木管楽器

2010年07月07日

フルート

フルートはですね、こうなんというか、ゆったりと優雅な音がしますよね。女性的というか。
それでいて、軽やかなフレーズなんかも得意だったりします。
非常に柔軟性のある楽器なので、いろんなところで使えますよ。
画像はWikipediaで確認しておいてくださいな。
音域は、楽譜にするとこうだ。
まあ、ここに記した音より上の音も出るんだけど、あんまり音楽的じゃないんだな。

flute

ちょっと音を聴いてみましょうか。





ほれ、高い音が、なんだか音程を感じづらくなってるでしょ。
いくら音が出るからといって、あんまり高すぎる音や低すぎる音は使わない方がよろしいでしょう。
上の楽譜に示したくらいが、まあ大体、現実的かなと。

以下、示す楽譜は全部そんな感じです。「出せる音域」ではなく、「現実的に使い物になる音域」です。


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ピッコロ

こいつは、要は小さいフルートだ。
こんな見た目だ。ホント、ボールペンかよってくらいなサイズ。
でもって、小さいからものすごく高い音が出せる。
こんな音。



ちょっと音を聴いてみましょうか。





全オーケストラ楽器の中でも、突出して高い音が出せる。ホント、穴でも空けちゃいそうな音。
それを利用して、つんざくような効果が欲しいときとか、ジャーンとアタックが欲しい場所なんかにもよく使われる。
実際の効果的な使い方については後述するんで。
実用的な音域はここいら。

piccolo

サウンドの例では、もうちょっと下の音から入れてあるけども、低い音はちょっとザラついた感じがして、美しくないんだよね。
っつーか、そこいらの音が欲しかったら、フルートを使いましょうやって話です。
ピッコロとフルートは金属製です。木管のくせに。


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オーボエ

オーボエは「ダブルリード楽器」というグループに入ります。ちょっとわかりにくいですな。
木管楽器には、「ダブルリード楽器」と「ダブルリード楽器でない楽器」っていうふたつのグループがありまして、フルートやピッコロは「ダブルリード楽器でない楽器」なんです。
じゃあ「ダブルリード楽器」って何なのよ、と。
リードってのは、楽器の口をつけるところにくっついている共鳴弁みたいなもので、これが2枚の弁から成り立っているものを「ダブルリード楽器」と呼ぶわけです。
2枚あるってことで、特徴的な音色を作り出しているわけです。
狭いところを空気が通ると、共鳴して音が鳴ったりするでしょ。あるいは、セロハンに唇を付けて声を出して遊ぶ感じ。
言ってみれば、フルートは口笛みたいな仕組みで音が出て、オーボエは葉っぱの笛みたいな仕組みで音が出るわけですよ。
従いまして、ダブルリード楽器は総じて、葉っぱの笛みたいな鼻にかかったような震えたような音がするわけ。
(正確には、クラリネットはシングルリード、フルート・ピッコロは”ノーリード”つまりリード無しなんですけども、便宜上ダブルリードと
”そうでないもの”っていうふうに分けることが多いです)

リードの説明が長くなった。
ちなみに、オーボエの場合、リードは奏者自身が削って作ります。
なので、奏者によって音色が全然違ったりする。
オーボエの画像とかはこちら
ゆったりとしたフレーズを奏でれば、なんとも哀愁のある音色。
もちろん、軽やかなフレーズもできる。
音を聴いてみましょう。








音域は、こんな感じ。

  oboe
オーボエの音質でもうちょっと低い音がほしいときは、でっかい版のオーボエみたいな「イングリッシュ・ホルン」って楽器があります。
ホルンっていってるけど、フレンチホルンとは全くの別物なので。


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クラリネット

こいつは、ダブルリード楽器じゃありません。画像はこちら
こんな音。







クラリネットは実に万能でして、いろんなところで使えます。
低い方の音は、ボーッという話し声にも似た音がしまして、高い方の音は、なんとも明るい音色ですな。
メロディーを奏でたり伴奏で和音を奏でたり。あるいは、どの楽器に混ぜても馴染んでくれるので、例えば弦だけではパンチが足りないぜっていうような時にクラリネットに同じラインを演奏させると、芯のある音になったりするわけです。
音にクセがないんで、いろいろと使えるんですよね。
吹奏楽なんかですと、弦楽器がいないかわりに、クラリネットがものすごく大人数だったりします。
それだけ汎用性があるってことですわね。
弱い音から大きな豊かな響きまで、自在に出せるっていうのも強い。
音域は広いですぜ。ものすごく。

clarinet

もっと低い音を使いたいんだけど、バスーンじゃなくてクラリネットの音色が欲しいときは、「バスクラリネット」なんていう仲間の楽器もあります。


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バスーン

ファゴット、ともいいますな。
厳密にはファゴットとバスーンは違う楽器なんですけど、今は混同して用いることも多いので、ここでは同一のものとして扱いましょう。
英語・フランス語ではバスーン、ドイツ語ではファゴットと称します。
木管楽器の最低音を支える楽器です。こんな見た目です。
こいつはダブルリード楽器ですんで、ちょっと鼻が詰まったような印象の音がしますな。
コミカルなフレーズを奏でたりすることがままあります。
こんな音。








