参考

2010年06月30日

参考文献

というわけで、参考文献です。
基本、音楽の理論書は、えらいお値段が張ります。
おったまげるくらい。
まあ、仕方ないッス。専門書が高いのは世の常。



「カンタン・オーケストレーション」で飽き足らなくなったら、次はこれ。
楽器ごとの特性や、譜例の解説が豊富。
「スター・ウォーズ」の譜例を解説してくれている本なんて、ほかにはないし。
この本、実はプロの人でも読んでる人はけっこう多いんですぜ。マジで。
今の時代、オーケストラっぽい音でも、打ち込みで作られているものがすごく多いしねえ。




この本。
楽器の説明もなかなかいいんですけども。
もっと素晴らしいのは、オーケストレーションの考え方について実例を挙げつつ解説してくれているところなんだな。
「旋律と伴奏でできている例」とか、「リズムが優先されている例」とか。
こういうことを知りたいんですよねえ。
移調楽器の説明はやや薄め。




こちら。
有り体に申し上げれば、初心者向けです。
でも、他の本にはあんまり出ていない、オーケストラの配置詳細とか楽器の仕組み、アレンジの詳しい手順とかが出ていて、すごく参考になる。
本格的な管弦楽法の本を読む前に、ぜひ読んでいただきたい本です。
値段もそんなに高くないし。
この「新総合音楽講座」シリーズは、なかなか使えます。




さらに飽き足らなくなってきたら、次はこれ。
楽器ごとのしっかりとした解説をお勉強いたしましょう。奏法とか構造とか。
移調楽器についても、しっかりお勉強いたしましょうよ。
たぶん、今の音楽大学で最も使われてるオーケストレーションの教科書ではなかろうか。
手頃な値段だし、中身も必要充分だし。
譜例の解説はそんなに多くはないけど、ちゃんと出てます。




なんと25000円。中身も値段もゴージャスなオーケストレーションの本だ。
元々は上下巻に分かれていたものを、1冊にまとめたもの。
譜例のオーケストレーションに関する解説は、あんまり多くないけど、音響的な面からの解説が興味深い。
でもここまでくると、実際に生のオーケストラのために書くチャンスのある人以外は必要ない気もいたします。
あと字が小さい。




実は、これが最強のオーケストレーションの教科書。しかし英語版しかない。残念だ。日本語版を出してはくれまいか。
楽器の各論も、譜例の解説も、群を抜いて多いのですよ。
あと、これが大事なんだけど、
別売のCD-ROMがありまして(追記参照)、演奏している動画や、譜例のオーディオなんかが全部入ってる。
文字で読むだけじゃなく、ビジュアル・サウンド面からも勉強できるなんて、なんと素晴らしい。
このCD-ROM、付属している閲覧ソフトはバグが多いので、個々の動画・サウンドファイルを取り出して、iTunesかなんかに取り込んじゃったらいいんじゃないでしょうか。
この本及びCD-ROMの簡易版のようなことを、このブログではやりたかったわけで。

<2017.12追記>

CD-ROMは絶版となった模様です。
かわりに、ハードカバー本を購入した人はCD-ROM相当のオーディオ・ビジュアルデータにアクセスできるようです。
但し、購入後1年間限定で、その後アクセスするにはライセンス料を支払う必要があるとのこと。
なんで改悪しちゃうんだ・・。
もしも中古で安くハードカバーの3rd EditionとCD-ROMが出てたら買うべき。


ところで、主に管楽器に関してですけども。これまでもなんとなく触れてきましたが。
楽譜上の音と演奏される音が違うものがあります。
移調楽器」と申します。
これを理解しないと、参考にオーケストラスコアを読もうとしてもよくわからないことになってしまいます。
先に挙げた、お高い系の本には詳しく説明されていますが、もうちょっと安価で「オーケストラスコアの読み方」的な本がいくつかありまして、いずれかを読めば理屈は理解できると思います。
Wikipediaの記事にもかなり詳しく書かれているんで、敢えて本を買わなくてもネット上の情報でどうにかなるような気も。




移調楽器と各楽器の音域の手軽なリファレンスとして、英語版ですけどこんな本があります。

手軽に持ち歩くにはもってこいです。
文庫本より小さいし。
あるいはKindle版をスマホとかに入れておくと、きっと便利なんではないかと。
本文の英語もそんなに難しくないです。

