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【ゴルフ】

谷口徹が国内メジャー最年長V 50歳92日が男泣き

2018年5月14日 紙面から

大会史上最年長優勝を果たし、インタビューで涙を流す谷口徹=房総CC房総で

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◇日本プロ選手権<最終日>

 ▽13日、千葉県睦沢町、房総CC房総G(7324ヤード、パー72)▽曇り、23・6度、南西3・3メートル▽賞金総額1億5000万円、優勝3000万円▽60選手▽観衆1万573人

 50歳92日、男泣きV-。2010、12年大会覇者の谷口徹(50)が通算6アンダーで並んだ藤本佳則(28)=国際スポーツ振興協会=とのプレーオフを制し、尾崎将司の49歳109日を抜いて国内三大大会最年長優勝を飾った。12年ブリヂストンオープン以来、6年ぶりのツアー通算20勝目。風雨の下、得意のパットがさえ、最終盤に執念の逆転劇を演じた。

 谷口は前のめりになりながら右拳を突き上げ、声にならぬ叫びを上げた。プレーオフ2ホール目、5メートルのバーディーの好機。背水のパットに執念を込め、心の内で祈った。「入ってくれ。入れっ」。球がカップに消えると、ギャラリーは大喝采。雨にぬれた大ベテランは言葉を失い、歓喜の涙に暮れた。

 「やめた方が楽かなと思った時もあって…。でも、やめるのは簡単。やり続けるしかない。やっぱり勝ちたい。勝ちたくて必死だった」

 15番から風雨が吹きすさび、まるでショットが飛ばない。50歳にとっては致命的なハンディだったが、「パットは良い。パットが狙える所にあれば何とかなる」。今季、1打目の平均飛距離は261・47ヤード(127位)と落ち込んだ裏側で、平均パットは1・7417(13位)。グリーン上の勝負に懸けていた。

 首位の藤本と2打差で迎えた正規ラウンドの17番、6メートルの距離を「絶対に決める」と腹をくくってパーセーブ。1打差に迫った18番では「ラインは分からない。自分の感覚を信じて」5メートルのバーディーを決め、追いついた。同組の武藤は「執念。執念ですよ」とうなった。運、不運も制して力ずくで流れを引き寄せ、最年長で頂点に駆け上がった。

 前戦の中日クラウンズで、27歳の秋吉翔太を本気で叱った。「10位に入るまで丸刈り」と発言したことを伝え聞き、「何で、その位置(3日目終えて首位)にいるのにトップ10狙いなんだよ。『優勝するまで丸刈り』って言い直して来いよ」

 プロである以上、優勝しか狙っていない。年齢を重ねても、調子が悪くても、「スポーツの世界に謙虚なんていらないでしょ」と言い切る。50歳になっても「数字が増えただけ。至って元気」と、その血管は力強く脈打っている。

 ツアーの最年長優勝は、尾崎将司が2002年全日空オープンで記録した55歳241日。「まだ足元にも及ばないけど、55歳の記録を超せるように」と谷口。老け込むつもりは、さらさらない。(松岡祐司)

 

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