でもって、音域は

bassoon

コミカルなばっかりじゃなくて、長い音を演奏してまさにベースラインを奏でることもよくありますよ。
もっと低い音が欲しいときは、仲間の楽器で「コントラファゴット」なんてのがいます。


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木管楽器同士の組み合わせ

じゃあ、木管楽器同士の組み合わせを考えてみましょうか。
あのね、金管楽器や弦楽器は、楽器が違っても音質はそんなに違わないんです。
バイオリンの音がちょっと低くなるとビオラになって、もうちょい低くなるとチェロになるっていうような感じとは、木管楽器はちょっと違う。
ダブルリードとシングルリードっていうのは、かなり音質的に違いがありまして、だからこそ、楽器の組み合わせが大事なんですよ。

もうね、鉄板なのは、フルートとオーボエです。
ダブルリード楽器とシングルリード楽器で、音色の質が違う楽器同士の組み合わせなのに、実によく音が混ざるんです。
おんなじメロディーをユニゾンで奏でてもよし、フルートのハモリをオーボエがやってもよし。
ちょっと聴いてみましょう。
まずはユニゾン。







フルートだけでは芯が足りない、オーボエだけではさわやかさが足りない、なんて時にユニゾンにしちゃうと、欲しかった音が生まれるかもしれませんな。

次は、フルートがメロディーで、オーボエがハモリ。







美しいですねえ。
ちなみに、ハモるときは、3度下、もしくは6度下っていうのが定石です。
「度」って何よ、というお方は、こちらをご覧ください。

次はフルートとクラリネットの組み合わせを見てみましょうか。
フルートとクラリネットは、ちょっと音域が離れてるんで、オクターブ離れたユニゾンなんてのはいいですよね。
こんな感じ。







あるいは、フルートのハモリでもいいですよね。







フルートとクラリネットはどちらもダブルリードでないもの同士なんで、合わさると実にやさしい、穏やかな音になりますな。

クラリネットとオーボエはどうかというと、これもよく合う。まあ、同じ木管同士だしね。
ユニゾンでもハモリでも。
まずユニゾン。







お次。ハモリ。







オーボエがわりと主張の強い音なのを、クラリネットがやさしくサポート。

次はバスーンだ。
フルートとは音域が違いすぎるので、あんまり一緒には用いませんわね。
オーボエやクラリネットとオクターブ違いでユニゾンさせてみようか。
オーボエとバスーン。







オーボエのメロディーにバスーンのハモり。







オーボエとバスーンはダブルリード同士なので、音質が似ていますな。
ちょっと鼻が詰まったような。
音に特徴があるので、他の楽器が鳴っていても、わりとちゃんと聞こえてきます。

クラリネットとバスーンのオクターブ違いでユニゾン。







クラリネットのメロディーにバスーンのハモり。







優美なクラリネットに、しっかりとしたバスーンの音。
きちんと寄り添ってますって感じですな。

ピッコロはちょっと特殊で、あんまり他の楽器と組にして用いないんだな。
組み合わせるんなら、フルートのオクターブ上をやるのが一般的かな。
こんな感じ。







ピッコロは音が尖ってるんで、あんまり長い音符をずっとやると、耳が疲れちゃうんだな。
この例みたいな、軽やかなのをフルートのオクターブ上で重ねると、軽やかさが強調される感じ。

1:1の組み合わせを見てきましたけど、別に3種類混ぜたって4種類混ぜたっていいのよ。
1:1:1でもいいし、1:2:1でもいい。ケースバイケースで。
あるいは、フルート2本でハモるとか、オーボエのハモりをフルートがやるとか。
でも全部の組み合わせを見てるとキリがないので、一旦ここいらで打ち止めておきましょうかね。
一般的なオーケストラでは、木管楽器はピッコロ以外はだいたい2人いますんでね。
いろいろ試してみたらよかです。


