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5月15日総務委員会 吉川議員ブロッキング関連質疑

参議院インターネット中継書き起こし(部分)
開会日 2018年5月15日
会議名 総務委員会
審議時間 約3時間4分


(0:55:50から)

(吉川議員)次に今これは憲法に定める通信の秘密とかいろんなことに関わるインターネットの海賊版サイトに対する緊急対策について伺っていきたいと思います。4月13日知的財産戦略本部犯罪対策閣僚会議はインターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策を取りまとめました。特に悪質な海賊版サイトによる著作権者等の権利侵害拡大を食い止めるため速やかに ISP 等によるブロッキングを実施しうる環境を整備する必要があるとされています。ブロッキングは憲法第21条第2項、電気通信事業法第4条第1項、で定める通信の秘密を形式的に侵害する可能性があり、本来は立法府である国会で議論をし実施されるべき事柄です。この緊急対策の位置づけについて端的に伺います。

(住田局長)ご指摘の点でございますけれども、ご指摘の通り先般4月13日に緊急対策が決定されました。今回の緊急対策におきましては昨今運営者の特定が困難であり、また侵害コンテンツの削除要請すらできないような悪質な海賊版サイトが出ていることを踏まえまして、まずはこうした悪質な海賊版サイトのブロッキングに関する考え方の整理をいたしまして、その上で法制度整備が行われるまでの間の臨時的かつ緊急的な措置といたしまして民間事業者による自主的な取り組みとして、三つの特に悪質なサイト及びこれと同一とみなされるサイトに限定してブロッキングを行うことが適当と考えられる、というような考え方を示したものでございます。

(吉川議員)ブロッキングは遮断の前提として、論理的にはですが、すべての通信について通信事業者が利用者のアクセス先を取得する必要があり、形式的にはですが、全てのインターネット利用者の通信の秘密を侵害する可能性があります。政府は今回の緊急取りまとめにあたり、通信の秘密との関係についてどういう整理をされたんでしょうか。長い答弁は結構です。

(住田局長)この通信の秘密との関係でございますけれども、知財本部におきましてはインターネットの海賊版につきまして、侵害行為の巧妙化複雑化による被害の深刻さが注目をされ始めました2016年からサイトブロッキングを含む対策方法について検討を進めてきたところでございます。特に昨年秋以降、こうした運営者の特定困難、あるいは侵害コンテンツの削除要請すらできないという巨大な海賊版サイトが登場して被害を急速に深刻化したことを踏まえまして、それ以降本年4月までの間に、知財本部の元で法的な論点も含めまして有識者からのヒアリングあるいは意見交換を行いまして、また政府内での検討を加速化をしたところでございます。議論の過程におきまして通信の秘密との関係も含めまして検討を行っておりまして、結果として今回の緊急対策に起きまして仮にISP事業者のブロッキングが通信の秘密を侵害に当たるとしても、刑法第37条の緊急避難の要件を満たす場合には違法性は阻却されるものと考えられ、としたところでございます。

(吉川議員)今の答弁に対しては個人的には申し上げたいところたくさんあるんですが、まあ本日はこのプロセスについて伺っていきたいと思います。今、議論がなされた、特に今年に入ってから云々とありましたが、今年2月16日知的財産戦略本部検証評価企画委員会コンテンツ分野会合第3回においては、模倣品海賊版対策についての討議として、インターネット上の海賊版対策に関する論点整理が議題とされていますが、この会合は非公開とされています。議事要旨、ほっとんど書いてないんですけど、その中で参考人からの提案含めた報告を踏まえ質疑応答と意見交換を実施としていくつかの項目だけ羅列されています。配布資料が乗っていたましたのでその辺資料を拝見しますと、海賊版サイトのブロッキングにつき通信の秘密との関係で慎重な意見を述べた参考人も複数いたことが窺われますが、何で非公開だったんでしょうか。端的にお願いします。

