実践・オーケストレーション
2010年07月01日
大前提
1年くらい間が空いてしまいました。あれまあ。
オーケストレーションをするための、大前提といたしまして。
「すべての楽器が、のべつまくなしに演奏しているわけではない」ということ。
これ、案外忘れられがちです。
最初は、全部の楽器を同時に鳴らすのがいいものだと思いがちですけども、そこはぐっと我慢。
というのも、楽器によって、演奏したことによる疲労感が違うからです。
演奏する方も、聴く方も。
ピッコロのつんざくような音を何十分も聴かされたら、それはもう拷問だろうし、逆に多くの息を使うトロンボーン奏者が30分吹きっぱなしといったらば、奏者にとってはそれもそれで拷問だ。
従いまして、ごくごく一般的な曲で、ある程度の長さがある場合には、各セクションはこのくらいの割合で演奏したらいいんじゃないかというのが、不文律的に伝えられております。
これ、すごく大事。あんまりオーケストレーションの本には書いてないもんで。
・弦楽器・・・全体の9割くらい
・木管楽器・・・全体の5~7割くらい
・金管楽器・・・全体の3~5割くらい
・打楽器・・・必要に応じて
「一般的に」と書いたのは、例えばファンファーレだったら金管楽器の比重が大きくなるだろうし、ものすごくエモーショナルな曲だったら弦や木管の比重が増えるかも知れない。そういった個々の事情があるからです。
また、CMみたく15秒くらいの曲であれば、演奏してて疲れちゃうようなこともないだろうし。
あくまで、「一般的に」「汎用的に」でしかないところが、なかなか説明の難しいところであります。
まあ、ざっくり言いますと、「オーケストラっぽい」音楽で、「3分以上の長さのある」曲では、この前提をある程度は頭に置いておいていただいていいんじゃないかと思いますよ。
クラシックの曲なんかですと、300小節の曲の最後8小節で、ようやっとトロンボーンの出番が来る、なんていうのもあるわけです。
それまで、ひたすら待っているんですな。
大事なのは、「楽器数が多ければいいというわけではない」「複雑ならいいというわけではない」ということですよ。
そして、打ち込みだろうが生録音だろうが、演奏者にきちんと配慮したオーケストレーションをするということです。
演奏者が疲れすぎないように。息継ぎのタイミングをきちんともうけるように。
何より、演奏してて「面白い」と思えるようなオーケストレーションを考えてみようではありませんか。
ここんところがいい加減だと、打ち込みでも本物っぽくは聞こえないんだな。
オーケストレーションをするための、大前提といたしまして。
「すべての楽器が、のべつまくなしに演奏しているわけではない」ということ。
これ、案外忘れられがちです。
最初は、全部の楽器を同時に鳴らすのがいいものだと思いがちですけども、そこはぐっと我慢。
というのも、楽器によって、演奏したことによる疲労感が違うからです。
演奏する方も、聴く方も。
ピッコロのつんざくような音を何十分も聴かされたら、それはもう拷問だろうし、逆に多くの息を使うトロンボーン奏者が30分吹きっぱなしといったらば、奏者にとってはそれもそれで拷問だ。
従いまして、ごくごく一般的な曲で、ある程度の長さがある場合には、各セクションはこのくらいの割合で演奏したらいいんじゃないかというのが、不文律的に伝えられております。
これ、すごく大事。あんまりオーケストレーションの本には書いてないもんで。
・弦楽器・・・全体の9割くらい
・木管楽器・・・全体の5~7割くらい
・金管楽器・・・全体の3~5割くらい
・打楽器・・・必要に応じて
「一般的に」と書いたのは、例えばファンファーレだったら金管楽器の比重が大きくなるだろうし、ものすごくエモーショナルな曲だったら弦や木管の比重が増えるかも知れない。そういった個々の事情があるからです。
また、CMみたく15秒くらいの曲であれば、演奏してて疲れちゃうようなこともないだろうし。
あくまで、「一般的に」「汎用的に」でしかないところが、なかなか説明の難しいところであります。
まあ、ざっくり言いますと、「オーケストラっぽい」音楽で、「3分以上の長さのある」曲では、この前提をある程度は頭に置いておいていただいていいんじゃないかと思いますよ。
