度重なるやじや失言で、批判が拡大している麻生太郎財務相が16日、都内の講演で、盟友の安倍晋三首相に触れた際に「おなかの悪いやつ」と述べ、潰瘍性大腸炎が持病だった首相を、やゆするような発言をした。北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の政府専用機をおちょくるような発言もあり、国際社会を巻き込む形で「軽率」との批判が広がる恐れもある。麻生氏の言葉は、歯に衣(きぬ)着せぬ「麻生節」では済まされない領域に入ってきた。

 麻生氏はこの日、自民党議員のパーティーであいさつした際、物議を醸す発言を繰り返した。1つは、盟友である首相に対して。12年の自民党総裁選で、自らが首相を支持した経緯に触れた際「暗いやつを選ぶか、あまり頭の良くないやつを選ぶか。だったら、おなかの悪いやつを選ぶのがいちばん良い」と述べた。

 暗いやつ→石破茂元幹事長、あまり頭の良くないやつ→石原伸晃氏が念頭にあったとみられ、「おなかの悪いやつ」は、潰瘍性大腸炎を患った首相を指すのは明らかだ。首相はこの病で、第1次政権退陣に追い込まれた。固い絆の盟友とはいえ、公の場で他人の持病をやゆするような発言をするのは、「無神経」との声が、党内でも出ている。