2018年4月より、春クールのTVアニメが放送されています。今クールも漫画原作のタイトルが大豊作で、その数なんと約40タイトル! ここ最近ではかなり多い作品数となっています(番組一覧はこちら)。
一般的にアニメの原作コミックは、売上がアニメ放送開始とともに急上昇し、アニメが話題になるほどより大きく跳ね上がります。そのため原作コミックの売上は、アニメの人気のバロメーターとも言うことができます。
そこで今回も、これまで同様にアニメ開始月(4月)における単行本第1巻の売上冊数を調査。上位5作品の解説とともに、アニメ放送前月(3月)と比べて売上がどれほど伸びているのかも発表します。
さて、放送中の2018年春アニメではどの作品が売れているのでしょうか? さっそく見ていきましょう。
※第2期以降・続編のタイトルは除きます。
※「漫画原作のアニメ」には、小説などのコミカライズを含みます。
※売上の調査・比較には、いずれも「日販 オープンネットワークWIN」のデータを使用しています。
※読者層の調査には「日販 WIN+」のデータを使用しています。
冬アニメで好調だった原作コミックはこちら!
・アニメ化効果は最大10倍!2018年冬アニメの原作コミック売上ランキングベスト5
4月に最も売れた春アニメの原作コミックは『ゴールデンカムイ』。「原作コミックはこれを読め!おすすめランキングBEST5」でも、第1位としておすすめした作品です。「このマンガがすごい!2016」オトコ編で第2位、「マンガ大賞2016」で大賞を獲得した話題作が、やはり期待通りの売れ行きを見せてくれました。
『ゴールデンカムイ』は、明治後期の北海道を舞台にしたサバイバルアクション漫画。莫大な埋蔵金を追う元軍人の「不死身の杉元」と、杉元に協力することになったアイヌの美少女・アシリパを中心に、埋蔵金を狙うさまざまな軍勢とのバトルや、埋蔵金の在り処と真相に迫るミステリーが描かれています。
アニメでは、原作で描かれている血なまぐさいバイオレンス描写や、放送禁止ギリギリの変態キャラクターまでも忠実に再現。“攻め”の姿勢がうかがえる作品に仕上がっています。
また放送回を重ねるにつれ、アシリパの変顔や“脱獄王”白石の登場などによって〈ギャグ要素〉が増してきており、放送開始時のシリアスな雰囲気を忘れそうになるほどの笑える展開も話題に。文化・歴史、バトル、ミステリ、ギャグが絶妙なバランスで配合された原作の魅力が、アニメでもしっかり表現されています。
ちなみに『ゴールデンカムイ』単行本第1巻の4月の売上は、放送前の3月に比べると約3.5倍。放送開始以降、ペースを落とさずに売れています。
なお読者に男女の偏りはほとんどなく、20代を中心に、幅広い世代に読まれています。また併読作品には、『ダンジョン飯』(九井諒子/KADOKAWA)や『進撃の巨人』(諫山創/講談社)、『ドリフターズ』(平野耕太/少年画報社)などが見られました。
『ゴールデンカムイ』は現在「週刊ヤングジャンプ」(集英社)にて連載中。単行本は第13巻まで発売されています。
第2位は『ヲタクに恋は難しい』となりました。
『ヲタクに恋は難しい』は、隠れ腐女子と重度のゲームヲタクの不器用な恋愛模様を描くラブコメディ。Webコミック誌「comic POOL」(pixivコミック)にて連載中で、単行本は第5巻まで発売されています。
『ヲタクに恋は難しい』は、ポップでスタイリッシュな絵柄と、ネットスラング満載でテンポのよい掛け合いが魅力。アニメでもそれらがしっかり再現されており、原作ファンも満足の仕上がりとなっています。
またアニメでは、登場人物が自撮り動画を撮影しているかのように踊るオープニングも話題に。動画投稿サイトには「やってみた」動画が多数投稿されるほどの人気ぶりを見せています。
単行本第1巻の4月の売上は、アニメ放送前の3月と比較すると約2.3倍に。放送開始以降、週を追うごとに売上を伸ばしています。
読者の男女比は2:8。アニメ放送後は男性読者も増えてきていますが、やはり圧倒的に女性ファンが多いです。
20代をピークに10~40代まで幅広い年齢層に読まれており、併読している作品には『月刊少女野崎くん』(椿いづみ/スクウェア・エニックス)や『ホリミヤ』(萩原ダイスケ/スクウェア・エニックス)、『恋と呼ぶには気持ち悪い』(もぐす/一迅社)といった作品が見られました。
第3位は『ヒナまつり』。未来からやってきた超能力少女・ヒナと、やり手の若手ヤクザ・新田の同居生活を描くコメディ漫画です。
『ヒナまつり』の魅力は、ギャグ漫画なのに全般的にテンションが低いところ。笑いを誘う独特の間には「アニメで表現しにくい」という側面もあるのですが、アニメ「ヒナまつり」では、じわじわくるシュールな笑いがしっかり描かれています。
そして単行本第1巻の4月の売上は、アニメ放送前の3月と比べてなんと約9.0倍! 予想を上回る売れ行きにより、『ヒナまつり』は現在品薄状態となっています。8年にもわたって連載されてきた「知る人ぞ知る傑作ギャグ漫画」が、アニメ化をきっかけに一気にブレイクしました。
ちなみに読者の年齢層は20代がピーク。男女比は8:2と圧倒的に男性が多数で、併読されている作品は『ワンパンマン』(村田雄介/集英社)、『ダンジョン飯』(九井諒子/KADOKAWA)など。現在は若い男性読者が中心ですが、本作の“独特の間”で笑わせるコメディはもっと幅広い層にウケるように思います。気になった方はぜひ手に取ってみてくださいね。
なお『ヒナまつり』は現在「ハルタ」(KADOKAWA)にて連載中。単行本は第14巻まで発売されています。