恐竜の子育て 卵をつぶさないための工夫が明らかに

メアリー・ホルトン科学担当記者 BBCニュース

Two oviraptorosaurs - one sits on a clutch of eggs, the other stands by Image copyright Zhao Chuang

1500キロの巨体で卵を温めるにはどうしたらいいだろうか。

アジアと北米の国際チームによると最新研究では「注意深く」という答えが出ている。

恐竜の子育てについては化石の数が少なく、研究が難しい。しかし今回、オビラプトロサウルス類の恐竜が卵を抱くときの様子が初めて明らかになった。

科学者は、この恐竜の最大種が卵をドーナツ状に並べていたとみている。

これによって親の体重が分散し、繊細な卵を割ることなく、体温で温めたり外敵から守ったりできたという。

オビラプトロサウルス類は今から6700万年前、白亜紀の後半に生息していた。現代の鳥類の古い祖先で、羽毛が生えていた。

オビラプトロサウルス類に属するアンズーという恐竜は、その骨ばったとさかやとかげのような尾から「地獄のニワトリ」と呼ばれている。

The nest of a regular oviraptorosaur the clutch of eggs has a small central gap Image copyright Kohei Tanaka
Image caption 直径60センチの巣の化石。ドーナツ状に卵が並んでいる

この研究の共著者であるカルガリー大学(カナダ)のダーラ・ゼレニツキー博士は、「オビラプトロサウルスは実に興味深い恐竜」と話す。

「この類の恐竜のほとんどは100キロかそれ以下の小型だ。彼らはとても鳥に近しく、オウムのような頭蓋骨を持っている。比較的希少だが、多くの面白い標本がある」

研究チームは40個以上の異なる形や大きさの巣を調査し、卵を抱くときの様子を調べた。巣の多くは中国とモンゴルで出土した。

巣の直径は小さなものでは35センチ、オビラプトロサウルス類の最大種マクロエロンガトゥーリススのものは330センチに上った。中央の穴は、恐竜の大きさに比例して広がるようだ。

A ring of eggs around a circle of dirt Image copyright Kohei Tanaka
Image caption 巨大なオビラプトロサウルス類の巣の化石。真ん中の空間に親が座る

こうした適応は、現代の鳥類には見られない。

「我々が見た限りでは、この行動はこの種族にしか見られない。彼らの卵はとても細長いので、彼らだけの特徴だ」とゼレニツキー博士は説明する。

別の研究では、この細長い卵は青緑色だったと推測されている。最も大きなものが一番繊細な殻を持っていたが、その重さは6キロにも達するという。

科学者は、体の小さなオビラプトロサウルスは卵をドーナツ状に重ねた上で、その上に直接座っていたとの結論に達した。

一方、体が大きなオビラプトロサウルスは、卵を重ねずに大きなドーナツ状の円を作っていた。こうすることで親の体重を支えることができたと考えられている。

Two oviraptorosaurs sitting on clutches of eggs - in the foreground, the larger dinosaur has its eggs arranged around itself, in the background the smaller dinosaur sits on top of its eggs Image copyright Masato Hattori.
Image caption 体の大きさによるオビラプトロサウルス類の卵の温め方の違い

米ノースカロライナ州自然科学博物館のリンジー・ザノ博士はこの研究を「シンプルだが明晰(めいせき)だ」と評価した。

「恐竜の巣は、恐竜がどのように進化したのか(中略)その巨大な体格で卵をつぶさずに温めたり守ったりする習慣をどのように身に着けたかを垣間見せてくれる。そういった意味で極めて価値がある」

(英語記事 How the 'chickens from hell' nested

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