自衛隊の構成と充足率、特に兵卒レベルについての応募・採用状況について、以下にまとめました。
年度 | 幹部 | 准尉 | 曹 | 士(全体) | 士(非任期) | 士(任期) | 士(定員) | 士(応募者数) | 士(採用者数) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1980年 | 37982(97.4) | 4352(87.5) | 118957(98.8) | 78805(76.2) | ----- | ----- | 103483 | 44650 | 21007 |
1990年 | 39116(93.8) | 4919(92.1) | 122589(95.6) | 79920(81.1) | ----- | ----- | 98530 | 43805 | 21799 |
1999年 | 42467(98.2) | 5133(95.4) | 135602(99.1) | 53166(64.9) | 15394 | 37772 | 81860 | 30581 | 5758 |
2000年 | 42947(98.2) | 5210(96.8) | 137256(99.4) | 51408(65.5) | 15203 | 36205 | 78494 | 26748 | 4643 |
2001年 | 43014(98.3) | 5022(93.7) | 138476(99.3) | 53295(72.5) | 16531 | 36764 | 73560 | 27901 | 7173 |
2002年 | 42621(97.6) | 5000(94.0) | 138361(99.1) | 53857(76.9) | 16782 | 37075 | 70038 | 33896 | 9525 |
2003年 | 42174(96.8) | 4982(93.7) | 138202(99.1) | 54448(77.8) | 16968 | 37480 | 69952 | 30450 | 8540 |
2004年 | 41653(94.7) | 4928(93.6) | 137795(98.9) | 54203(81.6) | 17274 | 36929 | 66421 | 30567 | 8345 |
2005年 | 41463(93.8) | 4928(93.7) | 137208(98.9) | 55831(85.8) | 17618 | 38213 | 65045 | 30864 | 10007 |
2006年 | 41311(92.8) | 4945(94.8) | 136873(98.7) | 57683(91.3) | 18533 | 39150 | 63185 | 31687 | 11004 |
2007年 | 41358(92.1) | 4892(93.8) | 136613(98.5) | 58107(93.1) | 20530 | 37577 | 62417 | 29976 | 9775 |
2008年 | 41453(92.0) | 4846(95.8) | 136429(98.6) | 47563(79.1) | 18344 | 29219 | 60109 | 27699 | 8357 |
2009年 | 41785(96.1) | 4810(96.7) | 137158(96.7) | 44783(74.1) | 19223 | 25560 | 60452 | ----- | ----- |
2010年 | 42283(93.4) | 4694(93.4) | 138506(99.2) | 43874(76.0) | 21316 | 22558 | 57765 | 21055 | 2321 |
2011年 | 42818(94.3) | 4566(92.4) | 139798(99.7) | 40768(71.3) | 22579 | 18189 | 57179 | 23158 | 5180 |
2012年 | 43081(94.9) | 4506(91.1) | 138995(98.4) | 41266(73.9) | 23184 | 18082 | 55864 | 23968 | 4309 |
2013年 | 43048(94.8) | 4496(91.1) | 138626(98.3) | 38356(68.8) | 21785 | 16571 | 55758 | 34038 | 9963 |
(カッコ内は充足率)
(応募者数・採用者数は、自衛官候補生・2士、2009年度はデータなし)
