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【社説】

財務次官辞職 認識違いも甚だしい

 耳を疑う発言である。福田淳一財務次官のセクハラ疑惑をめぐり麻生太郎財務相が、はめられたとの意見がある、などと擁護した。被害を受けた女性を加害者扱いする暴言だ。認識違いも甚だしい。

 これが安倍政権の共通認識なのだろうか。麻生財務相がきのう閣議後の記者会見で、辞職した福田氏のセクハラ疑惑に関連して「はめられ訴えられているんじゃないかとか、いろいろなご意見は世の中いっぱいある」と述べた。

 被害女性の人権を侵害しかねない内容だ。確たる根拠はあるのか。首相を経験し、今は副総理の地位にもある財務相が公式の場で根拠なく発言したのなら、その責任は重大である。

 そもそも麻生氏は、福田氏の監督責任を問われる立場だ。社員が福田氏から度重なるセクハラ被害を受けたとするテレビ朝日の抗議を受けて、まずは事実を確認し、厳正に対処すべきではないか。

 にもかかわらず自省の顧問を務める法律事務所に調査を委託し、被害女性に名乗り出ろと呼び掛ける手法で、公平さが保てるのか。

 退職金の支払いは留保したが、福田氏をとがめることなく、処分前に辞職を認めたことは、身内に甘いと批判されて当然だ。

 被害を訴える側をおとしめようとするのは、麻生氏に限らない。

 自民党の下村博文元文部科学相は二十二日の講演で、テレビ朝日社員が音声データを週刊新潮に提供したことを「はめられている」「ある意味犯罪だ」などと発言。

 同党の長尾敬衆院議員はセクハラ撲滅を訴える野党の女性議員らの写真とともに「私にとって、セクハラとは縁遠い方々」との文章を自身のツイッターに投稿した。

 いずれも撤回し、謝罪したが、セクハラ被害の重大性を認識していないのではないか。国会議員として行政監視の役割を果たしているとは到底、言えない。

 安倍晋三首相は、財務次官のセクハラ疑惑や自衛隊の日報隠し、森友・加計両学園の問題を念頭に「徹底的に調査し、全容を明らかにしてうみを出し切って組織を立て直す決意だ」と述べた。

 しかし、安倍首相が言葉通りにやりきれるかどうか、国民の目は厳しい。報道各社の世論調査で内閣支持率が軒並み続落していることがそれを示している。

 政府・与党はいずれの問題も、事実認定や処分、責任を曖昧にしたまま、国会審議を進めようとしている。そのような態度が続く限り、国民の信頼回復は望めない。

 

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