼線の存廃に関する最終的な見解が出そうです。
2019年秋がタイミング
鉄道の廃止は、自治体と最終合意してから約1年後となるケースが多く、2018年夏に札沼北線の廃止で沿線4町とJRが合意すれば、廃止日は2019年夏以降が有力です。
JR北海道は、2018年2月16日に、札沼北線の代替バスの運行計画案を示していて、今後、4町と代替バス運行の協議に入るとみられます。
廃止日の決定は、協議の進展によって変わるとは思いますが、経営改善を急ぐJR北海道が、あまり遅らせるとは思えません。2019年の夏休みを終えた8月末か、上半期末の9月末頃といった秋口が、札沼北線廃止の1つのタイミングになりそうです。(鎌倉淳)