【シリコンバレー=中西豊紀】米フェイスブックは14日、英コンサルティング会社が情報を不正に流用していた事件の調査の一環として外部の約200のアプリについて利用を一時停止したと発表した。実際に不正流用があったかどうかは今後さらに調べる。仮に英コンサル以外でも不正の存在が発覚すれば、同社の情報管理への批判が改めて高まるのは必至だ。
フェイスブックが扱う個人情報は外部のアプリ事業者にも開放されており、規約に従えば個人の連絡先や嗜好といったデータを取得することができる。英コンサルのケンブリッジ・アナリティカはこの仕組みを悪用し、研究目的で得たデータを規約に反して米大統領選挙などでの情報操作に流用したとされている。
フェイスブックはケンブリッジ・アナリティカの問題が起きた3月、同様の不正がなかったかについて他の事業者への調査を進めるとしていた。対象は同社が規約を変えて「友達」など幅広い情報の取得をできないようにした2014年以前のアプリで、これまでに数千のアプリ事業者を調べたという。
今回、「疑わしい」として洗い出された約200のアプリが実際に規約違反を犯していたかはまだ分かっていない。どういったアプリなのか、何人のユーザーがかかわっているかも明らかにしていない。
同社はさらに聞き取りなどの調査を進め、実際に不正な情報利用が見つかればフェイスブック内での運用を禁じる措置をとる。これについて同社は「まだ時間がかかる」としている。
ケンブリッジ・アナリティカを巡っては最大で8700万人分の情報が不正に流用されたことが分かっている。仮に同様の問題が別の事業者のアプリでも発覚すればフェイスブックには大きな痛手となる。広告やゲームを扱うアプリ事業者はフェイスブック経由でサービスを提供する場合が多く、こうした業界にも影響が出る。