クラシックの曲なんかですと、300小節の曲の最後8小節で、ようやっとトロンボーンの出番が来る、なんていうのもあるわけです。
それまで、ひたすら待っているんですな。
大事なのは、「楽器数が多ければいいというわけではない」「複雑ならいいというわけではない」ということですよ。
そして、打ち込みだろうが生録音だろうが、演奏者にきちんと配慮したオーケストレーションをするということです。
演奏者が疲れすぎないように。息継ぎのタイミングをきちんともうけるように。
何より、演奏してて「面白い」と思えるようなオーケストレーションを考えてみようではありませんか。
ここんところがいい加減だと、打ち込みでも本物っぽくは聞こえないんだな。
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実際のオーケストレーション
以前書いたように、「前・中・後」とか「メロディー・リズム・ハーモニー」とか「オスティナート・フィル・パッド」のような、いろんな要素が音楽にはあるわけですよ。
それぞれを、どの楽器に割り振るかっていうことが、それすなわちオーケストレーションに他ならないわけです。
その際に意識するべきことといたしましては、既に触れたことではありますけれども
・音量バランス
・楽器のカラー
なのですよ。
音の大きいトロンボーンが伴奏する中で、ソロフルートがメロディーだったりすると、もうこれはメロディーが聞こえない。
ババーンと盛り上がりたいのにメロディーがピッコロだったりすると、これは聴いている方は盛り上がれない。
あるいは、ものすごく元気よく聴かせたいのに、メロディーがハープだったりすると、典雅な気持ちになるだけで元気にはなれない。
こういうことですな。
じゃあ、実際にはどういうふうにやっていけばよろしかろうかと考えてみましょうか。
まず、多くの場合はメロディーを最も聴かせたいでしょうから、メロディーをどの楽器で演奏させるか考えましょう。
優雅な曲ならフルート、哀愁のある曲だったらオーボエ、雄大に聴かせたければホルン・・・というような定番で行くも良し。
なにも楽器ソロでなくてもいい。
フルートとバイオリンのユニゾン、フルートとオーボエをハーモニーにする、弦だけにする、いろいろと手はありますよ。
前にも書きましたとおり、楽器は混ぜることによって様々なカラーを出せるのでして。
ここはね、いろいろと試してみたり、曲を聴いたりして、引き出しの数を増やしていきましょうよ。
また、ずっと同じ楽器がメロディーだと聴いてる方も飽きてしまいますから、適宜楽器を変えるように致しましょう。
メロディーが8小節x2の構成だったら、1回目と2回目で担当楽器を変えるとかね。
できれば、アレンジも多少変えたいところです。
大体の場合、2回目の方が1回目より盛り上がっているものだし。
この辺はね、中学校の時の合唱コンクールを思いだしてみましょうよ。
ソプラノの後に男子が同じメロディーをオクターブ下で歌ったりしたでしょう。
次に、メロディー以外の要素の楽器を決めましょうか。
ここは、メロディーとの力関係で楽器を選びますよ。
音のそんなに大きくないフルートなんかがメロディーの場合は、伴奏が金管楽器だったりすると音が大きすぎてメロディーを殺してしまう。
ホルンが勇壮なメロディーを奏でているのに、素朴な木管楽器が伴奏だと、まるで頭でっかちな不格好な音になってしまう。
何も、音楽は「メロディー」と「伴奏」という2つに常に分かれているわけではありませんわね。
以前にも触れましたように、「フィル」があったり「オスティナート」があったり。
そのひとつひとつに関して、おんなじように適した楽器をチョイスしていくわけです。
でもって、これらを曲全体を一気に考えるというのはあんまり現実的ではない。
頭からワンフレーズごとにオーケストレーションを考えていくのもよいでしょう。
あるいは、最も盛り上がる部分=サビを作ってしまって、そこに向けて徐々に分厚くなるようにアレンジしていくのもアリですな。
そこはやりやすいようにやれば良いわけです。
ざっくり、全体の地図のようなものを描いてしまうのもいいですよね。
