ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

BitSummit Vol.6でアツいゲーム人間9人に物凄くタメになる話を聞かせて貰ったから聞いてくれ

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5月12日から13日まで、京都みやこめっせで国内外のインディーズゲームが集うBitSummitが開催された。

筆者はほぼ毎年参加しているが、今年はメディアとして登録できたので、今回は本格的にレポートを紹介しようと思う。

 

また、インタビューという形ですが、長く関係者の方を引き止めることも気が引けたので、個人的に気になる点だけ絞って話を伺っている点はご了承ください。また前後の挨拶は省略しています。

 

 

ディベロッパーへのインタビュー及び作品紹介

Ghostpia/超水道

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ghostpiaはiOSで現在配信中の、『デンシ・グラフィックノベル』を標榜する読み物アプリです。アドベンチャーゲームの文脈を汲み、絵と文章、そして音楽で読み手を濃厚な物語の世界に誘います。
今回はプラットフォームをNintendo Switchに移し、コンシューマー機ならではの表現力で、よりグレードアップしたghostpiaの世界をお楽しみ頂けます。

会場に入ったしばらく物色していた時、初めて「これは!」と思った作品。遠目から見ていても、真冬なのに温かみの感じるビジュアルと、独特な演出は目を引くものがあった。

実際に遊んでみると、この没入感は想像以上だった。絵本のようなビジュアルと、独特の文体が特徴的だ。仮にADVでこの文体だと読みにくいと思うが、この作品はゲームではない。Switchで体験するまた新たな作品となりそうだ。

 

 

初めまして。このゲームはどのような内容ですか?

「まずこの作品はゲームではないです。言葉では表せないんですが、例えば映画や小説のように、見ていて楽しめる内容にしましたね」

 

ソファでゆっくりと遊べる内容でしたね。iOS版で無料配信中ということですが、どのように利益を得ていますか?

「普通アプリで利益を得る場合は広告を貼るのですが、この作品は触れている方の没入感を大切にしたいので、広告すら入れていません(笑)

正直あまり利益を計算に入れてませんが、イラスト集のようなグッズの売上が大きいですね。」

 

素晴らしい考えだと思います。Switch版を出すに当たって何か拘りはありますか?

「Switchならではの操作方法を入れることで、没入感が増したと思います。物語を進めるために、昔のラジオで周波数を合わせるような操作を入れています。」

 

とても斬新な演出でした。若干レトロな演出と世界観がよくあっていますね。一方で脚本は少し独特な印象を受けましたが、影響を受けた作家の方などいますか?

「話自体は中々にダークですよ。ほら(イラスト集を差し出して)、ここで女の子が殴られたり、薬を持っている場面がありますよね。直接影響を受けたわけでないですが、作家は乙一さんが好きです。」

 

 

Boyfriend Dungeon/Kitfox Games

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強い武器で、より強い敵との戦いを。定番のハクスラだが、武器を強化する上で必要なものは、武器との「愛」。

武器との愛を深めて、ダンジョンを掘り下げる、ハック&スラッシュならぬ、シャック(同棲)&スラッシュ。

元々楽しみにしていたタイトルだが、実はGDCでの「インディーズゲーム制作における失敗」という講演をしたターニャ氏の続編であり、また印象的なコンセプトからも注目していた。

実際に遊んでみると、ただ奇抜なだけのゲームでもなく、また前回の「失敗」を全く感じさせない作品になっていた。

例えば面白い点として、付き合うパートナーによって使えるアクションが全く異なるので、パートナーを戦闘の相性で選ぶか、性格の相性で選ぶかが問われてくる駆け引きがある。純粋にアクション自体も奥深い内容で、見た目以上に硬派なゲームに仕上がっていた。

 

 

初めまして。とても楽しい作品でした。あえてBoyfriendと名付けられていますが、Demoの時点で女性の武器を使うことが出来ました。

「あぁ、ダガーですね。彼女は使うのは難しいですが、とても楽しいですよ。このゲームは多様なセクシャリティを尊重しながら作っているので…

 

あぁ、最初にプレイヤーの性別が、男性か女性か、果てはノンバイナリーというのは驚きました。

「ですよね(笑)。とにかく多様なプレイヤーの在り方を尊重しています。」

 

面白いなと思ったのは、武器毎に使い勝手が全く違う点です。個人的にダガーが気に入りましたが、使い勝手ではタルワール(ラテン系のイケオジ)が勝りますね。ダガーを強くしてくれませんか?(笑)

「それは……考えておきます(笑)。私達は特に武器の差別化を図っています。だから攻略を取るか、自分の好きなキャラクターを取るか、迷って頂けると思います。」

 

失礼ですが、以前GDCで講演を伺いました。今回はどのような規模で、どのように作られていますか?