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木管楽器のオーケストレーション その1

ここまで見てきたのは、主にメロディーを奏でる場合なんだけども。
もちろん、伴奏を受け持つことだってある。

一番単純な伴奏は、和音をバーッと演奏することだわな。
ここで重要なこと。
金管や弦は、それぞれの楽器でそんなに音質は違わないんだけど、木管の場合はダブルリードとそうでないもので音質の違いがあるんで、和音の場合は、なるべく音質の違いが目立たないようにしてやらなきゃいけない。
こんなふうに。

1. 各楽器が2本ずつある場合

A. 楽器を交叉させる方法

interlocked






B. 片方の楽器でもう片方を包む方法

enclosed






C. オーバーラップさせる方法

overlapped






まあ、音の高さとか、欲しい音の質感なんかによってはね、特にこういう面倒なことをしないで、順繰りに積み重ねちゃっても、それはそれでアリですよ。

juxtaposed






しつこいようですけど、ピッコロは和音仲間に入ることはほとんどありません。

それじゃあ、木管みんなで和音を奏でてみましょう。
ここでは、オーバーラップさせる方法を使ってみましたよ。
楽譜が見にくかったら、クリックしていただければキレイな楽譜が表示されますんで。

BlogPaint








なんというか、美しいんだよ。木管の和音は。なんでしょうね、この精霊でも出てきそうな感じは。
逆に、精霊でも出てきそうな音が欲しいときは、木管の和音を使うといいよね。

2. 各楽器が1本ずつの場合

この場合は、あんまり音を密集させちゃいけません。
密集させちゃうと、ダブルリードの楽器が目立ち過ぎちゃうのよね。
こんなふうに。

ww_ex2







ちょっとねえ。小汚いですねえ。
なので、なるべく離れた位置で和音を構成できるといいですな。

ww_ex3







なんと美しい響きでありましょうか。

次回は、木管アンサンブルのアレンジをしてみましょうかね。


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木管楽器でのオーケストレーション その2

じゃあ、木管みんなでアンサンブルにしてみましょうかね。

こんなメロディーがあるとします。

ww_ens_melo


ベートーベンのピアノソナタ「悲愴」第2楽章の冒頭部分ですよ。
原曲は、キーがもうちょっと低いんですけどもね。
わかりやすくするためにC-majorにしてみました。
こいつを木管楽器のアンサンブルにしてみましょう。

たとえば、フルートがメロディーで、残りの木管で和音ってのはどうだろう。(ex.1)

ww_ens1







メロディーの下に、でろーんとただ和音を記載されたコードに従って配置しただけです。
ちなみに、オーボエとクラリネットを「交叉させる方法」で配置して、バスーンはベースラインを奏でています。
まあ、面白味はありませんけども、こういう感じがほしいならば、これはこれでOKですわね。
弦楽器やらなんやらと一緒の時は、こういう単純な方がいいこともよくありますよ。

オーボエを、フルートのお供にしてみましょう。
フルートと会話させるようにオーボエが入ってきて、ぴったりと寄り添う感じに。
そんで、クラリネットとバスーンだけで和音を奏でる、と。(ex.2)

ww_ens2







和音を、単純に伸ばすんじゃなくて、もうちょっとリズミカルにしてみようか。
ピアノの左手みたいな感じを、クラリネットで出してみましょう。(ex.3)

ww_ens3







どうでしょう。
それなりに聞こえると思いませんか。

今までは、メロディーの下に和音でしたけども。
クラリネットをメロディーにして、和音を高い位置に配置してみましょう。(ex.4)

ww_ens5








個人的に、高い方で和音をつけるのは、すごくスキです。
和音がついた瞬間に、ふわっと透明感が増すんですよね。
実はね。クラリネットさんには、楽器の構造上、ちょっと演奏しにくい音が入っちゃってるんですけども。
興味ある方はコチラをご覧ください。(「喉の音」という音域です)

あるいは。
こんなアレンジもアリかもしれませんな。(ex.5)

ww_ens4







テンポを速くして、ピッコロを入れてみましたよ。
バスーンもリズミカルに。軽やかに。春のように。

注意。
ピッコロの楽譜は、実際に鳴っている音で記載してあります。
ピッコロの楽譜って、普通は実際に鳴っている音よりも1オクターブ低く書く習わしなんですけども、ココは楽譜の書き方を綴りたいわけではないので。
そのあたりは、前に書いた通り

木管の音って、全体的に素朴な感じがして、いいですよね。
なんだか、ヨーロッパの木こりさんみたいなイメージで。

というわけで。
木管については一旦終わり。


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