記者は現在、ソフトウエアのロボット(ソフトロボ)を使ってPCの定型作業を自動化する技術「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」を積極的に活用している企業の取り組みを取材している。取材企業数は20社近く。その成果は2018年6月以降、日経 xTECHや日経コンピュータで紹介する予定だ。
その取材の中で「Excelのマクロ使いが、日本の人手不足を解消する」という興味深い話を聞いた。Excelのマクロとは、Excelの定型操作を自動化するマクロ機能のこと。Excelのマクロ使いは、その機能を駆使してきた現場担当者を意味する。
そう指摘していたのが、リース会社であるSMFLキャピタルの川名洋平執行役員オペレーション本部長と、藤原雄情報テクノロジ本部デジタルリーダーだ。2人はデジタル変革の一環で、社内へのRPA普及に取り組んでいる。
SMFLキャピタルは2017年5月、オフィスワークの生産性向上を狙ってRPAの全社適用を始めた。UiPath日本法人のRPAツール「UiPath」を採用し、2018年3月までに200体のソフトロボを稼働させて、年間12万時間におよぶPCの定型作業を削減。浮いた時間を新規事業などの取り組みに当てている。
SMFLキャピタルではRPAの現場普及を狙い、RPAアンバサダーと呼ぶ現場の推進担当者を社内で20人以上任命。UiPathのソフトロボ開発トレーニングを積み、現場でPC作業の自動化に取り組んでいる。
繰り返し業務に疑問を持てることが貴重
このRPAアンバサダーの中に、Excelのマクロ使いが少なくないという。その理由を、「Excelのマクロ使いは、Excelを使った操作のうち、同じ手順の操作を繰り返すことに疑問を持って解決できる人たち。ExcelにとどまらずPCの定型作業を自動化するRPAの推進役として適任だ」と川名執行役員は説明する。