(住田局長)ご指摘の通り、2月16日 (聞き取れず)会議におきまして、インターネット上の海賊版対策についての集中討議を行いました。具体的には、海賊版対策を行なっている権利者団体の他、憲法学者あるいは情報法制に詳しい法律家も参考人としてお招きをいたしまして、インターネット上の海賊版サイトの被害の状況及びその対応策についての法的論点を含めた議論を行いました。この議事ににおきましては権利者として特に問題視しております悪質な海賊版サイトの実例あるいは個社の被害状況、さらにはこれまで講じてきた対策などを明確にしながら適切な対応策について関係者間で率直な議論を行う必要があったわけでございます。一方でこうした情報、今申し上げましたような情報を開示することになりますとかえって悪質な海賊版サイトが注目を浴びてしまうことによってその当該サイトに対する訪問者数が急激に増加をするのではないかということの懸念、あるいは権利者側が講じてきた、あるいは講じようとする対策について海賊版サイトの運営者などがなどを含めて広く知れ始めてしまう、手の内が知れてしまうというような恐れがある、さらには、個者の売り上げの減少をなどの状況を一般に開示することによって、会社の信用力などを含めまして当事者の利益を害する恐れがあったということから、検証委員会企画委員会の運営に関わる規定に基づきまして、議論は非公開として、議事要旨のみ公開をするという判断に至ったものでございます。

(1:02:00)

(吉川議員)今色々関係者から話を聞いて決めたというお話、なっがーい答弁でしたがありましたけれども、では、関係者の中で、実際にブロックをやるとなったらISP等の事業者がやることになるんですが、その辺の知見を持った関係事業者呼んで話ししてますか。

(住田局長)え、あの、今回のですね、議論の中で、まその2月16日の議論を含めまして、知的財産戦略本部の検証評価企画委員会において、通信事業者からの意見聴取を行ったということはございません。

(吉川議員)だからこそ、今回通信の秘密を形式的に侵害する可能性があるような議論をするわけですから、広く、議事概要だって不誠実ですよ、項目ほとんど書いてません。これでは何を議論したか国民は知ることはできません。ですから議事要旨だけでなく、この際今からでもいいですから議事録も公表し、ブロッキングと通信の秘密の関係等について政府においてどのような検討を行い今回の緊急対策の決定に至ったか、検討の経緯を公開するべきだと思いますが、ま局長に聞いても多分いい答弁返ってこないと思う、どうですか個人的に思いませんか。

(住田局長)今回の議論につきましては元々非公開を前提とした上での議論であったこともございますので、公開の判断につきましては議論に参加した関係者との間で調整を要するというふうに考えております。 この議事の内容について部分的な公開が可能かどうか、という点につきましては、その後の状況変化、あるいは関係者の意向を踏まえながら検討して参りたいというふうに思います。

(1:03:42)

(吉川議員)実は今回の緊急対策の中では、海賊版サイトのブロッキングが緊急避難の構成要件を満たすかについて法的整理を示し、法益権衡の要件については平成22年の児童ポルノのブロッキングに係る議論における、著作権を保護法益とするブロッキングについての整理を引用されています。申し上げます。「2010年における議論は昨今のように大量の著作物を無料公開し現行法での対応が困難な、特に悪質な海賊版サイトが出現する前の状況を前提としたもの、財産権であることをもってすなわち回復可能と断じるのではなく、こうした特に悪質な海賊版サイトに係る状況を勘案した上で事例に即した具体的な検討が求められる。その際には保護されるべき著作物が公開されることによりどの程度回復困難な損害を生じ得るかという観点などから検討が行われるべき」とされています。児童ポルノブロッキングに関しては数年にわたる議論の末、インターネット利用者の通信の秘密や表現の自由に不当な影響を及ぼさないように配慮しつつ、関連事業者が自主的に実施するものとされたと承知しています。一方今回の海賊版サイトのブロッキングに関しては、知的財産戦略本部等の、ほとんど公表されていませんけれども、公表資料等を拝見する限りどのような経緯根拠で緊急対策に至ったのか不明確な点も多々ございます。児童ポルノのブロッキングに関する議論の中で著作権について本構成を応用することは不可能とされたことを踏まえると、緊急対策の決定にあたって改めて緊急避難の構成要件を全て満たすのか十分に検討する必要があったと思いますがいかがでしょうか。

