官僚の相次ぐ不祥事で安倍内閣の支持率が43%(日本経済新聞社とテレビ東京による4月27~29日の世論調査)と低迷する一方、国内の株式市場関係者の支持率は7割を超えたことがQUICKの月次調査<株式>でわかった。ただ、政策を支持するより総裁交代に伴う日本株市場低迷のリスクを警戒し消去法的に支持率が伸びた面もあったようだ。調査期間は5月8~10日。証券会社および機関投資家の株式担当者158人が回答した。
※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表している。
世論調査に比べて高い支持率、その理由は……
今回の調査では安倍内閣の先行きや株式市場にとって望ましい次の首相などにについて聞いた。安倍内閣を支持するか、との質問では「積極的に支持する」が28%、「どちらかといえば支持する」が46%と「支持する」との意見が7割以上を占めた。支持すると回答したある証券会社は「ポスト安倍候補は、総じて財政再建重視で緊縮的な財政運営を行うとみられ、総裁交代は景気や株価を下押しする懸念がある」と指摘する。
一方、「どちらかといえば支持しない」が17%、「全く支持しない」は9%にとどまった。市場では「安倍政権は、第三の矢を全く実現できておらず、早期退陣が望ましい。日本の直面する喫緊の課題は憲法改正などではない」(投信投資顧問)という声もあった。
高い支持率を集めた背景には、安倍首相の退陣に伴いアベノミクスの終焉を嫌気した海外投資家の日本株売り、日銀の出口戦略や緊縮財政への警戒感から日本株相場が低迷するといったリスク回避の意向が浮かび上がった。市場関係者からは「ポスト安倍」の候補が見当たらないといった声もあり、消去法的に支持する向きが増えた面もあったようだ。
安倍内閣の3選は6割超、退陣なら日本株相場は調整か
安倍内閣の先行きを聞いたところ、「(9月の)自民党総裁選で三選される」が65%と最も多かった。仮に総裁選までに安倍首相が退陣した場合の株式相場への影響を聞いたところ、「しばらく調整局面に入る」が49%と約半数を占めたものの、「一時的な調整があるが、上昇傾向を取り戻す」が34%と見方が分かれた。
株式相場にとって次の首相は誰が望ましいか質問したところ、「安倍晋三(続投)」との声が64%と最も多かった。次いで「小泉進次郎」が14%だった。現実味は乏しいものの、進次郎氏に対する期待は強く、市場では「変化を期待する株式市場では若さもある小泉進次郎氏が望ましい。国民人気も高く、実現すればアベノミクスを上回るような経済効果が生じても不思議ではない」といった声もあった。(敬称略)
小泉進次郎氏
※「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。