新宿から約40分!深大寺周辺をめぐるプチ旅へ。名物のそばに日帰り温泉も
関東有数の古刹として知られる東京・調布の「深大寺(じんだいじ)」。水と緑をたたえる豊かな自然に人々の暮らしが入り混じるこの界隈は、古き良き門前町の雰囲気に包まれています。シンボルである深大寺をはじめ、参道のグルメや名物「深大寺そば」、日帰りで楽しめる天然温泉など、新宿からわずか約40分でプチ旅気分を味わえるのが最大の魅力。歩けば誰もが心やすらぐ、深大寺周辺を訪れました。
深大寺周辺へは、新宿から電車とバスを使って約40分。京王線「調布駅」か「つつじヶ丘駅」、JR中央線・総武線「吉祥寺駅」か「三鷹駅」からバスでのアクセスが便利です。
深大寺観光案内所
東京都調布市深大寺元町5-12-7
[営業時間]10:00~15:00
[定休日]月曜(祝日の場合は営業、翌日休み)、年末年始
042-488-3099
都内のオアシス「深大寺」は厄除けと良縁に効果抜群!?
まず向かいたいのはもちろん「深大寺」。開山ははるか奈良時代にまでさかのぼります。733(天平5)年に寺の名前の由来となった「深沙大王(じんじゃだいおう)」が祀られ、厄除けや縁結びの寺としても有名です。境内は本堂や元三大師堂など見どころが多いので、先ほど手に入れたマップを片手に周ってみましょう。
深大寺の信仰の中心は、厄除けの力を備えた元三大師像を祀った元三大師堂。江戸の大火の後、いち早く再建されたということからも、当時の人にとってどれだけ重要な心の拠り所だったのかがわかります。
深大寺の最大行事「厄除元三大師大祭」、通称「だるま市」は、例年3月3~4日に行われ、大師様のご威力にあやかる参詣者で身動きがとれないほどになるそうです。「日本三大だるま市」の一つとして知名度も高いので、混雑覚悟で一度訪れてみたいものです。
「だるま市」では僧侶がだるまに直々に目入れをしますが、梵字(ぼんじ=神仏を一字で表す神聖な文字)を入れるのが深大寺流。だるまの左目には物事の始まりを意味する「阿字(あじ)」を、心願叶っただるまの右目には終わりを意味する「吽字(うんじ)」を入れてくれます。だるまの持ち主が感謝の気持ちを込めて、寺に納めます。
このほか、5月上旬には本堂正面左手の「なんじゃもんじゃの木」の下でコンサートが開かれるほか、7月下旬にはほおずき祭り、8月上旬には夕涼みの会、11月下旬にはそば祭りと、季節ごとに行事が催され、多くの人でにぎわいます。
さて、もうひとつ深大寺で見ておきたいのが、釈迦堂に安置されている白鳳期(645年~710年)の傑作とされる銅造釈迦如来像(白鳳仏)。2017(平成29)年に国宝に指定された東日本最古の国宝仏です。開山当時から深大寺をずっと見守ってきました。その上品で柔和な顔つきながらも凛としたお姿に心が洗われ、しばし見惚れてしまうほど。悠久の歴史にロマンを感じずにはいられません。
2018(平成30)年4月1日からは、奈良県「新薬師寺」の香薬師像の御分身像と兵庫県「鶴林寺」の聖観音菩薩の御分身像に加え、新たに千葉県「龍角寺」の薬師如来仏頭(ぶっとう)の御分身像を迎えて、4体のお姿を拝見できるようになりました。ぜひお見逃しなく!(拝観料300円)
メインの境内を抜けて、うっそうとした森の中を歩いていくと、ひなびた感じのお堂がひっそり佇んでいるのが見えてきました。深大寺の名前の由来にもなった水の神・深沙大王を祀る深沙大王堂です。縁結びの神様として秘かな信仰を集めるスポットになっています。「良いご縁に恵まれますように……」。
豊かな水と緑に囲まれた深大寺は、まさに都内のオアシス。四季を通じて草木や花が彩る「神代植物公園」も隣接しており、散策するのにぴったりのエリアです。ぜひ自然の豊かさも堪能してみてください!
深大寺
東京都調布市深大寺元町5-15-1
[拝観時間]9:00~17:00(冬季は16:00まで)
[拝観料]無料 ※釈迦堂のみ大人300円、高校生以下無料
042-486-5511
深大寺参道ならではの門前グルメを探してみよう!
さて、参道でひときわ目を引くのが「鬼太郎茶屋」です。屋根上の妖怪たち、店前で出迎えてくれる鬼太郎とねずみ男など、第二の故郷として調布市と縁が深い水木しげる氏の世界が繰り広げられています。
鬼太郎をモチーフにした甘味やドリンク、ソフトクリームなどのほか、グッズやお土産品など、目移りするものばかりで、見ているだけでも楽しい!ここでしか手に入らない限定商品もあるので、お気に入りを見つけてみてくださいね。
※記事内の『ゲゲゲの鬼太郎』キャラクターはすべて©水木プロダクションの著作物です
世界にひとつだけのオリジナル作品を深大寺のお土産に!