<2017.12追記>

日本語版が出てました。

Amazonのレビューを見ると「内容が薄い」などと低評価ですが。
これはあくまでリファレンス用の本で、情報を得るための本ではないですのでね。
用途にあった本を買うのが大事。
かばんにしのばせておいて、確認したいときにさっと見るのが正解。


エクササイズ用のテキストでこんなのがあります。
 
ただし解答がついてないので、役に立つかどうかはなんとも。
なぜ解答を付けないのだ。
あと、ハ音記号のエクササイズには役立つと思います。
ハ音記号、難しいですよねえ。


ほかにもいろいろといい本はありますけども。
上記の本をがっつり勉強したらば、生のオーケストラのためのアレンジだってできるようになりますよ。ホント。

もうちょっと実践に即したコツみたいなものを教えてくれる本としては。


こんなのがあります。
第一線の方々の考えやコツみたいなものが満載です。
でも。
値段が高い。
文庫とかで出れば、もっと売れるんじゃないだろうか。
(2014.8 追記 どうやら絶版になってしまったようですね・・良い本なのに。残念。)


でもって、オーケストラの楽器について、あるていど理解が深まったならば。


冗談めかした文体ながらも、実はきちんとオーケストレーションのコツが書かれているエッセイ。
楽器の音色とか組み合わせの妙がわかっていると、大変面白く読めます。

追い追い、いい参考文献があったら追加していきますんで。


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その他 参考

文献以外の参考になるものを挙げましょう。

まずはテレビ番組。演奏している映像を見ることはとても重要です。

題名のない音楽会

日曜日の朝っていう、まだまだ寝ていたい時間帯にやってる番組。
基本的にはオーケストラを広めようというコンセプトの番組なので、あまり詳しくなくても十分に楽しめる、素晴らしい番組です。
ウルトラマンの主題歌特集、なんていうくだけた企画もやってて、大変面白い。
機会があったら、是非とも公開録画に参加なさったらよろしいかと。
こういう良質の番組のスポンサーをずっとやっている出光興産もスバラシイ。

2017.12追記 :

2017年10月より、土曜日の朝10時からの放送となっています。
微妙に見づらい時間になってしまいました・・。


N響アワー

こちらは日曜日の夜。
題名のない音楽会よりは、もうちょっとクラシックとかオーケストラの知識があった方が楽しめる感じですかね。
さすがにウルトラマンとかはやらなくて、クラシックの曲の演奏ですよ。
落ち着いてていい番組です。


<2012.4 追記>

残念ながら、番組は終了してしまいました。
後番組はこちら。

らららクラシック


前のN響アワーと比べると、よりカジュアルな感じになった気がいたします。
演奏そのものよりも、裏話的なものに比重が置かれているような。
作り手としては、むしろコチラの方が参考になることが多いかもしれません。
まだ始まって間もないので、あくまで印象ってことで。
毎週のゲストの方の話も興味深いです。


<2013.6 追記>

なんだか1年単位でNHKのクラシック番組が変遷しております。
上記の「らららクラシック」は土曜日に移動し、日曜日には「クラシック音楽館」という番組が始まりました。
旧「N響アワー」の時間帯ですわね。
内容は、主にNHK交響楽団の定期演奏会をがっつり放送。
N響アワーの時は基本1時間だったけども、新番組になってからは、1時間半とか2時間とかやったりする。
なんという充実ぶり。
土曜日に「らららクラシック」で音楽の雑学や基本を学び、日曜日に「クラシック音楽館」でがっつり演奏を堪能する。
至高です。


あと、たまにBS朝日あたりで、高校生の吹奏楽大会なんかをやってたりしますよ。
弦がいないっていうことはありましょうが、管楽器の使い方や音色を勉強するには実にイイ。
高校生とはいえ、さすが全国大会だけあって、アマチュアオーケストラよりはるかに上手かったりする。
金管って、上手い下手の差が出やすい、なかなか残酷な楽器で。