「今は4人で作っています。前回の失敗はとにかく焦ったことなので、慎重に作っています。発売も来年以降になると思うので、楽しみに待っていてください。」

 

失敗は成功の母というわけですね!

「正にその通りです。我々もかなりの経験が蓄積しているので、今回の出来栄えには手応えがあります。」

 

 

VANE/FRIEND&JOE

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隠された謎を解き明かせ。鴉に変身できる少年が、謎に満ちた世界を冒険するアドベンチャーゲーム。

昨今でもインディーズで注目される「ウォーキング系」の中でも、鴉になるという点で個性的な本作。

鴉の操作は独特だが、上手く動けた時の喜びは大きい。開発陣も意欲的で、意味深な世界観にも一定の説得力と物語をもたせたいのだとか。

 

 

初めまして。とても興味深い内容でした。やはり鴉の動きには拘られてるんですか?

「はい、かなり長い時間掛けて開発していますし、今後も調整しています。」

 

本作にはUIがほぼありませんね、どのようにプレイヤーを目的地まで誘導させているんですか?

「基本的に光と陰で誘導しています。だって、鴉は光に釣られるでしょ?(笑) あと、このゲームは横道にそれるのも楽しいので、余裕が出来たら陰の部分にも力を入れています。」

 

正に鴉になりきれるゲームですね。私もまんまと釣られていました。他に拘った箇所はありますか?

「音には特に拘っています。ゲームの誘導にも大きな影響を与えるものですから。」

 

特に影響を受けた作品や、今遊んでいるゲームはありますか?

「特別はないですが、Outer Worldという作品の影響はあります。個人的にはPUBGに今ハマっていますね」

 

え?PUBGですか?

「意外でしょ(笑) 普段こういう雰囲気重視のゲームを作っているので、真逆のサクッと遊べる対戦型ゲームが無性にやりたくなるんですよ」

 

 

THE MESSENGER/SABOTAGE(+Devolver Digitalについてインタビュー)

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ある忍者の里がどこからか現れた悪魔たちによって襲撃される。辛うじて生き延びた若い忍者は「西国の英雄」に、巻物を長老に渡す「メッセンジャー」として活動する。

時代を超えて戦う忍者を操る、2Dプラットフォームゲーム。ゲームジャンルとしてアクションとパズルとアドベンチャーの混合といった具合。

まず個人的にDevolver Digitalパブリッシュの作品が気に入っていて、特にその中で面白そうだと思ったのがこのゲーム。最大のウリは8bitと16bitの世界をインタラクティブに変化させられる次元跳躍。

実際に遊んでみるとパズル要素がかなり強く、キャッスルヴァニアというよりメトロイドに近いイメージ。操作の難易度もかなり高いのだが、忍者のような爽快感あるアクションはかなり楽しかった。

 

 

初めまして、一見してNINJA GAIDENのように見えますが、どのような作品に影響を受けましたか?

「日本のゲームのファンで、主にNINJAGAIDEN、キャッスルヴァニア、メトロイドに影響を受けたね。その中でもこのゲームの特徴として、次元の移動がある。ステージ中のゲートをくぐると8bitから16bitに変化するのは気付いたかい?これはとても難しかったけどユニークなものになった自信があるよ」

 

はい、最初は気付かなかったですがプレイ中にとても驚きました。この作品を作る上で拘った点はありますか?

