人口37万の地方都市に「地下鉄」があるワケ 東急の電車が長野を走る(写真34枚)
日本の地下鉄の多くは人口100万人以上の大都市にありますが、人口が約37万人の長野市にも「地下鉄」があります。なぜ人口が比較的少ない地方都市に「地下鉄」があるのでしょうか。
ぱっと見、東京の地下鉄?
長野県の県庁所在地・長野市には「地下鉄」があります。「長野に地下鉄があるなんて話は聞いたことがない」と思う人がいるかもしれません。日本地下鉄協会のウェブサイトで公開されている地下鉄の一覧を見ても、長野に地下鉄があるとは書かれていません。
しかし、JR長野駅で北陸新幹線の列車を下りて北側(善光寺口)に出ると、地下に伸びるエスカレーターがあります。ここから地下に潜って少し歩くと改札口があり、さらに階段を下るとホームと線路が見えてきました。その姿は明らかに地下鉄の駅です。
この「地下鉄」を運営しているのは長野電鉄。長野市の中心部から観光地の湯田中温泉(山ノ内町)までを結んでいる私鉄です。長野駅から約2km先までの区間は地下トンネルを走り、その途中には市役所前、権堂、善光寺下の3駅があります。
地下ホームでしばらくたたずんでいると、銀色の電車がやってきました。東急電鉄から譲り受けた中古車両の8500系電車で、いまも東急田園都市線や東京メトロ半蔵門線などを走っている車両。一瞬、東京の地下駅に迷い込んだのではないかと錯覚しそうになりました。東京から観光で長野電鉄の地下駅を訪ねた人のなかには、通勤などで普段使っている電車が目の前に現れて驚いた人もいるのではないでしょうか。
ただ、地下鉄といえば「大都市の公共交通」というイメージがあります。一度に大量の人を運べる鉄道は大都市の公共交通として必要な存在ですが、建物が密集している大都市では線路用地の確保が難しく、地下を通るルートで整備しなければならないケースが必然的に多くなります。実際、地下鉄がある自治体の多くは人口が100万人を超えています。
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