西 健一氏と山田秀人氏が故・飯野賢治氏に学んだこと。そして,そこから生まれたスマホアプリ「おやすみルーニー」について
ここでいう“遺伝子”とは何を指しているのか。それは,2人の共通の友人である故・飯野賢治氏からの影響のことである。西氏は飯野氏とiOS向けゲーム「newtonica」を制作して以来,ずっと友人として付き合いを続けており,山田氏もインターネットが世に出始めた頃から,いかにしてゲームをインターネットに持ち込むのかについて,飯野氏と話し合ってきたそうだ。
実際,飯野氏はインターネットを使ったゲームについて,さまざまなアイデアを持っており,3人でよくその話をしていたという。西氏は,テクノロジーの黎明期で,いろいろな制限がある中で考えるのが楽しかったと当時を振り返った。その中で,飯野氏がとくにこだわりを持っていたのが「リミテーション」と「コミュニケーション」という2つのキーワードであると山田氏は述べる。
リミテーション(制限)という面では,西氏は飯野氏と共に,iPhoneが日本でデビューした2008年に,スワイプ操作“のみ”でプレイする「newtonica」をリリースしている。山田氏によると,飯野氏には新しいメディアが登場するとすぐそれに乗る,サーファーのようなところがあったそうだ。さもありなん。
そして,山田氏と飯野氏がコミュニケーションをテーマにしたゲームとして世に送り出したのが,2009年にWii(Wiiウェア)で発売された「きみとぼくと立体。」である。
一緒にテレビ画面を見ながら2人プレイで遊ぶのも,遠く離れた人とインターネットで対戦するのも,子供が遊んだセーブデータを使って夜に親が続きをプレイするのも,すべて違った形でのコミュニケーションだ。そうした新しい形のコミュニケーションが現れたとき,そこに面白い切り口を見つけようと考えるようになったのは,飯野氏から学んだことの影響が大きいと西氏は語った。
飯野氏自身,親子のコミュニケーションにこだわったゲームの構想を持っていたそうで,山田氏と共に2年かけて企画を練っていたという。結局,その企画はお蔵入りになってしまったが,そこで学んだことを生かし,西氏と山田氏がピグミースタジオと共に開発したのが,アソビズムから6月7日に配信予定のiOS向けアプリ「おやすみルーニー」だ。本作は子供の寝かし付けをサポートするためのアプリで,絵本の森の中を探索する楽しさを追求した作品である。
ユニークな特徴として,本作には子供の寝かし付けで母親をサポートするだけでなく,家族と離れて暮らしていたり,帰宅が遅くて子供になかなか会えなかったりする父親を家族とつなげていく仕組みも用意されている。
夜に子供がアプリで遊ぼうとすると,主人公のルーニーは寝てしまっており,子供に早寝をうながす。そして子供がおやすみのメッセージを入れると,それがプッシュ通知で父親の携帯のもとに届くのだ。夜に外でお酒を飲んでいるときに子供からおやすみのメッセージが届くと,自分も早く帰らなきゃいけないという気持ちになると西氏は話しており,離れていても子供のことを思ういいきっかけになる,素敵な仕組みであると感じられた。
さらに,このアプリには子供がちゃんとベッドに横になっているかをスマホが検出する機能もあり,子供がルーニーと一緒に寝ようとすると森の音が聞こえてきて,子供を眠りに誘うそうだ。ピグミースタジオのブースでは,親子で本作を体験している姿も多く見られた。新しい形で家族のつながりをサポートするツールとして,子供を持つ人は注目しておくといいだろう。
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