次に、ためになるサイト。
ちょっと直でリンク貼るのはよろしくないでしょうから。

「アマチュアオーケストラ」で検索してみましょう。

すると、演奏会情報なんかをまとめてくれているサイトが出てきます。
これはいいですよ。マジで。
アマチュアオーケストラの演奏会の予定をまとめてくれているサイト。
格安で、もしくは無料でオケサウンドを聴こうと思ったら、アマチュアオーケストラというのは実にイイです。
まあ、アマチュアなので、うまい団体もあれば、これはあんまりだっていう団体もあったり。
有り体に申し上げて、アタリは5回に1回くらいですけども。
指揮者とソリストはちゃんとした人が来てやっていることが多いです。
無料の演奏会も多いですし、高くても2000円くらいなので、いっぱい聴きに行ったらよろしいかと。
でも、1度くらいはプロのオーケストラを聴きに行った方がいいのも確か。
音大で結成されている学内オーケストラはお勧め。
将来の有名プレーヤーが演奏してたりするかもしれん。


<2017.12追記>

かつて、アマチュアオーケストラの公演情報を発信してくださっていた「Freude」というサイトがありました。
「アマチュアオーケストラ」で検索すると、そのサイトがトップに出てきていました。
残念ながら現在はサイトは閉鎖されてしまっていまして、管理人の方がお亡くなりになったということでした。
サイトには大変お世話になりました。
感謝申し上げます。



カンタン・オーケストレーションは、オーケストレーションだけに照準をしぼっているので、作曲法とか和声や対位法といった、音楽の基礎知識は全く取り上げていません。
その辺りを勉強したい場合。

楽典(楽譜の書き方や記号の意味などの基礎知識)を勉強されたい方は、「音楽理論の基礎」で検索してみましょう。

和声については、「和声学」で検索してみましょう。

対位法については、「対位法入門」で検索してみましょう。


世の中、いろいろと素晴らしいサイトを作ってくださっている方がいるものですなあ。


<2012.5.16 追記>

英語ではあるのですけれども、リムスキー=コルサコフが記したオーケストレーションの本を、サウンド・楽譜付きで解説してくれているサイトがありますよ。
(この本、日本語版が出てないんですよね。いい本なのに・・)
Garritan Intaractive Principles of Orchestration というサイト。
元々は、Garritan Personal Orchestra の販売促進用に作られたサイトなんだけど、これが実にスバラシイ。
英語の部分はすっとばしていただいて、楽譜を見ながらサウンドを再生するだけでも、充分ためになる。
サウンドは全て、同社の製品を使って作られた打ち込み。
このGarritanさん、ジャズのアレンジに関しても同様なサイトを提供してくれている。
なんて太っ腹なんだ。


<2012.5.19 追記>

音楽がテーマのマンガとか小説っていうのも、結構ありますわね。
でもって、ためになる作品も多いのです。
自分で読んだことのある作品しか取り上げられませんが、そこはご容赦。

まずは、誰もがご存じ、「のだめカンタービレ」。

どういう曲を聴いたらいいか、どこに注目して聴けばいいかを教えてくれます。
流行り物と敬遠せずに、ぜひとも読んでいただきたい。
ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」とか、ブラームス「交響曲第1番」あたりのシーンは、実に参考になります。
アニメ版もドラマ版もあるんで、音も一緒に楽しみましょう。

今現在、連載中の作品では「天にひびき」。

これも指揮者を中心にしたお話ですけども、実に面白いです。
天才肌の人間と、努力型の主人公との葛藤とかね、もうたまりません。
コラムを吉松隆さんが執筆していたり。もうどうしますよ。
単行本を心待ちにしているのは、コレと「宇宙兄弟」だわ。

ピアノがテーマですけども、「ピアノの森」「神童」「いつもポケットにショパン」なんかも。なかなかどうして参考になりますな。
「ピアノの森」は連載終了しました。全26巻です。すばらしかった。
「ピアノの森」と「神童」は映画化されてるんで、音も楽しめる。

手塚治虫作品にも、音楽がテーマのものがありますな。
ベートーベンがテーマの「ルードウィヒ・B」とか。未完だけど。
まんが道」によると、「ジャングル大帝」の最終回は、チャイコフスキー「悲愴」をBGMに描かれたそうで。

演奏家側の感覚を実に上手く表現している小説として、篠田節子さんの小説があります。
ご本人もチェロを弾くんだとか。
音楽を扱った作品に「ハルモニア」「カノン」「レクイエム」「賛歌」など。
作曲側の作品がまだないのが残念だ。