ここでは気軽に陶芸体験ができます。一番手頃な「らくやきコース」(250円~)は、皿、湯飲み、茶碗など100種類以上の素焼きのなかから好きなものを選び、自由に絵付けした後、1,200度の窯で約20分間焼いて完成!その日のうちにオリジナル作品を持ち帰ることができます。
このほか、本格陶器の絵付けや粘土から完全オリジナルの作品が作れるコースもあります。深大寺参りの思い出に、世界にひとつだけの作品を作ってみませんか?
むさし野深大寺窯
東京都調布市深大寺元町5-13-6
[営業時間]9:00~17:00(陶芸体験受付は16:00頃まで)
[定休日]なし
[陶芸体験料金]250円~
042-483-7441
そばが繋ぐ地域の味と人の心。その心意気を感じる味とは?
そば祭りでは、そば守観音供養祭で献上された新そば粉を、同業のそば屋さんたちが交替で打ち、深大寺の庫裡(くり)で参拝客にふるまいます。「そば」で地域を盛り上げようとするライバルでもあり同士でもある者たちの心意気が、地域の味を支えているのですね。そんな情熱あふれる深大寺そば組合には、現在20を超える店舗が名を連ねています。
深大寺周辺には、かつて農家が300軒余りあり、各家庭でそばを栽培していましたが、宅地化や神代植物公園の開業に伴い、そば畑はほとんどなくなりました。しかし、その頃から観光客向けのそば屋が増え、今に至ります。店によってさまざまな産地からこだわりのそば粉を取り寄せているので、食べ比べるのもおもしろそうです。今回はその中から、「湧水」さんを訪ねました。
おすすめの「九割蕎麦」は群馬県赤城の生産者が栽培した無農薬、無化学肥料のそばの実を友輔さんこだわりの挽き方で製粉したものを取り寄せているそう。ゆであがってキュッと冷水で締められたそば粉9割のそばを口に含むと、口いっぱいにそばの甘みと香りが広がります。穀物であることを実感するそばの存在感と、濃いめのつゆの味が絶妙です。
受け継いできたつゆの味と相性のよいそば粉を探し求めてたどりついたという逸品を、ぜひ堪能してみてください!
「湧水」では、そば粉を使ったオリジナルのメニューも充実しています。
「そば」の味を知り尽くしているからこその料理の数々。揚げる、炒るなど料理の仕方によってこれほど味わいが変わるとは!奥深きそばの世界を知ることができました。
湧水
東京都調布市深大寺元町5-9-1
[営業時間]10:30~18:00(17:00頃に閉店する場合もあり。土・日曜、祝日は19:00頃まで) ※季節によって変動あり
[定休日]木曜
042-498-1323
「人」と「水」と「緑」を結ぶシンボルとして、1992(平成4)年に地元の方からの声で復活しました。原材料を持参すれば、実際に玄米を精米したり、そばの実を粉にひいたりできます(要事前予約)。隣接する展示回廊には先人の暮らしの知恵を物語る農具なども展示されているので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
調布市深大寺水車館
東京都調布市深大寺元町5-10-6
[開館時間]9:30~17:00(11~3月は16:00まで)
[休館日]月曜、12月29~31日 ※展示入れ替え期間休業あり
[入館料]無料
042-482-7636
深大寺から流れ込む「運気」に満たされた天然温泉に浸かって、パワーアップ!
この施設のおもしろいところは、風水を取り入れていること。深大寺から発せられる良い「気」が玄関から入り、露天風呂にたまるよう「龍脈=気のルート」を考えて設計されています。
男女合わせて12種類の温泉には、竹や炭、石などが使われ、そこから発せられる波動エネルギーによって、やる気を高める、心を静めるなどの効果が得られるようになっているのだとか。その時の自分の状態に合わせて、浸かり分けるのもおもしそうですね。
褐色の湯は少しトロッとしていて、かすかに塩気を感じます。源泉は一切加水せず、そのままの濃さで浴槽に入れているそう。湯の温度は低めで、いくらでも入っていられそうなほど体に優しく感じます。
露天風呂を取り囲む木々は、植栽ではなく武蔵野の面影をそのまま残しているので、「滝見風呂」に浸かっていると、まるで本当に森林浴をしているかのよう。
1階には温泉のほか、岩盤浴、足湯、マッサージルームがあり、ちゃぶ台のある休憩スペースではドリンクや軽食もいただけます。また、2階には仮眠室と畳敷きの食事処があり、ゆっくりくつろぐことができます。
気取らず普段着のままくつろぐのに最適な「湯守の里」でした。
深大寺天然温泉「湯守の里」
東京都調布市深大寺元町2-12-2
[営業時間]10:00~22:00
[定休日]なし ※メンテナンスのため臨時休業あり
[料金]大人1,000円、幼児・小学生600円(いずれもタオル・館内着なし。別途有料でレンタルあり) ※日曜、祝日、指定繁忙期は大人1,100円、幼児・小学生は650円
042-499-7777
※記事内の価格・料金はすべて税込です
撮影:重野友紀
古谷玲子
編集者・ライター。出版社・編集プロダクションの株式会社デコ所属。移住者向け雑誌「TURNS」のほか、「孫育て一年生」を担当。フリーランス時代は、海外旅行ガイドブックで、台湾、台北、モンゴル、東アフリカを手掛ける。さまざまな「人の営み」に興味がある。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。