見て分かる通り、幹部・准尉・曹レベルについては年度を問わず、ほとんど90%以上の高い充足率になっています。これに対して、兵卒である士の充足率は60〜90%程度であり、充足率が高い2006年・2007年については、定員が減っているため、見かけ上充足率が高く見えているに過ぎず、士の現員については1980年の約8万人からほぼ一貫して減少傾向にあり、2013年には4万人を割り込んでいます。さらにその士の構成にしても、任期制隊員より非任期制隊員が比率として増え続けており、2011年には半数以上が非任期制隊員になっています。
士の応募者数については、1980年・1990年頃は、4万人を越えていましたが、2000年頃からは2〜3万人程度に低迷しています。2013年度に3.4万人に急増していますが、これが東日本大震災の影響かどうかはわかりません。
ちなみに、1990年には約4.4万人だった士応募者は、1991年には約3.8万人、1992年には約3.9万人、1993年には約3.4万人、1994年には約2.6万人と急速に低下しています。時期的には自衛隊の海外派遣が本格化した時期にあたりますが、因果関係があるかどうかはわかりません。
(注:年の記載は、参照した防衛白書の発行年であり、前年度を指していることがあります)
念のため、防衛白書の官僚的作文を以下に引用しておきます。
「2010年度防衛白書」
その中でも、一般の公務員と比べ大きく異なる点は、自衛隊の精強さを保つため、「若年定年制」と一部6に「任期制」という制度をとっている点である。「若年(じゃくねん)定年制」は、一般の公務員より若い年齢で定年退職する制度である。また、「任期制」は、2年または、3年という期間を区切って採用する制度である。
採用後、各自衛隊に入隊した自衛官は、各自衛隊の教育部隊や学校で基本的な教育を受け、その後全国の部隊などへ赴任する。その後、基本的な教育を終えるまでに、各人の希望や適性などに応じて、その進むべき職種が決定される。
なお、近年、防衛省は、幹部以外の自衛官について、「任期制」自衛官を大量採用し、大量退職させるよりも、定年まで安定して勤務できる「非任期制」自衛官(一般曹候補生など)の採用を拡大している。
これは、少子・高学歴化による募集対象人口の減少に対応し、良質な人材を安定して確保するためである。「非任期制」自衛官の制度自体は昭和50年度からあるが、近年の任務の多様化や装備品の高度化にともない、「士」の定数を削減し、より高度な知識・技能を備えた「曹」の定数を増加させたことから、その数の大幅な拡大が可能となったものである。
この結果、「士」の採用は、平成元年度の約2万3,000人から平成20年度の約1万2,000人へと半減する一方、「士」に占める「非任期制」自衛官の割合は平成元年度の6%から平成21年度には49%へと変化している。
平成21年度においては、こうした経緯に加え、1)一昨年来の経済不況による雇用情勢の悪化から「任期制」自衛官の任期満了退職者および「非任期制」自衛官の中途退職者が大きく減少していること、2)総人件費改革による民間委託にともなう実員削減(21年度約1,500人)について、主に「士」の採用抑制により対応したことなどにより、「士」の採用数は6,701人と過去最低の水準となった。
「2011年度防衛白書」
その中でも、一般の公務員と比べて大きく異なる点は、自衛隊の精強さを保つため、「若年(じゃくねん)定年制」と、2年または3年という期間を区切って採用する「任期制」という制度をとっている点である。採用後、各自衛隊に入隊した自衛官は、各自衛隊の教育部隊や学校で基本的な教育を受け、その間において一人ひとりの希望や適性などに応じた職種が決定され、その後全国の部隊などへ赴任する。
防衛省では、「平成8年度以降に係る防衛計画の大綱」(07大綱)に基づき、自衛官定数を縮減する中で、熟練性・専門性を重視して「曹」「幹部」の定数を増加させ、「士」の定数を削減してきた。さらに、任期制自衛官の採用・再就職環境が厳しくなったことも考慮し、「非任期制自衛官」(一般曹候補生など)の採用拡大や、士から曹への昇任数確保などが図られ、実員面でも、幹部・曹の充足水準は高い一方で、士は低い充足水準にとどまっている。
この結果、士、特に任期制士が減少し、士は若年者が多いため、その減少により結果として自衛隊全体として年齢構成が高齢化したことから、10(同22)年12月に策定した「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱」(新防衛大綱)および「中期防衛力整備計画(平成23年度〜平成27年度)」(新中期防)においては、自衛隊の人的構成について、幹部および准曹の構成比率を引き下げ、体力要素の重要性が高い第一線部隊を中心として、若年の士を増強することとしている。
なお、「士」の採用は、平成元年度の約2万3,000人から平成22年度の約9,600人へと減少する一方、「士」に占める「非任期制」自衛官の割合は平成元年度の6%から平成22年度には55%へと変化している。