無意味な「目標設定面談」が横行している理由

上司と部下の「満足度」には大きな開きがある

「面談がうまく機能していない」のはなぜでしょうか(写真:ふじよ / PIXTA)

暖かくなり、1年で一番過ごしやすい時期が到来した。しかし同時に、「5月病」の時期でもある。4月に新しく目標を設定したものの、実のところ、モチベーションが上がっていないという職場も多いのではないだろうか。

実際、期初の4~5月に当年度の目標設定面談が行われている会社は少なくない。

ところが、である。大手企業の人材開発や経営・組織コンサルティングを数多く手掛ける筆者には、「面談がうまく機能していない」とご相談をいただくケースが意外に多い。

ある企業で面談に関する調査を実施したところ、上司は7割が面談の意義を実感していたが、部下は2割程度にとどまっていた。つまり目標設定やアドバイスを受ける側の8割が「面談は意味がない」と感じていたのだ。

このような状態では、いくら面談を行ったところで時間を浪費するだけ。目標達成も社員の成長も望めない。そこで今回は、面談がつまらないと感じてしまう要因についてご紹介していこう。

つまらない面談は、一方通行になりがち

ひとつの目安は、マネジャーとメンバーの発言量。課題を抱えている企業の面談を調査したところ、30分の面談のうちメンバーの発言時間はわずか3分という面談も存在した。つまり、マネジャーが自分の意見を一方的に話し、メンバーは頷くだけという状態なのだ。

では、なぜ一方通行な面談になってしまうのだろうか。それにはいくつかの要因がある。典型的なのは、目標を下ろすだけ、指示をするだけの場になっていることだ。

メンバーに任せたい仕事が、事業やサービスにとってどんな意味があるのかを伝えているだろうか。また、メンバー本人が目指すキャリアや生き方を把握し、今の仕事と結びつけて会話できているだろうか。こうした接続ができると、仮に地味だと思われがちな業務であっても、その役割の重要性が理解でき、自分がやり切る意義にも気づくことができる。

このような会話は、今どのような想いで業務に取り組んでいるか、どんな将来を描いているのかをメンバーから引き出さないと成立しようがない。だからこそ、一方通行ではなく対話が重要なのだ。

次ページまともに話すのは面談のときだけ、にも注意が必要だ
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  • NO NAMEbce10fa9ba55
    目標管理による評価は人事部門や経営者の責任放棄だと思う。上から言われて設定した個人の目標は、上から降ってきたものか自己申告のどっちかがほとんどだろう。どっちにしろそんな目標が達成したかどうかによる評価など客観性に欠ける。

    それに実際多くの日本企業は、流行りの目標管理を導入しつつ、実際には労働時間で評価する慣行が横行している。無駄なことはさっさとやめた方がいい。
    up3
    down0
    2018/5/18 08:57
  • NO NAMEec9169022bad
    つまらない面談する管理職者もまた、その上司とつまらない面談をしているのですよ。
    社長から平まで、全員が雇われ者なんだから、その立場に適したコトバを選んで喋ってをいるだけ。
    面倒者がその上に報告くしやすく答えれば良いこと。その仕組みに気がつくのに20年かかってしまったけどな。
    up1
    down0
    2018/5/18 08:56
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