「忍者を主題にするに当たって、忍者らしい軽やかな動きを実現しようとしたよ。特に動かしていて、爽快感があるようにね。

それと特に重視しているのが「サプライズ」さ。とにかく続けてもらううちに、物語でもゲームでも意外さを出していく。新しいスキルやレベルを発見した時の喜びを強調させたかったんだ」

 

2Dプラットフォームですが、ビジュアル面もとても魅力的ですね。

「ビジュアルと音楽には特に力を入れたよ。特に音楽担当の人には本当にお世話になってる」

 

個人的にDevolver Digitalという企業のファンでもあります。彼らがインディーズのパブリッシャーとして、どのようにあなた方の開発をサポートしてくれましたか?

「彼らは本当に素晴らしい人たちだ。自分たちでも前衛的だなと思うゲームだけど、彼らはすぐ気に入ってOKを出してくれた。元々僕らもDevolver Digitalのファンだから期待はしていたけど(笑)。

無論、ゲームを売るためにも支援してくれて、ここのブースを作ってくれたり、マーケティングやプロモーションもね。あと他のインディーズの開発者とも交流が出来て、情報交換等を通じて切磋琢磨できてるよ」

(残念ながら、彼らの時間の都合上Devolver Digital関係者にインタビュー出来なかったのはご容赦願いたい。)

 

 

BLACK BIRD/Onion Games

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路上で息絶えた、一人の少女。少女は人間たちに災いをもたらす”BLACK BIRD”となり、空を翔ける…。独自の世界観で熱烈なファンを持つゲームクリエイター・木村祥朗率いるOnion Games最新作は初のシューティング。

開発の木村氏はLOVEdeLIC時代にリリースした名作RPG『MOON』のゲームデザイナーとして有名な方。今作はこの独特な世界観を活かしてシューティングに挑戦している。

遊んでみると、なるほどアワード受賞も納得という出来だ。練りに練った音楽とビジュアルのインタラクティブな変化もさながら、純粋にシューティングとしてもゆったりしたペースでユニークなプレイフィールをもたらしている。そう、自分は戦闘機でなく「鳥」なのだと……。

 

初めまして。前作『Million Onion Hotel』から一転して、どうしてシューティングという題材を選ばれたのですか?

「あんまり題材だけを考えたことはないよ。ただ自分が作りたいと思ったら作る。それが結果的にシューティングになっただけかな。確かに会社としてシューティングは出してないけど、僕個人の趣味としては何本か作ったことはあるしね。」

 

なるほど。確かに独創性は抜きん出ていました。木村様の作品というとこの世界観が魅力ですが、やはりリソースを割かれましたか。

「うん、ものすごく作り込んであるよ、特にアニメーションね。だけど、僕はものすごく作り込んだ雑魚敵たちを、何も知らず一方的に倒しちゃうのが、凄く好きなの。それってかなり贅沢じゃない?」

 

確かに。私も最初は背景やMOBの造形に見惚れていましたが、見ていると普通に死んじゃうんですよね。

「そう、別に倒していいし。だけど僕らの中だと、やり込みの一つとして、ボス以外一切倒さずに進めるって方法もある。」

 

開発者だからこその愛情ですね。この作品の世界観はかなりダークですが、これにも理由がありますか?

「これも僕が好きだってだけだね。まぁ明るい世界でもいいんだけど、別にそれは今でもあるわけで、だったら自分たちのやり方でって。僕は王国を作りたいんだよね。」

 

なるほど、確かに引き込まれるような魅力があります。まるでミュージカルのような。音楽にも力を入れていらっしゃいますよね?

「BGMもSEもかなり拘ってる。特に拘ったのが状況や環境に応じてシームレスに音楽を変えることかな。」

 

今、木村様が個人的に楽しまれているゲーム作品等ありますか?

「えっとね、僕は凄い雑食なの。今やってるのはこの「Threes」ってパズルのゲームだけど。全然(BLACK BIRDと)関係ないじゃんって思ったでしょ?でもこのゲームも凄くて、特に音楽の組み合わせだね。ゲーム中に変化する所は凄く自分たちの意識してる点でもあるわけで。」

 

 

UNREAL LIFE/hako 生活

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UNREAL LIFE(アンリアルライフ)は"記憶を読み取るアドベンチャー"。ピクセルアートの横スクロールアドベンチャーゲームです。

記憶喪失でサイコメトラーの少女"ハル"が、自分の記憶を探すため、無線信号機"195"と"先生"を追う旅にでます。

調べたモノの"記憶"を読み取り、"今"と"過去"を比較することで謎を解いてきます。2018年内リリース予定です。

個人的にインディーズのADVに関心があったことと、「記憶」に関係するという点で触れてみた作品。確かに中々引き込まれる内容だった。

まずインタビューでも触れたように、記憶とは人のものと限らない。何故自分はここにいて、ここには他の物が存在するのか。少しずつ紐解いていく過程が、ADVなのに焦らせらず解く事が出来る点が良く出来ていると感じた。

 

 

初めまして。何故アドベンチャーで記憶を紐解くというテーマを選びましたか?

