マレーシアの歴史的政権交代はなぜ起きたか

そのとき、現地の人々が取った行動とは?

5月9日に投票が行われたマレーシア議会下院選挙は、92歳のマハティール元首相が率いる野党連合が過半数議席を獲得して勝利した(写真:Lai Seng Sin/REUTERS)

 歴史的な政権交代となったマレーシア。5月9日の第14回下院議員選挙では、連立与党「国民戦線(BN)」が、92歳のマハティール・モハマド元首相が率いる野党連合「希望連盟」に敗れ退陣した。1957年の独立以来、初の政権交代。現地から人々の様子をレポートする。

諦めが「驚き」に変わった夜

「奇跡だ」「信じられない」という声。

大方の予想に反し、なぜ92歳の元首相が率いる野党連合が、独立以来の長期政権を破ったのか。

政権交代の背景には、長期政権による汚職やスキャンダルがあった。政府系ファンド「1MDB」をめぐる汚職事件で、ナジブ・ラザク前首相の関与が疑われた。消費税の導入にも根強い反対がある。

マレーシアには人口の過半数を占めるマレー系に加え、華人、インド人という3大民族が住む。飲酒をせず豚肉も食べないイスラム教徒のマレー系に対し、豚肉を食べ飲酒をする華人、さらにはタミル語やヒンドゥー語を話すインド人と、それぞれがコミュニティを形成。まったく文化も宗教も異なる3民族が微妙なバランスで共存してきた歴史がある。

長年の与党だった「国民戦線」は最大民族であるマレー人をブミプトラ政策で庇護し、彼らから支持を得てきた。ところが今回、マレー人の中にも野党に鞍替えする人が現れたのだ。この現象はマレーシアでも日本語で「マレー津波(Malay Tsunami)」と表現された。

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  • NO NAME0ed9d9f6b2d5
    2020年に先進国入りという明確な目標を持って長年頑張ってきた国。
    他民族国家で色々根深い課題が山積しているが、若者も政治に関心が強く、
    投票率も80%を超えている状況を見ると熱量が有り、明るい未来を感じる。
    老人ばかりで、政治に無関心、寛容さも無くし、何につけても叩く風土。
    この国は一体どうしてこうなった。
    up33
    down4
    2018/5/17 09:45
  • 池谷34a8adecdc45
     選挙公約にしたがって消費税を廃止した。素晴しい政治家の
    集まりだと思う。

     選挙公約を実行しない上に、選挙公約に反して増税を決めたり
    (民主党)選挙公約に書かずさらなる増税項目を増やす(自民党)
    と比べるとうらやましいほどの民主主義国家だと思う。
    up6
    down0
    2018/5/17 13:44
  • NO NAME22946ef456d8
    ナジブラザクと前与党はとんでもない売国奴だからなあ、自分の汚職の為に国を売り、国を上げた事業は全てが自作自演からのとんでもない額の汚職、フェイクニュースとかいうは国会も通さず3日で法律化、消費税を導入すれば50%の商品の値段が下がるとホラを抜かすクソ政党、政権交代の最大の理由はあまりにひどい前政権の汚職っぷりと国を退化させる無能を追放するためだろう
    up1
    down0
    2018/5/17 18:23
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