ビーッと横線引いて、Aメロ-Bメロ-サビ-間奏・・みたいに書いて、縦軸に「メロディー」「サブメロディー」「伴奏」「リズム」みたいにして。
ちなみに自分の場合は。
ある程度メロが決まったらば、頭の方からガスガスとアレンジしていきますよ。
頭からやっていく方が、自然な感じで盛り上がっていけるもので。自分の場合は。
イントロは後回しにしちゃうことも多いですけど。
それぞれを、どの楽器に割り振るかっていうことが、それすなわちオーケストレーションに他ならないわけです。
その際に意識するべきことといたしましては、既に触れたことではありますけれども
・音量バランス
・楽器のカラー
なのですよ。
音の大きいトロンボーンが伴奏する中で、ソロフルートがメロディーだったりすると、もうこれはメロディーが聞こえない。
ババーンと盛り上がりたいのにメロディーがピッコロだったりすると、これは聴いている方は盛り上がれない。
あるいは、ものすごく元気よく聴かせたいのに、メロディーがハープだったりすると、典雅な気持ちになるだけで元気にはなれない。
こういうことですな。
じゃあ、実際にはどういうふうにやっていけばよろしかろうかと考えてみましょうか。
まず、多くの場合はメロディーを最も聴かせたいでしょうから、メロディーをどの楽器で演奏させるか考えましょう。
優雅な曲ならフルート、哀愁のある曲だったらオーボエ、雄大に聴かせたければホルン・・・というような定番で行くも良し。
なにも楽器ソロでなくてもいい。
フルートとバイオリンのユニゾン、フルートとオーボエをハーモニーにする、弦だけにする、いろいろと手はありますよ。
前にも書きましたとおり、楽器は混ぜることによって様々なカラーを出せるのでして。
ここはね、いろいろと試してみたり、曲を聴いたりして、引き出しの数を増やしていきましょうよ。
また、ずっと同じ楽器がメロディーだと聴いてる方も飽きてしまいますから、適宜楽器を変えるように致しましょう。
メロディーが8小節x2の構成だったら、1回目と2回目で担当楽器を変えるとかね。
できれば、アレンジも多少変えたいところです。
大体の場合、2回目の方が1回目より盛り上がっているものだし。
この辺はね、中学校の時の合唱コンクールを思いだしてみましょうよ。
ソプラノの後に男子が同じメロディーをオクターブ下で歌ったりしたでしょう。
次に、メロディー以外の要素の楽器を決めましょうか。
ここは、メロディーとの力関係で楽器を選びますよ。
音のそんなに大きくないフルートなんかがメロディーの場合は、伴奏が金管楽器だったりすると音が大きすぎてメロディーを殺してしまう。
ホルンが勇壮なメロディーを奏でているのに、素朴な木管楽器が伴奏だと、まるで頭でっかちな不格好な音になってしまう。
何も、音楽は「メロディー」と「伴奏」という2つに常に分かれているわけではありませんわね。
以前にも触れましたように、「フィル」があったり「オスティナート」があったり。
そのひとつひとつに関して、おんなじように適した楽器をチョイスしていくわけです。
でもって、これらを曲全体を一気に考えるというのはあんまり現実的ではない。
頭からワンフレーズごとにオーケストレーションを考えていくのもよいでしょう。
あるいは、最も盛り上がる部分=サビを作ってしまって、そこに向けて徐々に分厚くなるようにアレンジしていくのもアリですな。
そこはやりやすいようにやれば良いわけです。
ざっくり、全体の地図のようなものを描いてしまうのもいいですよね。
ビーッと横線引いて、Aメロ-Bメロ-サビ-間奏・・みたいに書いて、縦軸に「メロディー」「サブメロディー」「伴奏」「リズム」みたいにして。
ちなみに自分の場合は。
ある程度メロが決まったらば、頭の方からガスガスとアレンジしていきますよ。
頭からやっていく方が、自然な感じで盛り上がっていけるもので。自分の場合は。
イントロは後回しにしちゃうことも多いですけど。
オーケストレーションをやってみる その1
じゃあ、実際にオーケストレーションしてみましょうかね。
これまでにも各楽器セクションごとにオーケストレーションの例(木管・金管・弦)を挙げていますんで、なんとなくはオーケストレーションの様々なパターンというものはおわかりいただいているものと思います。