「私はよく夜の街を散歩するのが好きで、その時に、どうしてこれがああなったんだろう、と考えるのが好きです。街が昼の時は人の往来があって、色々な変化が起きる。でも夜はそのままだから、ゆっくり考えられる。その楽しさをゲームに反映しました。」

 

なるほど、ご自身の体験に基づかれているんですね。実際に散歩している感覚を再現するために、どんな工夫をされましたか?

「特に音楽を重点的に開発しました。これは雰囲気だけでなく、プレイヤーを誘導する時にも使えるんです。ヒントに近づけば音を一つ足したり、屋内に入ったら音量を下げたり。」

 

所謂アダプティブサウンドですね。技術的に難しそうな気がしますが、実際はどうでしたか?

「簡単ではなかったですね。例えば音楽が変化する時に、フレーズが途中で切れると違和感を覚えるので、この辺りは上手く調整する必要がありました。途中からUnityで開発したんですが、それはこの辺の調整が楽になるのもあります。」

 

ADVではプレイヤーが行き詰まることも多いと思います。どのように誘導していますか?

「今回のようにプレイヤーさんに遊んでもらえる機会でそれをよく観察します。遊び方は人それぞれなので、当然想定していない遊び方をする人もいますよね、そうしたプレイヤーさんの”直感”を大切にしてます。それを損なわないよう、上手くフォローを入れる形で調節することで、違和感なく楽しんでもらえると思います。」

 

この作品を作る上で何か影響を受けた作品等はありますか?

「私は『Ib』のようなフリーのホラーゲームが好きです。あの当時特有のダークな世界観やキャラクターたちですね。かつ謎解きといったゲームらしさも重視しています。個人的には最近『OWL BOY』を遊んでいますね。音楽面では『The cabs』が好きです。」

 

 

個人的に注目しているタイトル

以下、時間の都合上インタビューが出来なかったものの、個人的にこれは面白いなと感じた作品について。

 

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Ballistic Craft/Palladium Soft

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「Ballistic Craft」 はプレイヤー同士1対1で戦闘を行う対戦型アクションゲームです。プレイヤーはゲームを進めながら多彩なショットを取得、あるいはショットを自由に作成/編集することが可能です。
そうして集めたショットを装備し、対戦を楽しむことが出来ます。通信プレイにも対応しています。2018年の完成を目標に現在開発中です。

『カスタムロボ』じゃねえか…!ってだけで、もうほぼ購入予定というゲーム。ほんと名作だよねあのゲーム。だけど実際遊んでみた感じ、かなり異色の作品だと気付いた。

何が凄いって、ショット(武器)を自分で調整/変更できる所。これで対戦をメインにするとなると、かなり調整が難しそうだ。だけどとても意欲的な発想だと思うので、感性が待ち遠しい。

 

おわかれのほし/ところにょり

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すべてが終わってしまったほし。
自分を人間だと思いこんでいる機械たちの村。
村でひとりだけ生き残った産まれたばかりの”ひと”が、死んだ村人の身体を借りて「そのひとが明日したかったこと」を代わりに行うことで、ひとりひとりを弔い、きちんとおわかれしていきます。

やはり、ところにょりワールド全開といった感じの作品。相変わらずグラフィックの作り方が凄くて、メインキャラクターが小さなドット絵の塊のドット絵で、しかもそれが動くのだから、それだけで飽きない。

同時に期待できるのが、ところにょり節とでも言うべきか、SFをベースに微かに切ないテキストだ。体験版だけでは想像するしか出来ないが、引き込ませる文章の力は圧倒的だ。

 

天穂のサクナヒメ/えーでるわいす

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鬼に支配された島で、稲作しながらアクションRPGという、日本ならではの文化を最大限発揮したえーでるわいすの新作。