数年前に亡くなった大指揮者・岩城宏之さんの著作にも、興味深いものがあります。
指揮のおけいこ」とか「オーケストラの職人たち」とか。

もしジャズに興味がおありでしたら「坂道のアポロン」。

アニメ版の最終回は素晴らしいですな。もちろん漫画版の最終巻も。圧巻の読後感でしたよ。
ロックでしたら「3 -THREE-」なんかいいですよね。


こういう作品のいいところは、何をどういう視点で聴けばいいのかを提示してくれているところにあります。
単なるサクセスストーリーじゃないっていうね。
恥ずかしながら、チャック・ベリーの「Roll over Beethoven」は、「3 -THREE-」を読むまで知らなかったもんね
これらの作品を読む中で、聴いてみたいと思うものが見つかったらば、ぜひCDを聴きながら読みましょう。
こんなに幸せなことはありませんですよ。
楽しみながらためになるっていう、これ以上ない喜びです。

映画でしたら、定番なところで「アマデウス」「不滅の恋/ベートーヴェン」あたり。
オーケストラ!」「陽のあたる教室」なんかもいいですなあ。
「陽のあたる教室」は、「黄昏」と並んで好きな映画です。脚本も音楽も。


というわけで。
こんなところですかね。
追加があったら適宜追加していきます。


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超本気の参考文献

さて、超本気の参考文献です。
超本気の場合、オーケストレーションだけ勉強してたんでは足りない部分が出てきます。
そこいらを。


まずは、楽器の構造とか仕組みを勉強してみましょうか。

オーケストレーションの本にもある程度は出ていますけれども、いくつになってもカラーの方が読みやすい。
楽器の構造がわかると、演奏しやすいのはどういうフレーズかっていうのがなんとなくわかってきます。
トロンボーンが細かいフレーズ苦手なのはなぜか、とか。
単純に、雑学としても面白いです。
この本の他にも、楽器の構造についての参考書はいくつかあります。
読みやすそうなものをチョイス。
楽器についての雑学を記したエッセイも数多くありますんでね。
知ってるようで知らない オーケストラ楽器おもしろ雑学事典 」とか。
こういうのは、奏者のインタビューなんかも出ているんで、とても役に立ちます。


本稿では全く扱ってませんけれども、本気でやろうと思ったら、和声や対位法はやっぱり欠かせないのです。
ざっとあらましを知りたい方は、

なんてどうでしょうね。
新書なので薄いし安いし。
なんといっても、著者が芥川也寸志先生です。


もっと本格的にやろうと思ったら、まあ音大で使用されている教科書を読むのがよろしいでしょうね。

このシリーズ。
全3巻+別巻1巻。(別巻は課題の回答例集)
いわゆる「芸大和声」の教科書です。全部揃えると、だいぶお値段が張りますけどね。

古本とかオークションでも出てることがありますんで。

1冊でことが済む和声の教科書としては、

古い本なので、かなり文体や印刷が読みづらいけど。

あるいは、

こちらは、上記の「和声の原理と実習」にコンセプトが近い。そして新しい。いくぶん読みやすい。
ただし、課題の回答例は別売。しかもこっちの方がお高い。



最近出た本では、


このあたり。上の「明解 和声法」は、上下巻でワンセットです。
これらは、最近出ただけあって、とても読みやすいです。
とにもかくにも、まず理解することを優先するならこちらを読むのが良いですな。

ただ、この「明解 和声法」とピストン/デヴォートの「和声法」、どちらも課題の回答例が掲載されていないです。せっかく読みやすい本なのに。
まったく、あちらが立てばこちらが立たず、というヤツで。

和音を表す記号や用語、言葉の定義なんかで、本によって多少の差違があったりしますけれども、そんなのは大した問題ではありません。
最終的に言わんとしていることは同じです。
理解が進んだら、いろんな本を見比べてみるのも良いですな。
(但し、特に「サブドミナント」の定義・説明は、本によってだいぶ違いがあります。理解が浅いうちは、あっちこっちの本に当たるのではなく、一冊の本をじっくり勉強いたしましょう)