今回の課題曲はコレ。
「七つの子」
こいつを使ってね。アレンジしてみますよ。
パブリックドメインになっているので、使っても著作権料を払わなくてもいいもので。
コードは、まあ、適当に振りました。
アレンジしているうちに、違うコードにしたくなっちゃうかもしれません。
まず、全体像を考えてみます。
童謡らしさとかそういうことは一切無視で。
映画音楽っぽくするかもしれないし、ブラスバンドっぽくするかもしれない。
実はまだ方向性を決めていない。
1小節目から8小節目をAメロ、9小節目から16小節目をBメロと呼ぶことに致しましょう。
AメローBメローAメロ という構造になりますね。
どこを盛り上がりのピークにするかを考えますと、ここは最後のAメロというのが妥当なところでしょう。
(Bメロでもいいんですけど、そこはもう各人のセンスなので)
大盛り上がりの前は、多少トーンを落としておくと、その後の盛り上がりが利きますんで、Bメロはちょっとおとなしめにしましょう。
おとなしめが利いてくるのは、やはり盛り上がった後にぐっとトーンを落とすのが効果的でしょうから、Bメロの直前ではある程度盛り上がっていたい。
じゃあ、最初のAメロは、おとなしく始めておいて、徐々に分厚く盛り上げていくことにしよう。
とまあ、こんな感じで全体の「テンショングラフ」のようなものを思い描きます。
そしたら、実際にオーケストレーションしていきましょう。
楽譜を作って疲れてしまったので、続きは次回。
これまでにも各楽器セクションごとにオーケストレーションの例(木管・金管・弦)を挙げていますんで、なんとなくはオーケストレーションの様々なパターンというものはおわかりいただいているものと思います。
今回の課題曲はコレ。
「七つの子」
こいつを使ってね。アレンジしてみますよ。
パブリックドメインになっているので、使っても著作権料を払わなくてもいいもので。
コードは、まあ、適当に振りました。
アレンジしているうちに、違うコードにしたくなっちゃうかもしれません。
まず、全体像を考えてみます。
童謡らしさとかそういうことは一切無視で。
映画音楽っぽくするかもしれないし、ブラスバンドっぽくするかもしれない。
実はまだ方向性を決めていない。
1小節目から8小節目をAメロ、9小節目から16小節目をBメロと呼ぶことに致しましょう。
AメローBメローAメロ という構造になりますね。
どこを盛り上がりのピークにするかを考えますと、ここは最後のAメロというのが妥当なところでしょう。
(Bメロでもいいんですけど、そこはもう各人のセンスなので)
大盛り上がりの前は、多少トーンを落としておくと、その後の盛り上がりが利きますんで、Bメロはちょっとおとなしめにしましょう。
おとなしめが利いてくるのは、やはり盛り上がった後にぐっとトーンを落とすのが効果的でしょうから、Bメロの直前ではある程度盛り上がっていたい。
じゃあ、最初のAメロは、おとなしく始めておいて、徐々に分厚く盛り上げていくことにしよう。
とまあ、こんな感じで全体の「テンショングラフ」のようなものを思い描きます。
そしたら、実際にオーケストレーションしていきましょう。
楽譜を作って疲れてしまったので、続きは次回。
オーケストレーションをやってみる その2
さて。
実際に、「七つの子」のオーケストレーションをやってみましたよ。
その前に、前回挙げた楽譜の、コードをちょいと変更しましたので、そちらを。
ちょいとごちゃごちゃしてますけども。
やってくうちに、こうなってしまいました。スミマセン。
この辺はね、いろいろと解説してくださっているサイトがあるでしょうから、そちらを探してみてください。
コード(和音)を変更することを、「リハーモニゼーション」といいます。
まあ、いろいろとアラはあるでしょうが、こんな感じに作ってみましたよ。
動画にしてみました。
イントロはつけていません。
心がけたポイントは。
・弦・木管・金管を、全て使うこと
・テンションの違いがわかりやすいこと
ですな。
まず、前回申し上げましたように、どこでどう盛り上げるか、ということをあらかじめざっと考えます。
