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国内IT大手4社の2019年3月期業績は明暗が分かれそうだ。好調組は日立製作所とNTTデータ、不調組は富士通とNECである。
日立の2019年3月期の営業利益は前期比4.9%増の7500億円を見込む。2018年度(2019年3月期)から国際会計基準を適用するNTTデータは増減率を公表していないものの、2019年3月期の営業利益率は6.7%と2018年3月期の5.8%を上回る見通しだ。
企業名 | 売上高(前期比) | 営業利益(前期比) | 営業利益率 |
---|---|---|---|
日立製作所*1 | 9兆4000億円(0.3%) | 7500億円(4.9%) | 7.9% |
富士通 | 3兆9000億円(▲4.8%) | 1400億円(▲23.3%) | 3.5% |
NEC | 2兆8300億円(▲0.5%) | 500億円(▲21.7%) | 1.7% |
NTTデータ*2 | 2兆1000億円(-%) | 1420 億円(-%) | 6.7% |
富士通は2019年3月期について、減収減益と予想している。携帯端末事業やコンシューマPC事業が連結対象から外れるため、売上高は前期から約2000億円減る。営業利益は前期比23.3%減の1400億円、営業利益率は前期の4.4%から3.5%に下がると予想している。富士通の田中達也社長は2015年、在任中に営業利益率10%を達成することを目標に掲げたものの、現状はその数値との乖離が大きいといえる。
富士通の2018年3月期の売上高は前期比0.8%減の4兆983億円、営業利益が同55.4%増の1824億円の減収増益だった。増益の主な要因は事業リストラだ。ISP(インターネットサービスプロバイダー)事業をはじめとするニフティのコンシューマ部門や携帯端末事業の譲渡益が約700億円だった。
主力のSI(システムインテグレーション)事業はどうか。2018年3月期のSI事業の売上高は、前期比1.2%減の1兆120億円。2019年3月期については、前期比2.8%の増収を見込んでいるというが、確実に達成できるか不透明さも残る。富士通の塚野英博副社長は、「金融やマイナンバー関連など大規模プロジェクトがピークアウトしつつある」と慎重姿勢を見せている。さらにネットワーク関連事業についても、「5Gが立ち上がる2019年後半まで厳しい状況が続く」(富士通の塚野副社長)という。