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【社会】

裁量制28歳社員が過労死 都内IT企業 残業月最長184時間

 東京都豊島区のIT企業で、あらかじめ決まった時間を働いたとみなす裁量労働制を適用されて働いていた当時二十八歳の男性社員が昨年、くも膜下出血で死亡し、池袋労働基準監督署が今年四月に過労死として労災認定していたことが十六日、分かった。遺族代理人の川人(かわひと)博弁護士が明らかにした。

 労基署は男性が死亡する直前の裁量制が適用された期間を含む二カ月間で、過労死ラインとされる月八十時間を超える月平均八十七時間四十五分の残業があったと認定。最長では月百八十四時間三十分の残業をしたこともあった。

 川人弁護士によると、男性が勤めていたのは、不動産会社で使うシステム開発を手掛ける「レックアイ」。二〇一三年に入社し、システム開発や顧客との打ち合わせを担当。昨年七月にはチームリーダーに昇格し専門業務型裁量制が適用されたが、八月中旬、自宅アパートで倒れているのが見つかり死亡が確認された。十月、両親が労災申請した。

 男性は長時間労働が常態化していた。裁量制が適用された昨年七月は納期に追われて徹夜を含む連続三十六時間勤務もあり、会員制交流サイト(SNS)で「身体の疲れ方が尋常じゃない」「仕事終わるまであと二十二時間」と書き込んだ。同月中旬には家族に「頭が痛い」などと訴えていた。

 レックアイは「広報担当者が不在で答えられない」としている。

 川人弁護士は「以前から過重労働があったが、裁量制適用直後には徹夜勤務があり、健康に悪い影響を与えた可能性が高い」と指摘。男性の母(58)は「息子と同じような犠牲者が出ないよう会社に求めます。休日もきちっと取れ、リフレッシュできる時間を若い人につくってください」とのコメントを発表した。

 厚生労働省によると、一一~一六年度に、発症時に裁量制を適用されていた人の過労死と過労自殺(未遂含む)は十三件あった。

 

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