そんでもって、それならばAメロの入りはおとなしく始めて、徐々に盛り上げていくことにしました。
しっとり入ろうということで、メロディーにはオーボエをチョイスしましたよ。
Aメロの最初4小節は、メロディーをオーボエのみが演奏し、弦楽器はうっすらと伴奏ともつかぬような伴奏をしています。
で、最後の1小節で若干盛り上げていくわけです。
スコアを見てみますよ。
(わかりやすくするために、ビオラもヘ音記号で書いています。動画ではハ音記号)
本来ならばもっと、スラーとかなんとかっていう記号をいろいろと書かなきゃいかんのですが、ここでは割愛。
見づらくなるし。
ここでは、コントラバスは入っていません。
コントラバスが入ると、ちょっと重たくなりすぎてしまうので、お休みしてていただきます。
で、最後の1小節でぐぐっと入っていただいて、次への盛り上がりを担っていただくわけです。
後半2小節で、バイオリン1・バイオリン2・ビオラが、徐々に高い音になっていっておりますな。
これでテンションを上げていくわけです。
以前申し上げた、「前・中・後」という考え方でいくと、ここでは「中」の方がいないわけですな。
いいんですよ。毎回全員いなくても。
そこはケース・バイ・ケースで。
ここは極力、シンプルに。
4小節目のバイオリン1が、「ラーラソファーレー」と、ちょっと動きのあることをやっていますわね。
これが「フィル」です。
でもって、次の4小節。
ここからは、木管楽器がみなさん入っていらっしゃいます。
メロディーは、バイオリン1とフルートさんですな。
※ 楽器名が略称になっていて、わかりづらいですね。
Fl=フルート、Ob=オーボエ、Bb Cl=クラリネット、Bsn=バスーン
Vln. I=バイオリン1、Vln. II=バイオリン2、Vla=ビオラ、
Vc=チェロ、Cb=コントラバス
でございます。
フルートさんは2人いらっしゃるので、それぞれオクターブ違いでやっていただきます。
2人とも同じことをやっても良かったんですが、オクターブにした方がちょっと広がりが出るんですよね。
ただ、ちょっと音が低すぎるきらいがあります。ここは反省。
オーボエ・クラリネット・バスーンは、和音です。
ウン・チャーチャー、というちょっとした動きを曲に与えてもらっているわけですな。
で、3小節目と4小節目では、オーボエ=バイオリン2、クラリネット=ビオラと同じ動きをしています。
こういうのも、よくある手ですよ。
弦楽器は、バイオリン1がメロディー、バイオリン2とビオラが和音を補完したり動きをつけたりする働き、チェロとコントラバスはベース音です。
ここの部分は、次のBメロでおとなしくするために、ある程度盛り上がっていなければいけないわけです。
従いまして、バイオリン1は、高めの音でメロディーを弾いているわけですな。
人間、音が高いとテンションも上がります。
というわけで、今回はここまで。
次はBメロだ。大変だ。
実際に、「七つの子」のオーケストレーションをやってみましたよ。
その前に、前回挙げた楽譜の、コードをちょいと変更しましたので、そちらを。
ちょいとごちゃごちゃしてますけども。
やってくうちに、こうなってしまいました。スミマセン。
この辺はね、いろいろと解説してくださっているサイトがあるでしょうから、そちらを探してみてください。
コード(和音)を変更することを、「リハーモニゼーション」といいます。
まあ、いろいろとアラはあるでしょうが、こんな感じに作ってみましたよ。
動画にしてみました。
イントロはつけていません。
心がけたポイントは。
・弦・木管・金管を、全て使うこと
・テンションの違いがわかりやすいこと
ですな。
まず、前回申し上げましたように、どこでどう盛り上げるか、ということをあらかじめざっと考えます。
そんでもって、それならばAメロの入りはおとなしく始めて、徐々に盛り上げていくことにしました。
しっとり入ろうということで、メロディーにはオーボエをチョイスしましたよ。
Aメロの最初4小節は、メロディーをオーボエのみが演奏し、弦楽器はうっすらと伴奏ともつかぬような伴奏をしています。
で、最後の1小節で若干盛り上げていくわけです。
スコアを見てみますよ。
(わかりやすくするために、ビオラもヘ音記号で書いています。動画ではハ音記号)
