17年の歳月を経て、僕らはついにADAと出会った―PS4/PC「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS:M∀RS」先行体験レポート
2018年5月15日 18:00
担当:ささみ
KONAMIが2018年9月6日に発売を予定しているPS4/PC(Steam)用ソフト「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS」。PS4体験版が近日配信開始となる本作の、先行体験レポートをお届けする。
「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS:M∀RS」は、2003年に発売されたPS2用ロボットアクションゲーム「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS」を現代機向けにリマスターした作品だ。グラフィックやサウンド向上やゲームシステム・操作性の向上、改善はもちろんのこと、新たなプレイフィールとしてVRにも対応している。
「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS」は前作「ZONE OF THE ENDERS Z.O.E」(2001年発売)の続編に当たり、物語は木星の第4衛星である極寒の星“カリスト”にて、主人公のディンゴ・イーグリットが隠匿されていたオービタルフレーム・ジェフティを偶然にも発見してしまったところから始まる。
2018年9月6月の発売に先駆けて、PS4の体験版が近日配信予定となっている。PS VRに対応したことで、自分自身がフレームランナーとなってジェフティを操縦できる本体験版のプレイレポートをお届けしよう。
本作の体験版では、ストーリーの冒頭をプレイすることができる。ジェフティを発見したディンゴは、時を同じくしてカリストに襲撃してきた軍事組織「バフラム」を撃退するために、ジェフティに搭乗してバフラムの尖兵と戦うことになるのだ。
従来の視点ではジェフティを背後から俯瞰するように眺めていたが、VRモードではこれが一変。視点はディンゴ――つまり、コックピットからジェフティのモニターを通して外を眺めるようになる。
視点が変われば、視界も大きく変わる。従来では見えていた背後や頭上、真下は“死角”となり、敵を見失うこともあるだろう。しかし、こうした視界の制限というのもVRならではの臨場感を担う大切な要素になっている。
例えば近接攻撃を繰り出した際などには、斬撃の軌跡が眼前にくっきりと浮かび上がる。攻撃を繰り出す度に、視界の端にジェフティの腕が見え隠れする。こうした視点の違いによる視界表現が、“自分は今コックピットの中にいる”という気持ちをより高めてくれていた。
とはいえ、臨場感を優先して操作性をないがしろにしては意味がない。本作では、そういった部分もしっかりとフォローされているので安心して欲しい。例えば、コックピットからでは機体の状態が上手く把握できず、自分が今何をしているのか、どこを向いているのかが分かりにくいと感じる人もいるだろう。VRの視界に慣れていない人は、特にそう感じるかもしれない。
VRモードでは、画面の右下に常にジェフティの姿が表示されている。これは自身の動作と連動して動くため、自分が今どんな状態にあるのかを一目で把握できるようになっている。
VRモードでの面白いポイントがもう一つある。それはコックピットのコントロールパネルだ。トレーニングモードなどの操作方法を練習する際は、このコントロールパネルに焦点を合わせることで操作方法が表示される。視線を外せば説明は消えるため、わざわざボタンを押して操作方法を確認する必要のないシームレスさはありがたい。何より、コントロールパネルにこれを仕込むというのが粋な計らいといえるだろう。
VRならではの視点というのは、時に普通では味わえない“恐怖”と遭遇させてくれる。ジェフティが飲み込まれてしまいそうなくらい極大のレーザーを放ったり、瞬きの後に距離を詰めてくるアージェイトとの戦闘は、まさにそんな“恐怖”の連続だ。
俯瞰視点から見る極大レーザーはなんとなく“何か来るな”程度の気持ちだが、真正面から光の束が降りかかって来るのを目の当たりにすると“危ない!”と思わず身体が先に動いてしまう。残像を残しつつ迫ってくるアージェイトの速度も、俯瞰ではただの自分と相手との距離感を計るものでしかなかったが、VR視点では遠く小さく見えていた相手が次の瞬間には巨大な姿でそこにいる。視点が変わるだけで、恐怖が何倍にも膨れ上がることを、きっと数多くのランナーがアージェイトとの戦いでこれから学ぶはずだ。
本作は、VRモードの搭載と合わせて、4K解像度での表現にも対応している。PS4向けにリマスタリングされているため、通常でも映像はかなり綺麗になっているのだが、4K画質ではさらに美麗な映像表現を楽しむことができる。
4K画質では、通常では表現しきれない機体の細かな溝やデカールの文字までくっきりと描かれる。人体の特徴を色濃く捉えたフォルムをしているジェフティは、特に描き込まれている部分が多く、ちょっとしたカットシーンでも被写体の線の多さに驚かされる。
4K画質で表現された機体をじっくりと見たいという人には、ジェフティやアージェイトを全方位のアングルから自由に鑑賞できる「MODEL VIEWER」(モデルビューワー)などのスペシャルコンテンツも用意されている。戦闘中では気付かなかった細かなパーツのつなぎ目や文字、陰影などをじっくりと確認することができる。
現代の映像表現によって、鮮やかな進化を遂げた「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS」。かつてレオと共にADAと出会い、そしてディンゴと共にジェフティと歩んできたプレイヤーたちが、本作では一人のランナーとなって戦うことができる。人工知能(AI)なんてものがまだ少し遠くに感じていた時代、「ジェフティに乗ってみたい」と空想したことがあるのは、決して筆者だけではないはずだ。
VRモードに対応した本作は、かつてそんな夢を抱いていた人にこそぜひプレイしてほしい。ジェフティは存在する。ADAの声は、確かに聞こえてくるのだ。