英語に難がなければ、

これがいいです。
課題の回答例も巻末にあるし。
別売で、譜例のCDワークブックも出てる。高いけど。英語だけど。


対位法でまず用いられるのは、「二声対位法」。

とにもかくにもコレを読みましょう。
二声の対位法は全ての基礎です。

次に進むべきは、


「対位法」(長谷川良夫)ないしは「対位法 分析と学習」(ピストン)。
後者の方が新しいので、読みやすいかね。高いけどね。


もしも、楽譜を読むための、そもそもの知識が足りていないなと感じたら、「楽典」を読みましょう。
音楽をやる上での、基礎的なことを網羅した書物です。
速度記号とか音符の種類とか、かんたんな和声や楽式とか。
いろんな出版社からいろんな楽典が出ています。

これなんかは、すらすら読めますな。
帯の推薦文が羽田健太郎さんなのが泣かせます。
(ハネケンさんは2007年にお亡くなりになりました)

音大受験する方がよく使う楽典は

こちらのようです。
楽典は、わりとそこいらの古本屋にも出てます。

楽典というのはあくまで基礎なので、学習を深めたい方は相応の本を読みましょう。


ほかに知っておくと便利な知識として、「コードネーム」があります。
和音を記号で表したものですな。
七つの子」で記した、アルファベットと数字からなる記号です。
ちょっとメモを取るときに、いちいち音符を書かずとも、コードネームを書いておけば済むことも多々あります。
コードについて書かれた本は山ほどあるので、ぜひ自分にあったものを探してみてください。
本屋さんで、ギターのハウツー本のコーナーなんかによく置いてあります。
あるいは、解説してくれているサイトもいろいろあります。Wikipediaとか。
自分の場合は、かつてNHK教育で放送していた「ピアノでポップスを」のテキストで覚えました。
小学生か中学生くらいの時でしたかね。いい番組でしたよ。年がバレますな。
NHK教育って、時々ものすごく良い音楽学習番組やるんですよね。
山下洋輔のジャズの掟」とか。「さだまさし音楽工房」とか。

ちなみに、「コード理論」とは、和声をよりポピュラー音楽に即した形で理論化したものです。
ポピュラー音楽理論」「バークリーメソッド」などとも呼ばれます。
(いわゆる「和声」の方が、コード理論より複雑なので、和声がわかれば、コードネームさえ学べばコード理論もわかるはず)

管弦をしっかり書こうと思ったら、ポピュラー理論よりは、しっかりと和声や対位法を勉強した方が良いでしょうなあ。
それらの「入門編」として、ポピュラー理論から入っていくのもいいと思います。


完全に本編の趣旨からはズレますが。ポピュラーつながりで。
ポップス系アレンジの参考書を2冊。


クラシックっぽいオーケストレーションだけでなく、ポップスの伴奏のようなものにも応用が利くアレンジの参考書です。
ドラムやギターといった、リズムセクションについても言及されております。
どちらもスバラシイです。
アプローチの仕方としては、オーケストラというよりはビッグバンドといった感じですが。
ハリウッドよりはブロードウェイと言いますか。
どちらの本も素晴らしいんですが、自分の場合は「コンプリート・アレンジャー」をよく参照します。
アレンジャーを目指す方は、これらの本は必読です。


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打ち込み参考文献

打ち込み自体のやり方については、まずはお使いのシーケンスソフトの説明書をお読みいただいて。
難しかったら、かみ砕いて説明してくれているマニュアル本が、
シーケンスソフトごとに各種出てますんで、そちらを読みましょう。

ただ、いずれにせよMIDIに関する知識が多少はないと理解がムズカシイかも知れません。
MIDIに関する説明書も各種出ています。簡単なのから専門的なのまで。
「DTMガイド」「MIDIガイド」的な本を1冊読みましょう。
MIDI検定の公式ガイドブックが、なかなか良かったっすよ。


オーケストレーションに特化した打ち込みの参考書としてはコチラ。

参考文献に挙げた「DTMで学ぶオーケストレーション入門 」がDTMを手段としてオーケストレーションを学ぶスタンスなのに対し、こちらはオーケストラサウンドをいかに打ち込みで再現するかに主眼が置かれています。
この本でオーケストレーションを勉強するのは無理があるけれども、オーケストレーションを勉強した上で読むにはなかなか有用です


