先日のSNSでのやりとりについてお伝えしたいことがあります。
私の発信や、やり取りを通じて、「批判を許さない」という圧力的な印象を与えてしまったこと。
私に対して批判する人を、私が「見下している」かのような印象を与えてしまっていたこと。
もし、そういったことを感じてしまった方がいたとしたら、この場を借りて謝罪したいと思います。
信じてもらえないかもしれませんが、そのようなつもりでなんらかの発信をすることはありません。
それは誰にとっても益がないからです。 もしそのように受け取られてしまうのだとしたら、私の表現の稚拙さと人間的な未熟さの現れであると思っています。
斯様に未熟な私ですが、こんな未来を想像しています。
それは、ヨーロッパのロードレースの全てが日本でいつでも観たい時に視聴が可能となり、実況や解説はヨーロッパのレースの本質を伝えるメディアへと発展を遂げ、視聴者はそこで走る選手や監督の考えを手に取るように理解できるようになって、それを存分に楽しめるような観戦が可能となった未来。
そして、その未来において「グランツールを走ってみたいな」と思った子ども達や選手が現れた時に、それを夢物語ではなく現実にできるのだということを伝えること、「今、自分が世界のロードレース界のどの位置(順位・カテゴリー)にいて、ここからステップアップしていく次の段階は何であるか」が明確にでき、これから世界へ羽ばたいていけるようなビジョンを選手に提供できることとしてそれを確立したいと考えています。
それにより、新城選手、別府選手に次ぐ日本人選手が現れていない現在の状況が打破され、より多くの日本の若者が世界へ挑戦するチャンスにつながっていけると私は確信しています。
私は、第一に視聴者の方々に楽しんでいただけるためのことは当然の仕事であるとして、未来においての楽しみをメディアを通じ放送を通じて創っていきたいとずっとずっと考えています。
DAZNは昨年からサイクルロードレースの放送を開始し、私も解説のオファーを受けておりました。
しかし、それまで解説を担当させて頂いていたJSPORTSと両方の出演はできないという事情から、DAZNからのオファーは保留にさせて頂いておりました。
DAZNが参入することで放映権が高く買われ、ロードレース界の価値が高まったは大変喜ばしいことです。
レース放送数が一気に60レースと爆発的に増えた2018年。
ロードレースの価値が高く評価されたものの、急激に増えたレースの数に対して楽しくて見応えのある実況・解説を可能にする布陣がDAZNにはまだまだ整っていませんでした。
こうした事情から放送体制の未熟さに対して視聴者の不満が募り、仮にDAZNが自転車レースから撤退してこの60レースの放映が日本から無くなってしまうようなことが起こるのは、ロードレース界の価値の低下につながる大きな痛手だと感じます。
私は引退後、これまで全ての仕事を分け隔てなく受けてきました。 その初心貫徹で「自転車界の発展に貢献する」というただ一点において、DAZNの解説をお受けする決意をしました。
実況は全選手の情報記憶、順位、戦歴、いま映っている選手の判別、現地の歴史的建造物が映った瞬間の検索、解説への振りなど、山のようにある作業と情報の中から瞬時に自分の言葉を選び、視聴者に伝えています。
彼らがテンパった実況をしてしまうことになったとしても、まだまだ未熟な私が拙い解説をしたとしても、視聴者の中の誰かには何かが通じて、少しでもロードレースファンが育まれる様な関係が作れたらなんと素晴らしいことだろうかと思い、毎回全力を注いでいます。
イタリアではアマチュアのレースを中心に24時間レースを放送しているチャンネルがあります。
しかし今の日本の若者がグランツールよりも観ておくべきレースは、残念ながら日本では放映されていません。
そのレースは未来の選手だけでなく、目の肥えたロードレースファンにとっても価値の高いものなのですが、そうしたことの存在を知ることすらも日本では難しいのが現状で、私の中には如何ともしがたいもどかしさが常にあります。
素晴らしいことをもっともっと共有して、私が見てきたロードレースの世界を皆さんに届けたい、そのことについて皆さんと語り合いたい、皆さんと一緒にそうした未来へ行きたい、そして、皆さんがそれぞれに抱いている理想的なロードレースの世界を一緒に叶えたいのです。
これまでも、そして、これからも、日本の自転車界の発展に必要なことや課題は山積みです。
目先の事だけではなく、自転車界のどんな未来が待っているかを想像しながら、そこに近づけるよう私自身まだまだ未熟で進化の途中ですが、徒手空拳を恐れることなく頑張っていきたいと考えてます。
これからも皆さんに楽しんでもらえる、さらにロードレースが好きになれる上手な解説ができるようになりますので、見守っていてください。
そして、日本と世界のロードレースの未来を一緒に応援してください。
2018-05-11
2018-04-19
2018-02-09