執筆:月刊『からだにいいこと』編集 –株式会社からだにいいこと
若い世代だけでなく、大人、特に専業主婦のひきこもりが問題になっています。家族も気づきにくい、主婦のひきこもりの特徴をまとめました。
長期化し悪化すると心の病にも
一般的に“ひきこもり”という言葉からイメージされるのは若者世代や、独身の人が多いのでは。
それが昨今では、専業主婦のひきこもりが増加していると問題視されています。内閣府の調査は、対象年齢が39歳まで。また「自宅で家事・育児をしている」と回答した人は除外されているので、専業主婦は調査の対象外です。
そのため、実際はひきこもり状態になっている主婦への対策が遅れて、ひきこもりの状況が悪化することが懸念されています。専業主婦のひきこもりの問題点や原因などをまとめました。
家事や育児はふつうに行うが…
主婦のひきこもりは、一般的なひきこもりと違いがあります。ポイントは、完全に家にひきこもるのではなく、家事や育児での外出はこなし、掃除や洗濯などもいつも通り行っていること。家族以外の外部との関わりを閉ざしているのですが、現在では食品や日用品もインターネットで購入できるので、日常生活は通常通りできるため、家族は気づきません。このように、周囲がひきこもりの状態に気づかないことで、状況を悪化させてしまいがちです。ひきこもりが悪化すると、人によっては部屋に完全に閉じこもり、家族の生活にも支障をきたしてしまうというケースも報告されています。長期化するほど、精神的な不調を患うリスクも高まるので、早めの対応が求められます。
夫に言えず心にストレスを溜め込んだままに
主婦のひきこもりの原因となるのは、主に対人関係です。ママ友とトラブルになり周囲の人と会いたくない、職場でマタニティハラスメントを受けたトラウマから外出が苦手に。また、子供の進学・就職の失敗を自分のせいにするなどです。専業主婦の場合、交友関係が限られた人も多く、こういった悩みのはけ口がないことも、心にストレスを溜め込んでしまう原因に。
日本社会に残る亭主関白の傾向や、夫を立てるといった価値観も、主婦の自己肯定感を低くしています。例えば夫の理不尽な要求にも、それに応えるのが妻の役目と頑張り過ぎてしまい、心を疲れさせるのです。
自分がひきこもり状態であると認識している主婦であっても、家族には知られたくないと隠す傾向も。心の病を防ぐのはもちろん、自分の人生を自分らしく生きるために、主婦のひきこもりには、早期の支援が必要です。現在では、各地に自立支援センターが設けられています。電話相談はもちろん、外出が難しい人の場合は、スタッフが訪問して話を聞いてくれるというサポートもあります。少しでも自分がひきこもりかもしれないと感じたら、相談してみましょう。