あとはもう、打ち込み自体というよりはリバーブやコンプレッサー、イコライザーなどのエフェクトテクニックですよね。

まあ、どちらかというと、オーケストラ楽器よりはバンド楽器中心の記述なんですが、それでもエフェクトのなんたるかは理解できます。
そもそも、オケ楽器に特化したエフェクトの本というものが存在しないんですわな。

それからミックス・マスタリングのテクニック。

このへんの本は、リットーミュージックから多く出版されていますわね。


これらの本で、基本的なことを学んだら、あとは実践あるのみです。
CDを聴いて、自分で打ち込んだものがどうやったらCDの音に近くなるか、いろいろ試行錯誤して。
遠くの楽器はリバーブ深めに、とか、こもって聞こえるんでEQ刺すか、とか。
ワタクシが教わったのは、ヘッドホンで聴いてみて、理想とする音源に頑張って近づけましょうということでしたですよ。
そのためにも、「こんな音を作りたい」っていう理想の参照音源を見つけておくと良いですよね。
くどいようですけどオケの打ち込みの場合、どこにどの楽器がいるか、それぞれの音量は適正か、楽器の組み合わせはどうか、っていうことが「本物らしさ」を生むカギです。
極論ですけども、これらのカギがしっかりしていれば、そんなにリバーブやコンプに手をかけなくても、オケっぽく聞こえます。
あくまで極論ですけれども。


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この曲でオーケストレーションを学べ!

長らくご愛顧いただきましたが、最後の記事とあいなりました。

勉強に適していると思われる楽曲をいくつか挙げて参ります。
スコアもCDも手に入りやすいものばかりですんで。
できたらCDじゃなくDVDなどの映像で見て欲しい。
有名な指揮者のDVDは結構出てますんでね。
また、「題名のない音楽会」とか「らららクラシック」をマメにチェックしていただきたい。

まず、オーケストレーションの前に。
一般的には、4声での作編曲が基本です。ソプラノ・アルト・テナー・バスですね。
これは、4つの音というのが曲を作るのに最小単位とされているからでして。
メロディーとベースラインと内声x2ですわね。
(実際は、2音でどうにかなってしまったりすることだってありますけれども)
というわけで、4声でどうやって曲にしていくかということを学びましょうか。

ベートーベンの「弦楽四重奏曲」のどれでもいいんで、1~2曲じっくり見てみましょうや。曲を聴きながら。
スコアは、曲単位だったら1000円もしないものが出版されてますんでね。
(洋書ですけれども、全曲を網羅したものも出ています。わりと安い)
弦楽四重奏だったら誰の作品でもいいんだけど、まあベートーベンが適当じゃないかと。
今までご教授たまわった方々全てがベートーベンを推していたので、間違いないでしょう。
どこがメロディーを受け持っているか、どこが和音を構成しているか、どんな伴奏形を使っているか。
ここで気づいた諸々の事柄は、管楽器が入ってきても応用できますんでね。


次に、オーケストラ楽曲に入りましょう。
使うスコアは何でもいいんですけれども、初めのうちは輸入盤ではなく日本語版がよろしいでしょうね。
学習用スコア(A5サイズくらいで安い。音楽之友社とか全音楽譜出版社から多く出版されています)には、巻頭に解説が出ていて、これを読むとスコアの理解が深まります。
輸入盤の方が、安かったりサイズがでかかったりっていうメリットもあるんですけれどもね。

やっぱりベートーベン。「交響曲第5番(運命)」あたりがいいんじゃないですかね。
「のだめカンタービレ」で有名になった「交響曲第7番」でもいいし。なんでも。
聴いたことのある、馴染みのある曲がイイですよ。
第9は歌が入ってるので、もうちょっと勉強が進んでからにしましょう。
なぜベートーベンを推すかというと、このあたりの時代になると楽器のしくみや楽器編成がほぼ現代と近くなってきているからです。
楽器は時代と共に進歩するし、楽器編成も変わってきます。
ベートーベンでも、この第5以前の交響曲には、トロンボーンやピッコロは入っていません。
ピアノを今の形にするのに、ベートーベンは非常に貢献した人物だったとも言われていますわね。
(この時代はまだ、金管が今ほど発展してないので、同じ音を連打!みたいなのが多めですけども)
なので、バロック時代の曲なんかでオーケストレーションを勉強しようとすると、ちょっと足りない部分があったりするわけでして。
逆に、とんでもなく新しい時代の曲だと、今度は複雑すぎて勉強するのには向かなかったり。
いわゆる「古典派」の後期~「ロマン派」前期の作曲家が、勉強には向いていると思われますよ。
メロディーもわかりやすいし。

