正直ガンダムW観たことないおじさんなのでスルーしていたのですが、インターネットで「HGリーオーすごい」と話題になっていたので
静岡ホビーショーで買ってきたプラモをほったらかして組んでみることにしたのでした。
結論から言うと、全モデラーは一回これを組んでうーむと唸らないといかんな、という感じでしたので備忘録しておきます。
総員、組むべし。
野村総合研究所によれば、プラモを作っている時間の9割は「パーツを探している時間」だということです。嘘ですけど。
とはいえ、「C6」って説明書に書いてあったら「Cってどれだっけ」「6ってどこだよ」と2回探すことになります。
人間はアタマが悪いので、5秒後にはCのランナーがどれだったのかわからなくなります。
そこでバンダイは「脚なら脚に使うパーツはひとつのゾーンにまとめておけばよくね?」と考え、実行しました。
ガンプラ誕生から39年くらい経ってる気がしますが、ようやく気づいたのかと。パーツ探すのがめんどくせえから、ひとつのタームで使うパーツをまとめよう、と。
これ、簡単に見えるしすぐできそうな気がしますが、設計にも製造にもけっこう負担がかかります。
金型の構造的に成形しやすいかどうかよりも、違う数と大きさのパーツをキレイな四角におさまるよう配置する方を優先する。
製法より、デザインを優先して物作るのはめんどくさいし、難しいのだ。
プラモって、わざわざ面倒な作業を買っているわけですよね。自分でパーツを探して切って組まなければいけない。
「苦労するのが楽しいんじゃないか」「労力の先に成果物があるから面白いんじゃないか」という考え方もありますが、
「じゃあ成果物がすごければどこまでもめんどくさくていいのか」「生まれて初めて作る人のことは無視していいのか」というのがその裏にあります。
ようは、「めんどくささのアンバイ」というのがプラモデルの性格を決めてるんだと思うんですよね。
本当に組むのが嫌な人のためなら、おそらくいまのバンダイは「できちゃってるガンプラ」だって作ることができるはずです。
しかし、オレはランナーにくっついたバラバラのパーツを組むのが好きなんだ!という全国のプラモ好きのために、
今回バンダイはリーオーというシンプルなモチーフを使って「めんどくさくないガンプラ」を提案してきたわけです。
やっぱり物を誰かに作らせるには、説明が必要です。
説明が足りなかったり、あまりに複雑で面倒なことをさせるために説明が大量に必要だったりすると、それはそれで困ります。
挑んでみて、できる。その構造が、組むという過程のおかげで、なんとなくわかる。
このことにめっちゃ自覚的で、「説明」というもののあり方に革命を起こしたのが、近頃話題になったNintendo LABOです。
ワタクシ正直、発売日に触って「え!プラモって説明足りなさすぎない!?」と思っちゃったんですね。
そりゃダンボールの折り紙とプラモは違いますけど、でも「人に何かを作らせるためには説明が必要だ」ということは共通してます。
そのへんのニュアンスについてはCONTINUEの最新号にワタクシも登場して、綴ってもらいました(宣伝)。
みなさんはプラモのどこが「面倒なだけ」で、どこが「面倒だけど楽しいポイント」なのか、考えたことはありますでしょうか。
線引きはむずかしく、両者はどこかで溶け合っているかもしれません。
しかし、プラモを提供する側が「面倒なだけ」っていうところを解消してみようかな、と本腰入れたのは、結構な事件だと思います。
願わくば、いろんなプラモがそういう考えかた(「面倒さ」の種類と、その性質を咀嚼して部分的に解決しておくこと)を取り入れてくれると
うれしいな~と思ったりして、Nintendo LABO褒めすぎてごめん。バンダイも頑張ってるよ、ウンウン。と締めさせていただきたいのです。
とにかくHGリーオー、構成にものすごく納得感があるし、「いままでのガンプラと同じ構造なのに数倍のスピードで組める」というのが
驚くべきポイントですので、プラモに興味ある人、ぜひ組んでみてください。