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もう1つ、気付かないうちに自分の価値が下がっていることがある。それが「サービス残業」や「サービス休日出勤」だ。特に営業職の場合、残業代は「みなし残業代」などと通常の給与内に含んでいる場合も多い(そもそも年俸制などの場合もそうだ)。そのため残業と給与の関係にあまり目が届かず、いつの間にか「同じ給与で多くの時間働く」という状態に陥っているのだ。
仮に残業代が出ないとして、さっきと同じ計算をしてみよう。月収30万円で、1日8時間労働を月20日行った場合の時給は1875円だった。では、労働時間が1日10時間になったらどうだろうか。
2時間という時間は、残業をしていると意外に早く過ぎ去ってしまう。しかしこの2時間が、時給を375円も下げている。しかも残業というものは「自主的に」行われているもの。つまり自分から自分の価値を下げているのだ。
もちろん半ば強制的に残業させられることもあるだろう。しかし最終的に残業するかを判断する、あるいは残業が必要な状態を生み出しているのは自分である。勤務時間内に仕事を終わらせたければ業務効率を上げればいいし、いくら上司が残っていても、自分のやるべき事が終わったのなら帰ればいい。
私は会社員時代、ひどく残業の多い部署で働いたことがある。異動後すぐに夜中まで会議。もはや残業が日常のようになっていた。しかし私は、異動後ほどなく定時で帰った。周りがいくら残っていても、構わない。自分さえよければいいとは思わないし、帰る前には一通りメンバーに「何か手伝うことはないか?」と聞いて回った。しかし「大丈夫」と言うのだから、それ以上いる必要はない。むしろ早く帰ってリフレッシュし、疲れ知らずで明日に臨んだ方がよほど質の高い仕事ができると考えていた。
必要な残業、あるいは休日出勤というものは、やはりあると思う。どうしても避けられない事態はあるし、残業や休日出勤をすることで大きなメリットを生み出すこともあるだろう。しかしそれはほんの一部で、あとは不要な残業だ。ならば帰ればいい。わざわざ自分から会社に居残って、自分自身の価値を下げてやる必要はないだろう。
中には「残業している=できるビジネスマン」などと思っている人もいるが、私の知る限りそんなのは勘違いだ。例えば遅くまで仕事をする経営者は、それによって会社の発展という対価が後からついてくることを想定している。あるいはインセンティブがあって、あと少しで大型案件が決るという場合には残業もするだろう。しかしどちらの場合も、残業に費やした時間に対する「見返り」があるのだ。
むしろできるビジネスマンこそ時間意識も高く、自分を安売りしたりはしない。仕事はボランティアではないのだから、これもまた当然のことだろう。
こうして給与を時給ベースで見てみると、少し考え方が変わるのではないだろうか。その理由は、給与を「時間」と照らし合わせて見ることができるからに他ならない。何も分刻みで考えろとは言わないが、自分の価値を知るのに、この時給換算はいい指標になる。
自分自身の価値が下がっていると感じたら、次にすることは「なぜそうなったのか」を考えることである。残業が増えているのなら、先に述べた通り残業をなくすよう取り組めばいい。しかし給与そのものが下がったり、あるいはどうしても自己解決できない要因であるときは、こう考えてみてほしい。
このラインを下回るようならば、転職するのも1つの手かもしれない。あるいは一度、同じスキル・経験の人が他の企業でどの程度の給与を得ているのかを調べてみるのも手だろう。ひょっとしたら、自分の想定価値は市場から大きくはずれているのかもしれない。それならそれで、ラインは自然と下がってくる。
また給与以外、例えば人脈や経験値、特殊ノウハウなど会社から得るものが多いのであれば、給与は二の次と言う人もいるだろう。それならば、給与の最低ラインは低くなる。つまり「自分をいくらで売るのか」の基準は、人それぞれなのだ。しかしその基準を持たないでいると、いつしか自分を安売りしてしまうだろう。
「残業しないようにすればいい」のは分かっているが、何をすればいいのか分からない人も多いだろう。昨今ではITの進化も著しく、ビジネスを加速化・効率化させるのに役立つツールやサービスも数多く出てきた。こうしたものを上手く使えば、残業は減ってくるだろう。
そこで次回は、ITツールやWebサービスを活用して無駄時間を活用する方法についてご紹介したい。社内規定などで全てをそのまま実行できるとは限らないが、きっと今後に役立つヒントは見つかるはずだ。
1983年岩手県生まれ、宮城県育ち。人材コンサルティング会社、Web関連会社での勤務を経て、2010年6月にナレッジ・リンクスとして独立。「時間の自由」を第一としたワークスタイルを実践中。多くのSOHOやフリーランスワーカーとパートナー関係を持ち、業務機会の提供を行っている。プライベートでは2人の子どもを持ち、マラソンやトライアスロンにも挑戦。ITやビジネス全般を中心とした執筆活動も行う。
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