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山火事の奇妙な死体(放水爆撃機)~元ネタ解決編

 先日のエントリー「不思議な話の真実~山火事の奇妙な死体」で、元ネタ不明と書いた「山火事の奇妙な死体」だけど、元ネタを発見してしまった。
onsen222.hatenablog.com

というのも単純なことで、「ちょっと不思議話」は「2」も発行されており、そちらに掲載されていたのだ。

引用すると、以下の通り。

放水爆撃機

 フランスの有名な地中海沿岸の保養地コートダジュール付近では、毎年7月から8月にかけて山火事が頻出する。
 近年、当局は"放水爆撃機(ウォーター・ボンバー)"という新手の消化手段を編み出して効果を上げている。
 特別あつらえの飛行艇が大量の海水をすくい上げてきては、燃えさかる山腹に上空からぶちまけるというのものだ。鎮火すると、今度は陸上の救助隊が出勤して、犠牲者の有無を確認してまわる。
 そうした犠牲者が出ることはめったにないが、英国「オブザーバー」紙1991年3月3日付の医師ジョン・コリー博士の報告によれば、あるとき焼け跡からイギリス人の死体が見つかったことがあるという。検死の結果、遺骸は焼け焦げる前に高空から落下して即死していたことが判明。しかも、その死体は水泳パンツ姿で、シュノーケルとフリッパーを着用したいたのである。
 とすると……??

 

なるほど。ほぼ記憶通りだけど、「水爆撃機」ではなく、「放水爆撃機(ウォーターボンバー)」だった。

f:id:onsen222:20180427174335j:plain


「放水爆撃機」でフレーズ検索してみたところ、同様の引用をしているものを発見。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

ほぼ同じ話だが、文章が少し違う。ムー誌に掲載されたときは、こんな文章だったのだろうか? それともちょっとした改変? これはこれで謎だ。

ちなみに「オブザーバー紙」は、実際にイギリスに存在する新聞で、毎週日曜日発行。1991年3月3日も日曜日なので、実際に掲載されたのであろう。

海外では有名な都市伝説だった!

となると、今度は海外の記事で同じネタを探したいところ。

「"snorkel" "water bomber"」などで検索したら発見!

英語版Wikipediaの「Aerial firefighting(空中消火)」の項目に、以下のような記述が……

Urban legends about aerial firefighting

An urban legend arises sometimes about a water bomber, or a helicopter with a dangling water bucket, scooping up a scuba diver and dumping him on a wildfire site. Urban legend debunking site Snopes.com reports there are no proven cases of this happening in reality.

 以下、適当訳。

空中消火に関する都市伝説

空中消火や放水爆撃機、またヘリコプターが水をバケットに汲み上げるとき、ときどきスキューバダイバーを一緒に汲み上げて、山火事現場で彼を捨ててしまうことがあるというもの。

しかし、都市伝説を暴くサイト、「Snopes.com」によると、そのような例は報告されていない。

海外で有名な都市伝説の1つのようだ。引用されている「Snopes.com」には、もっと詳細な記述がある。

FACT CHECK: Dead Scuba Diver in Tree

簡易訳だとこんな感じ。

カリフォルニアの消防署は、森林火災の被害を調査中、死体を発見。死亡した男性はウェットスーツ、ダイビングタンク、フリッパー、シュノーケルを装着していた。死因は火傷ではなく、大量の内臓障害。被害者は、火災現場から20km離れた海岸でダイビング中だった。

消防士は巨大なバケツを持つヘリコプターを呼び、海水を補填、その後森林火災現場で放水した。あなたの想像通り、彼は1分後、300mの間、空気中を平泳ぎしたあと、正確に1.78m部分を消火した。

 いかにも、都市伝説っぽいというか、アメリカンジョークっぽい文章である。
「Snopes.com」による判定によると、この話は「事実ではない」。
放水爆撃機の開口部は非常に小さくて、人間が入ることはできないということ。考えてみれば当たり前で、そのような事故の対策はされている。

有名映画やドラマでも引用されている

ちなみに、この都市伝説は、1999年の映画「マグノリア」の序盤で紹介されているほか、1998年の小説「Barney’s Version」、1989年の「A Year」という小説にも紹介されている。また、ドラマ「CSI:科学捜査班」の「Scuba Doobie-Doo(日本語のタイトルは「破壊捜査 壁の向こう側」)」というエピソードは、この話を元にしているということ。

けっこう有名な映画やドラマでも紹介されているようだ。
前回記事のkenzy_nさんのコメントは、「CSI:科学捜査班」かもしれない。

b.hatena.ne.jp


というわけで、長年の謎が解けて個人的に満足。
……が、「もっと不思議な話2」には、ほかにも怪しげで興味深い話があったので、そのうち紹介したい。