次に。
ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」なんかがよろしいです。
これは良いですよ。実に勉強になる。
複雑すぎず、しかし重厚。繊細。
ぜひともこの曲で勉強していただきたい。自分が好きだから言うわけではないですけども。
派手なのがお好きなら第1もしくは第4楽章、穏やかなのがお好きなら第2楽章。
あるいはブラームスの交響曲第1番。これも実にイイ。曲始まりがイイ。これも「のだめ」に出てきましたね。
お好きな方をどうぞ。もちろん両方でも。
時代的にも、ベートーベンのちょっと後にあたります。金管もだいぶ発展しています。

ここまでお勉強したら、もうあとは好きな作家、好きな曲のスコアで勉強してください。
チャイコフスキーでもベルリオーズでもフォーレでもマーラーでも。
ベートーベン以前の作曲家を勉強するのもいいかもしれませんな。モーツァルトとかね。
ハリウッド映画っぽいサウンドを勉強したければ、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」なんかがいいでしょうな。
金管楽器が派手に使えると、それだけでハリウッドっぽい。

もちろんジョン・ウィリアムズの楽曲のスコアもいろいろと出てます。輸入しなきゃいかんけど。
Amazon.comあたりで「John Williams orchestra score star wars」とかのワードで検索してみてください。
(Amazon.co.jpでは出てこなかったんですよね・・)
アメリカのHal Leonardっていう出版社から、スターウォーズやハリーポッターのスコアとか出てますんで。
すげー複雑なオーケストレーションだぜおい。5連符とか出まくり。
映画音楽のスコアがこれだけまとまって出版されてるっていうのは貴重です。
「映画音楽大全」みたいなピアノ譜はよく見かけるけどもね。
モリコーネのオーケストラスコアも出ないものか。

繊細な曲をご所望でしたら、ラベルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」(オーケストラ版)とか。
エルガーの「弦楽セレナード」なんかもいいですね。特に第2楽章。
メロディーがハッキリしている曲のオーケストレーションでは、スメタナの「モルダウ(我が祖国)」やリムスキー=コルサコフの「シェヘラザード」など。

協奏曲なんかをみてみるのもいいですね。
ひとつの楽器を中心にしたオーケストレーション。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番とか。超有名。
モーツァルトの「オーボエ協奏曲」とか。
なんだか、どうしても「のだめ」に出てきた曲ばっかりになっちゃうな。

ドビュッシーやバルトーク、ストラヴィンスキーといった比較的新しい時代の作曲家を勉強するのは、ここまでの曲に充分慣れてから。
いかんせんムズカシイ。オーケストレーションが複雑なのと、和声や進行がわかりづらいのと。
ラヴェルの「ダフニスとクロエ」なんか、もうどこからどうやって読んだらいいものやらっていうくらい複雑です。
やっぱね、わかりやすいものからやっていきましょうよ。
ちなみに、管弦楽法の名手と言われているのは、リムスキー=コルサコフ、ベルリオーズ、ラヴェルです。


さて。

ここへ来て、朗報です。
最近、非常に役に立つ本とCDが出ました。
かの久石譲氏のスコアと、その楽曲を収録したCDです。

「坂の上の雲」「魔女の宅急便」などの馴染みのある曲が収録されているので、実に勉強しやすい。
知ってる曲って、勉強しやすいんですよね。
姉妹編で「Minima Rhythm 」というスコアとCDも出ていますが、こちらはあんまり馴染みのある曲は収録されていません。オーケストラを使ったミニマル曲集です。


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というわけで。
これにて、カンタン・オーケストレーション、閉幕です。
ここまでお勉強されてきた皆様、お疲れさまでございました。
浅学の身でありますので、もし間違いなどお気づきになりましたら、ご指摘いただけるとありがたいです。
新規の記事はもう書きませんけれども、間違いは逐次直していくようにします。
音源についての記事なんかは、めぼしい情報が出てきたら追記します。

今度は「カンタン!ゲキバン!(劇伴)」あたりを立ち上げるかもしれませんが、ひとまずこの辺でおさらばです。
おさらば!


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