インドネシアで自爆攻撃、13人死亡 実行犯一家にシリア渡航歴
インドネシア第2の都市スラバヤで13日、キリスト教会3カ所で自爆攻撃が起き、少なくとも13人が死亡した。警察によると、実行犯は同じ家族の6人で、シリアへの渡航歴があった。
過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。
母親と2人の娘が一緒に教会で自爆装置を起爆させたほか、父親と息子2人が別の教会2カ所で自爆したという。
ティト・カルナビアン国家警察長官は、実行犯一家が地元のIS系過激派組織「ジャマー・アンシャルット・ダウラ」(JAD)に属していたと述べた。
警察によると、一家はシリアから帰国したインドネシア人数百人に含まれていた。シリアではISが政府軍と戦っているが、戦闘に一家が参加していたのかどうかは明らかにされていない。
今回の自爆攻撃は、過去10年以上で最も多くの犠牲者を出しており、負傷者も40人以上に上っている。
現場の一つを訪れたジョコ・ウィドド大統領は、自爆攻撃を「野蛮だ」と述べ、警察に対して「捜査を行い、犯人のネットワークを根絶やしにするよう」命じたと語った。
攻撃はどのように実行されたのか
警察によると、一家の父親、ディタ・オプリアルト容疑者はJAD地元組織のリーダーだった。容疑者は自動車を運転して、妻のプジ・クスワティ容疑者と娘2人を、現場となったディポネゴロ・インドネシアン・キリスト教会前まで連れて行ったという。教会で12歳と9歳の娘たちは、母親と同様に体に巻きつけられた自爆装置を起爆させた。
容疑者はその後、爆発物を積んだ自動車を、スラバヤ中央ペンテコステ教会の敷地に突入させた。
18歳と16歳の息子たちは、バイクでサンタマリア・カトリック教会に突っ込み、所持していた自爆装置を起爆させた。息子たちの自爆攻撃が起きたのが現地時間の13日午前7時半(午前9時半)で、その後、母親と娘2人、父親それぞれの自爆攻撃が5分の間隔をおいて起きたという。
警備員がAP通信に語ったところによると、ディポネゴロ教会に袋2つを持った女が警備員の制止を無視して教会内に入った。
アントニウスと名乗る目撃者は、「突然、女がそこにいた人に抱きついたんです、そうしたら爆発が起きた」と話した。
同じ日にまた爆発
AFP通信によると、13日朝に自爆攻撃が起きた後、スラバヤの集合住宅で爆弾による爆発が起き3人が死亡した。
スラバヤが管轄下の東ジャワ州警察のマハフド・アリフィン本部長は、集合住宅での死者は全員が犯行にかかわっており、犠牲者ではないと語った。
教会での自爆攻撃との関連は確認されていない。報道によると、当局はほかの教会への攻撃計画を事前に阻止した。
警察はさらに、13日に西ジャワ州チアンジュールでJADのメンバーとみられる容疑者4人を殺害し、2人を逮捕したと明らかにした。
インドネシアで過去に起きた攻撃
今回の自爆攻撃は、ISが関与した攻撃の中で過去最悪になったもようだ。ISが初めて犯行声明を出したインドネシアでの攻撃は、2016年に首都ジャカルタで起きた爆発と銃撃による攻撃で、市民4人が犠牲になった。
ISはこのほかにも、ジャカルタに近い厳重な警備がされた拘置所で先週起きた暴動で警官5人が死亡した事件でも、犯行声明を出している。
しかし、イスラム聖戦主義者による攻撃では、さらに多くの犠牲者を出した事件が起きている。
2002年10月には、リゾート地として知られるバリ島で、アルカイダ系の過激派による2回の爆弾攻撃によって200人以上が死亡している。
2005年5月には、スラウェシ島で起きた爆弾攻撃で22人が死亡。その後、半年もたたないうちにバリ島で自爆攻撃が起き、20人が死亡した。
ジャカルタで取材するBBCのレベッカ・ヘンシキ記者は、インドネシア政府によるその後の対テロ取締りは高い評価を受けているが、海外でのIS台頭によって、互いに緩やかにつながった複数のイスラム聖戦主義集団の活動が活発化したと指摘した。
(英語記事 Surabaya church attacks: Indonesian family of bombers 'had been to Syria')