アクションは2Dプラットフォームで4種類のアクションが可能。稲作パートは実際の稲作を徹底研究して再現されたもの。

えーでるわいすさんは、『アスタブリード』という作品を遊んだ事がある。技術的な部分は目を見張るものがあったが、ゲーム内容としてはごく普通、そういう印象だった。

今作『サクナヒメ』は正直AAA級に迫るビジュアルでありながら、アクションゲームとしての爽快感もバッチリ感じられ、加えて稲作部分もちゃんと作られていて、まるで隙のない期待作に仕上がっていた。

講演をしていたので拝聴した所、何故稲作かという問いに対し「日本人にとって本来身近なものだから」と言う。ガワだけ日本でなく、ちゃんとゲームプレイに取り入れる姿勢は素晴らしいと思う。

 

インディーズゲームをサポートする方へのインタビュー

 

 

MARVELOUS!

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初めまして。今回のマーベラス様の展示規模は凄まじいですね。ここまでインディーズゲームに注力する理由を教えてください。

「はい、まず我々自身が元々そこまで大きな規模で開発するより、楽しめる方にこそ楽しんでもらえるコンテンツを発信し続けてきた前提があります。

 

例えば、『閃乱カグラ』や『Fate/EXTELLA』ですね。

「なので、自分たちの方向性や在り方としてインディーズゲーム文化と親和性が高いんですよね。彼らと共有できる課題も多いと思います。

 

ディベロッパーの方にとっては心強い限りですね。『サクナヒメ』が好評のようですが、主にパブリッシングを手がけられているのですか?

「これは様々です。『サクナヒメ』の場合は開発をえーでるわいすさんにお任せして、そのサポートを我々がする形ですね。その隣に展示した『X-Morph: Defense』は元々ポーランドの会社で完成した作品を、こちらでローカライズ及びパブリッシングしています。」

 

個人的に、正直ゲームのパブリッシングという仕事が注目される事は少ないと思います。パブリッシングの上で期待されるものとは何だと思いますか? 

「私は利き目だと思います。隠れている名作を発見し、それをいかにプレイヤーの方に届けるかですね。もちろん、広報や開発支援も大切ですが、まず何より大切なのは、その原石となる作品を見つける力だと思います。」

 

これは答えにくいかもしれないですが、実際のところ今どこが「アツい」と思いますか?

「『X-Morph: Defense』を出したポーランドという国はかなり面白いですね。ここは優秀なクリエイターが多い一方で人件費が安く、かつ技術的にも高度なんですよ。独創的な作品も多いです。」

 

 

任天堂(Indie World)

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初めまして。昨日Indie Worldの広報を確認したのですが、任天堂様の積極的な姿勢に、1人のゲームファンとして嬉しく思いました。何故このような企画を始められましたか?

「ありがとうございます。やはり日本ではインディーズゲームの文化があまり馴染みがなく、知らないだけで面白いゲームがたくさんあることを伝えたく思い、Indie Worldを始めました。」

 

Indie Worldはパブリッシングでなくプロモーションですよね。少し話が逸れて申し訳ないのですが、「日本で売る」ことを強調する上で、そもそも日本のゲーム市場はどういったものだと想定されていますか?

「自分たちの中では、やはりファミリー層やお子様に向けたプロモーションですね。例えば、既にPCや据置機でインディーズゲームをプレイされている方は、かなりゲーム自体に理解のある方が多いと思います。

なので自分たちはそうでない方に向けていかに届けるかを意識していますね。現にブースに来てくださった方の中には、ご家族で来られた方も多いので、これには一定の手応えを感じています。」

 

確かに。今までのBitSummitでここまで家族連れの方を見ることは少なかったです。ブースにあった『Yooka-Laylee』等私もプレイしたことあるのですが、確かに家族でも楽しめる、見事なセレクションだと思います。

逆に、任天堂様はどのような水準でタイトルを選んでいますか?

