【シリコンバレー=佐藤浩実】米フェイスブックは15日、1~3月に累計5億8300万件の偽アカウントを閉鎖したと発表した。人工知能(AI)などの技術を使い、大半の偽アカウントを登録から数分以内に削除したという。同社は情報流出や不適切な広告の問題を受けてアカウントや投稿内容の監視を強める方針を示しており、同日に初の報告書を公表した。
報告書では利用者の3~4%は偽アカウントだったと推定した。偽アカウントは不適切な投稿や情報流出の温床になりやすい。不正利用者は自動生成などで、繰り返し偽アカウント取得を試みているとみられる。フェイスブックは直近で約22億人が利用している。
このほか、世論の分断を誘ったとされるヘイトスピーチや暴力的な画像、ヌードや性行為にかかわる投稿などへの対策状況を公表した。
ヘイトスピーチを含む投稿については1~3月に250万件を削除した。2017年10~12月と比べると削除した件数は1.6倍に増えた。ユーザーから指摘を受ける前にフェイスブックが対策できた投稿の比率は38%だったという。フェイスブックによると、ヘイトスピーチか否かを自動で特定するのは今のところ技術的に難しく、専門のチームがチェックしている。
暴力的な画像、ヌード・性行為の写真を含む投稿についてはそれぞれ、350万件、2100万件を削除した。これらはAIなどの技術を使ってユーザーからの通報前に取り除けた比率がヘイトスピーチ関連の投稿よりも高く、86%と96%だった。悪質な広告などの「スパム」は8億3700万件を削除した。