本来ならばもっと、スラーとかなんとかっていう記号をいろいろと書かなきゃいかんのですが、ここでは割愛。
見づらくなるし。
ここでは、コントラバスは入っていません。
コントラバスが入ると、ちょっと重たくなりすぎてしまうので、お休みしてていただきます。
で、最後の1小節でぐぐっと入っていただいて、次への盛り上がりを担っていただくわけです。
後半2小節で、バイオリン1・バイオリン2・ビオラが、徐々に高い音になっていっておりますな。
これでテンションを上げていくわけです。
以前申し上げた、「前・中・後」という考え方でいくと、ここでは「中」の方がいないわけですな。
いいんですよ。毎回全員いなくても。
そこはケース・バイ・ケースで。
ここは極力、シンプルに。
4小節目のバイオリン1が、「ラーラソファーレー」と、ちょっと動きのあることをやっていますわね。
これが「フィル」です。
でもって、次の4小節。
ここからは、木管楽器がみなさん入っていらっしゃいます。
メロディーは、バイオリン1とフルートさんですな。
※ 楽器名が略称になっていて、わかりづらいですね。
Fl=フルート、Ob=オーボエ、Bb Cl=クラリネット、Bsn=バスーン
Vln. I=バイオリン1、Vln. II=バイオリン2、Vla=ビオラ、
Vc=チェロ、Cb=コントラバス
でございます。
フルートさんは2人いらっしゃるので、それぞれオクターブ違いでやっていただきます。
2人とも同じことをやっても良かったんですが、オクターブにした方がちょっと広がりが出るんですよね。
ただ、ちょっと音が低すぎるきらいがあります。ここは反省。
オーボエ・クラリネット・バスーンは、和音です。
ウン・チャーチャー、というちょっとした動きを曲に与えてもらっているわけですな。
で、3小節目と4小節目では、オーボエ=バイオリン2、クラリネット=ビオラと同じ動きをしています。
こういうのも、よくある手ですよ。
弦楽器は、バイオリン1がメロディー、バイオリン2とビオラが和音を補完したり動きをつけたりする働き、チェロとコントラバスはベース音です。
ここの部分は、次のBメロでおとなしくするために、ある程度盛り上がっていなければいけないわけです。
従いまして、バイオリン1は、高めの音でメロディーを弾いているわけですな。
人間、音が高いとテンションも上がります。
というわけで、今回はここまで。
次はBメロだ。大変だ。
オーケストレーションをやってみる その3
続きです。
Bメロ部分ですよ。
楽譜は、見づらかったらクリックしていただければ拡大します。
さあ、新しい楽器が出てきました。
「Glk」とは、「グロッケンシュピール」のことです。
小さい鉄琴ですな。
なんか、こういう囁くようなフレーズに、鉄琴が入るとかわいらしいじゃありませんか。
ここのポイントは、弦楽器のトレモロとピチカートです。
音符に斜め線3本がひっついているのが、トレモロですよ。
まず、トレモロでなんとなくモヤモヤした雰囲気を出します。
でもって、低音のピチカートで、若干のキレとビート感を与えておるわけです。
メロディーのクラリネット(及びグロッケン)に、ひっそりとフルートが間を埋めるようにもうひとつのメロディーを演奏しております。
フルートは、まあ無くても良かったんですけども、あった方が面白味があったんで。
Bメロの後半。
ここで、ようやく金管楽器が出て参りました。
ホルンさんの登場です。
4人いらっしゃいますんで、2人でメロディーを演奏して、残りの2人でメロディーの下にハーモニーを付けています。
(くどいようですけども、見やすくするために、出版されているような楽譜とは違って、実音で書いています。ホルンは移調楽器ですんで。また、ホルンは慣習的に、調子記号を書かないで臨時記号で逐一表現することになっています)
あと、オーボエとグロッケンもメロディーですね。
弦楽器では、最後の2小節でコントラバスがようやくピチカートではない、弓で弾く奏法に戻って参ります。
楽譜に「arco(=「弓で弾いてね」という指示)」と記してある部分です。
バイオリンとビオラ・チェロは、トレモロをやめて通常の弾き方になっています。
3小節目のバイオリン1に注目です。
