深い青色の花 <撮影:2014年5月>
とにかく毛深い <撮影:2012年5月>
雄しべ <撮影:2016年4月>
雌しべ <撮影:2016年4月>
山裾の畑道をたどった奥に、ほとんどヤブ漕ぎ状態の道が伸びている。植物観察の師匠であるK氏は、覆いかぶさる笹や低木の枝など一切意に介さず、ずんずん進んでいく。やっとの思いでついて行ったその先に、深い青をたたえた花が静かに咲いていた。それがホタルカズラとの最初の出会いだった。
群馬県のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されているだけに、県内ではそうそう自生のものに出会うことはできない。K氏と知り合えたことの幸運をかみしめる瞬間である。
それにしても、ムラサキ科の花はどれも実によく似ている。ホタルカズラも、花冠の裂片の中肋に白い隆起があるのが特徴だが、それ以外は同科の他の花とほとんど違いがない。これらの花はどれも中央が円くすぼまっていて、その中に雄しべ・雌しべがあると想像されるのだが、なかなか見ることができない。
今回、植栽の花をいただくことができたので、私の所属する植物クラブのメンバーとともに花を解剖してみた。
上から3番目の写真が雄しべである。茶色い葯と綿のような花粉を見て取ることができるが、花糸は花冠の壁にほとんど合着していてよくわからない。
最下の写真は雌しべである。4室に分かれた子房から、太い花柱が伸びている。周りの毛むくじゃらのものは萼である。
こんなふうに花の構造が分かってみると、さらに植物観察が楽しくなる。
<参考文献>
『山渓ハンディ図鑑2 山に咲く花』(写真/平野隆久 編・解説/畔上能力 山と渓谷社)
<記事 2016年5月1日>