「やはり自分たちの強みであるNintendo Switchを活かせる、或いは活かせそうなタイトルですね。

Switchの強みとして、まずJoy-Conによる独特な操作があるのでこれに対応できそうなタイトル、またSwitchはスムーズに大画面で遊んだり、携帯画面で遊んだり出来るので、それに合ったタイトルですね。あと「おすそ分け」の機能で複数人で遊べる点を活かせるタイトルも、Switchと相性が良いと思います。」

 

正直、既に他のパブリッシャーが存在する中で、いかに任天堂様といっても参入することは難しかったと思います。こうした市場で生き抜くために、任天堂様にはどのような強みがあると思いますか?

「それは正直難しいですね(笑)。始めたばかりで色々模索中です。ただ、任天堂がインディーズゲームと縁がなかったわけでなく、むしろ長い期間で関係を築いてきた自覚ああります。

 

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そうですよね。Nintendo e-Shopの『THE SWAPPER』という作品は私はSteamでプレイしたのですが、個人的にとても好きなんですけど、日本じゃ注目されないなと思っていました。ですが任天堂様が取り扱った事で、一気に日本でもファンが増えました。

「インディーズゲームが本当に好きなんですね。ご理解頂けて嬉しいです。自分たちもSwitchより以前からずっと国内外のインディーズ関連の会社と付き合いがあり、その繋がりやノウハウというものは、他社にはない強さだと思います。」

ここでも老舗というわけですね!

 

 

JOSHUA NYS氏(翻訳ボランティア)

初めまして。今回は何故BitSummitにボランティアとして参加されたのですか?

「え?僕にもインタビューするの?(笑) えーっと、友達に誘われたのがキッカケだね。僕は元々ゲームが好きで、だから気にいるよって教えてもらったんだ。実際ここは本当に楽しいし、いい人ばっかりだ。」

 

ご友人というのは、ゲームの会社か何かに勤められているのですか?

「いや、元々ゲームが好きでアメリカじゃゲームショップの店長をやってたんだ。けど、将来的に日本のゲーム企業に就職してローカライズ等で貢献したいと思って、とりあえず今はALTとして日本の子供たちに英語を教えているよ。」

 

なるほど、Joshuaさんはある程度運営側にも立ち会いますよね?正直どんな印象を受けましたか?

「僕の主観だけど、運営側の人たちはちょうど日本人とそれ以外で半々ぐらいだと思う。多分ね。ただ確かにここ数年で日本の人たちが増えてるみたいだ。どちらにせよ、本当によくやってくれてると思うし、コミュニケーションも一切問題がなかった。それに外国から参加したいって人も増えてて、国際的にもこのイベントは注目されてるよ。」

 

話は変わりますが、どのようなゲームを遊んでいますか?

「色々好きだけど、日本のアクションゲーム、特に『モンスターハンター』はPS2の無印から遊ぶぐらいには好きだよ。協力プレーが本当に楽しいのが一番素晴らしいけど、個人的にプレイヤーのスキルがちゃんと反映される奥深いアクションがとても好きだね。他にはない魅力だ。」

 

モンスターハンターは海外で今ひとつという印象を抱いていましたが

「いやー『Monster Hunter World』で化けたね。実は元々アメリカだとモンハンは人気のあるタイトルだったよ。因みに僕はハンマーが好き。君は?」

 

私は何でも使いますね。私もモンハンの大ファンなので、全部使わないと勿体無いと思って(笑)

「そりゃいい。僕も最近は双剣にハマってるよ。ハンマーも楽しいけど、モンスターに応じて武器を変えるのも大切だからね!」

(以下、ひたすらモンハンの話)

 

まとめ

まず自分のような怪しい者に対しても、たくさんの参考になるお話をして頂けた関係者の方、そしてBitSummitの方に、心から感謝したい。

今回、自分は個人ブロガーという立場で参加出来たので、本心から自分が聞きたいことを、自分が聞きたい人に、ズバズバ踏み込んで尋ねることが出来た。

だが驚く事に、そんな答えに困るような悪い質問であっても、殆どの方にノータイムで答えて頂き、彼らがいかに自分たちの仕事について真剣に考えているか、改めて理解出来ただけでも大きな収穫だったと個人的に思っている。次回のBitSummitが今から楽しみで仕方ない。

気付けば1万字を超える記事になったが、きっと読者の方にも役立つ情報はあるはずだ。

因みに、個人的に一番注目しているのは『Boyfriend Dungeon』だ。