ホルンやオーボエ、グロッケンのメロディーは「シードーミーソー」の「ミーソー」で下がっているのに対し、バイオリン1では、下がらずにぐんぐん上がっていく。
一緒にテンションも上がっていくわけですよ。
でもって、4小節目の最後。
ついに「駆け上がり」が出て参ります。
テンションもマックスですね。
さらには、ここでティンパニーも出てきて、これでもかと盛り上げていくわけです。
さあ、ドキドキしますね。
続く。
Bメロ部分ですよ。
楽譜は、見づらかったらクリックしていただければ拡大します。
さあ、新しい楽器が出てきました。
「Glk」とは、「グロッケンシュピール」のことです。
小さい鉄琴ですな。
なんか、こういう囁くようなフレーズに、鉄琴が入るとかわいらしいじゃありませんか。
ここのポイントは、弦楽器のトレモロとピチカートです。
音符に斜め線3本がひっついているのが、トレモロですよ。
まず、トレモロでなんとなくモヤモヤした雰囲気を出します。
でもって、低音のピチカートで、若干のキレとビート感を与えておるわけです。
メロディーのクラリネット(及びグロッケン)に、ひっそりとフルートが間を埋めるようにもうひとつのメロディーを演奏しております。
フルートは、まあ無くても良かったんですけども、あった方が面白味があったんで。
Bメロの後半。
ここで、ようやく金管楽器が出て参りました。
ホルンさんの登場です。
4人いらっしゃいますんで、2人でメロディーを演奏して、残りの2人でメロディーの下にハーモニーを付けています。
(くどいようですけども、見やすくするために、出版されているような楽譜とは違って、実音で書いています。ホルンは移調楽器ですんで。また、ホルンは慣習的に、調子記号を書かないで臨時記号で逐一表現することになっています)
あと、オーボエとグロッケンもメロディーですね。
弦楽器では、最後の2小節でコントラバスがようやくピチカートではない、弓で弾く奏法に戻って参ります。
楽譜に「arco(=「弓で弾いてね」という指示)」と記してある部分です。
バイオリンとビオラ・チェロは、トレモロをやめて通常の弾き方になっています。
3小節目のバイオリン1に注目です。
ホルンやオーボエ、グロッケンのメロディーは「シードーミーソー」の「ミーソー」で下がっているのに対し、バイオリン1では、下がらずにぐんぐん上がっていく。
一緒にテンションも上がっていくわけですよ。
でもって、4小節目の最後。
ついに「駆け上がり」が出て参ります。
テンションもマックスですね。
さらには、ここでティンパニーも出てきて、これでもかと盛り上げていくわけです。
さあ、ドキドキしますね。
続く。
オーケストレーションをやってみる その4
さあクライマックスです!
2度目のAメロですな。
とうとう、金管楽器の皆さんが全員出て参りました。
フレンチホルンの皆さんは4人で、同じメロディーを演奏します。
これは力強い。
「a.2」と書いてあるのは、「お二人とも同じことをやっておくれ」という指示です。
(ホルンは、五線1段につき2人分の音符を記すことになっておるので)
トロンボーンとチューバで、和音を補強します。
トランペットは、1回目のAメロで木管楽器がやっていた、「ウンチャーチャー」という、和音と動きを追加する働きを担っています。
ホントは、メロディーはトランペットにしたかったんですよ。
でも、トランペットにするには、ちょっと音域がハンパだったんですよね。
オクターブ上げちゃうと、ちょっとやかましすぎると申しますか。
それならば、ホルンにメロをやっていただいた方が迫力が出るなあ、ということでメロディーはホルンになりました。
さらに、メロディーをフルート、バイオリン1、バイオリン2と、これでもかという大人数で演奏していますね。
3小節目になると、バイオリン2はバイオリン1のハーモニーになり、4小節目になると弦楽器はメロディーを放棄します。
こうして、だんだんとテンションを落として、エンディングに持って行くわけですね。
あと、ここで初めて(というか、最初で最後なんですけど)シンバルが出てきます。
シンバルは、あんまりしょちゅう鳴ってるとうるさいですから、ここぞというところで使用するといいですな。
