精度向上、期待の声
天候の予測精度の向上に、台風や豪雨の被害防止に取り組む各地の防災担当者や、売り上げが天候に左右されることが多い農業や飲料メーカーの関係者から期待の声が上がった。
「降水量をもう少し長いスパンで確認できればいいと思っていた。素早い避難勧告や指示の発令、解除の判断がしやすくなる」。大分県中津市防災危機管理課の鳴良彦主幹は歓迎する。
2017年7月5日に起きた九州北部豪雨では、短時間に激しい雨をもたらす雨雲が発生。正午の段階で雨量は多くないとの予報だったが、午後1時ごろには大雨予報に変わっていたという。その後、大雨洪水警報が出たため、同市は午後2時半に避難勧告を出した。「早い時点で分かっていれば、もう少し早く勧告を出せていたかもしれない。新しい手法で精度が上がれば非常に助かる」と話した。
長野県内のリンゴやブドウなどの生産者らでつくる長野県果樹研究会事務局の湯本幹雄さん(51)は「作業の効率化に役立つ」と話す。
果樹はぬれている時間が長いと病気にかかりやすいといい、農薬をまいて対処する。その後すぐ雨が降っては農薬が付着せず、効果は薄くなってしまうため、「6時間以上先まで雨が降るかどうかを見通せれば、薬をまくタイミングを見極めやすくなる」という。
飲料メーカーらが参加する全国清涼飲料連合会の中田雅史専務理事によると、気温の情報は飲料の売り上げに大きく関係があるという。2週間先まで気温の予測値が発表されることに「大きな進歩。気温に応じて自動販売機の商品の温冷を切り替えやすくなる」と話す。
中田専務理事は「今後2~3カ月先までより詳しい気温の予報ができるようになれば、さらにロスが少なくなる」とさらなる精度改善に期待した。