(住田局長)今回の緊急対策の中でも、その点につきまして、詳細に関係省庁とも良く連携をしながら考え方の整理をしたものでございます。先ほどございました、ご指摘ございました通り、あの2010年時点における議論との差異というのについてもご紹介いただいた通り整理をしてございます。またこの特に悪質な海賊版サイトに関するブロッキングについての法的整理という紙をまとめたわけでございまして、その中で緊急避難の構成要件の検証といたしまして、現在の危難がどれくらいの規模で生じているのかという点、また第二番目は補充性、すなわち他の手段を尽くしているのかという点でございますけれども、その観点から運営者への削除要請とか、あるいは検索結果からの表示削除を要請、さらにはレジストラへの削除要請、あるいは広告規制、訴訟告訴といったあらゆる対策がとられているかどうかということについても検証をしたところでございます。さらに法益権衡につきましては、この保護法益と侵害法益との比較ということについて、先ほどご紹介のあったような点も踏まえまして、2010年の時との差異を言うのを明確にしながら議論を進めたというところでございます。

(1:07:00)

(吉川議員)今の答弁についても個人的には多々ございますが、先ほど電気通信事業法の改正案でサイバー攻撃への対処の時は、この情報共有については総務省内に検討会を設け事業者からヒアリングを行い通信の秘密との関係について検討がなされたことが、先から引用している取りまとめからも伺われます。一方、今回の緊急対策、海賊版サイトの緊急対策については、漫画の売り上げが減少するなど著作権出版権者の権利が著しく損なわれ、一刻も早い対策が必要であるということは私自身も重々認識しています。が、通信事業者による自主的な取り組み、という法的位置づけが不明確な形で対処を促すという決定が政府においてされました。今回のサイバー攻撃に係る情報共有と比較し、決定に至るプロセスが不透明であるような気がしてなりません。電気通信事業を所管する総務省はこの緊急対策の決定につきどのように認識されているか、一言で構いません見解をお願いします

(渡辺局長)(略)

(1:08:43)

(吉川議員)海外におけるブロッキングの状況ってどうですか。


(住田局長)(略)


(1:09:16)

(吉川議員)4月17日の当委員会において住田局長は、サイトブロッキングでございますけれどもすでに海外では40カ国以上の国で導入をされておりますと言って、今みたいに国名をずーっと並べました。が、実はこれらの国が立法あるいは司法手続きを経ることなく、行政府が特定のサイトを指示しブロッキングを実施している国というのはありません。いずれ立法または司法手続きを経て、ブロッキングを認めており、行政限りで特定のサイトを指示して実施している国はありません。ですから、先ほど総務省から答弁ありました通り、有効かつ適正な手続きに基づく対処が可能となる法制度整備が早急に求められると思います。緊急対策においてブロッキングは通信の秘密の他にも表現の自由(憲法第21条)への影響が懸念されることや、技術的にはあらゆるコンテンツの閲覧を利用者の意思に関わらず一律防止可能とするものであるとされています。緊急対策が今回の措置を「法制の整備が行われるまでの間の倫理的かつ緊急的な措置」としていることを踏まえると、今後の発生するであろう著作権侵害について有効かつ適正な手続きに基づく対象を可能とするよう、早期にこの制度を整備する必要があると思います。ただ先ほどから申し上げております通り、法整備に当たってもさまざまな意見が、懸念が、多くの、いろんな方々から賛否含めて表明されている状況を踏まえ、今後議論するときは知的財産戦略本部に限らず、広く関係者の意見を踏まえた上で、迅速にブロッキングと通信の秘密との関係を整理し法的根拠を明確化する必要があります。法整備の検討の体制、進め方、スケジュールについて、今持っている案があればお願いします。

(1:11:02)

(住田局長)ご指摘の通り今の緊急対策というのは臨時的かつ緊急的な対応でございまして、法制度整備を行うまでの間と考えてございます。必要な法制度の整備につきましては、次期通常国会への提出を目指して検討を行うことをこの緊急対策と同時に確認をしたわけでございます。ご指摘の通り通信の秘密等を含め多方面で様々なご意見がございますことは承知をしておりますので、こうした関係者の理解を得ながら十分な議論を踏まえかつ迅速に関係省庁と連携しながら検討して参りたいというふうに考えてございます。

(吉川議員)緊急取りまとめの一部をみると、リーチサイトについては臨時国会または次期通常国会を目指しと書いてあります。今回の件は本来であれば、立法措置があって対応するべき問題でしたので、出来れば次期通常国会とおっしゃらずに今度の臨時国会でも可能となりを迅速に広く関係者の意見を聞いて対応法整備を進めて頂きたい、そうしなければならない問題だと思っています。今日は立法府と行政府の関係から包括委任規定や改正案の内容について伺ってまいりました。これからも立法府の一員としてしっかり行政をチェックして参りたいと思いますので今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(1:12:18)