木管の皆さんは、ここまでずっと演奏しっぱなしだったので、ちょっとお休みしていただきました。
もちろん、入っていても良かったんですけども。なんとなくお休みにしちまった。
さあ、ラストです。
ここは、1回目のときとほとんど一緒です。
但し、強弱の指示と、金管楽器が入っていることが違います。
わりと強めを保ったまま、最後に突入し、テンポとテンションを落としつつ曲は終わっていきます。
曲を終わらせるために、最後に溜めの小節を1小節作っています。
1回目とほとんど一緒なので、あんまり書くことがありません。スミマセン。
なんだか尻すぼみだ。最後なのにー。
---
というわけで。
ここまで実際のオーケストレーションの過程をたどって参りました。
どうでしょう。
なんとなく、編曲過程を追体験していただくことはできたでしょうか。
今回はこういうアレンジにしてみましたけれども、編曲の目的や、欲しい雰囲気によっていろいろと違ってくるでしょうから、そこは各自でいろいろとやってみるとよろしいですよ。
まとめとして、何を書こうかなーと考えたのですがね。
特に何も思いつきませんで。
ひとまず、オーケストレーションの諸々は、これにて幕と致します。
次は、打ち込みでオーケストラサウンドを出す際の諸々を多少書いておきます。
それから、参考曲なんかについても書いていくつもりであります。
2度目のAメロですな。
とうとう、金管楽器の皆さんが全員出て参りました。
フレンチホルンの皆さんは4人で、同じメロディーを演奏します。
これは力強い。
「a.2」と書いてあるのは、「お二人とも同じことをやっておくれ」という指示です。
(ホルンは、五線1段につき2人分の音符を記すことになっておるので)
トロンボーンとチューバで、和音を補強します。
トランペットは、1回目のAメロで木管楽器がやっていた、「ウンチャーチャー」という、和音と動きを追加する働きを担っています。
ホントは、メロディーはトランペットにしたかったんですよ。
でも、トランペットにするには、ちょっと音域がハンパだったんですよね。
オクターブ上げちゃうと、ちょっとやかましすぎると申しますか。
それならば、ホルンにメロをやっていただいた方が迫力が出るなあ、ということでメロディーはホルンになりました。
さらに、メロディーをフルート、バイオリン1、バイオリン2と、これでもかという大人数で演奏していますね。
3小節目になると、バイオリン2はバイオリン1のハーモニーになり、4小節目になると弦楽器はメロディーを放棄します。
こうして、だんだんとテンションを落として、エンディングに持って行くわけですね。
あと、ここで初めて(というか、最初で最後なんですけど)シンバルが出てきます。
シンバルは、あんまりしょちゅう鳴ってるとうるさいですから、ここぞというところで使用するといいですな。
木管の皆さんは、ここまでずっと演奏しっぱなしだったので、ちょっとお休みしていただきました。
もちろん、入っていても良かったんですけども。なんとなくお休みにしちまった。
さあ、ラストです。
ここは、1回目のときとほとんど一緒です。
但し、強弱の指示と、金管楽器が入っていることが違います。
わりと強めを保ったまま、最後に突入し、テンポとテンションを落としつつ曲は終わっていきます。
曲を終わらせるために、最後に溜めの小節を1小節作っています。
1回目とほとんど一緒なので、あんまり書くことがありません。スミマセン。
なんだか尻すぼみだ。最後なのにー。
---
というわけで。
ここまで実際のオーケストレーションの過程をたどって参りました。
どうでしょう。
なんとなく、編曲過程を追体験していただくことはできたでしょうか。
今回はこういうアレンジにしてみましたけれども、編曲の目的や、欲しい雰囲気によっていろいろと違ってくるでしょうから、そこは各自でいろいろとやってみるとよろしいですよ。
まとめとして、何を書こうかなーと考えたのですがね。
特に何も思いつきませんで。
ひとまず、オーケストレーションの諸々は、これにて幕と致します。
次は、打ち込みでオーケストラサウンドを出す際の諸々を多少書いておきます。
それから、参考曲なんかについても書いていくつもりであります。