「まずは自分の時間を与えて子どもに向き合う」

注目ベンチャー・ソラコム社長の子育て論(前編)

2018年5月14日(月)

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 「オトコが育児に参加するのが当たり前」の時代に変わりつつある。旬の経営者や学者、プロフェッショナルたちも、自らの育児方針や育休取得についてパブリックに言及することが増えてきた。優秀なリーダーたちは、我が子にどんな教育を与えようとしているのか。また自身はどう育てられたのか。そしてなぜ、育児について語り始めたのか。

 連載2回目に登場するのは、IoT専用のSIMカードを手掛けるソラコムの玉川憲社長。2017年には、KDDIが約200億円で同社を買収したと報じられた。注目企業のトップを務める玉川社長は、3児の父として、ユニークな子育て方針を貫いている。玉川社長の育児論を聞いた。今回はその前編(当連載は、毎週月曜・火曜に更新します)。

玉川憲
1976年大阪府生まれ。東京大学大学院工学研究科修了後、日本IBMに入社し、基礎研究所で超小型コンピュータの開発に携わる。2006年より米国留学し、MBAとソフトウェアエンジニアリングの2課程を修了。アマゾンデータサービスジャパン(当時)に転職し、技術統括部長兼エバンジェリストとして活躍した後、2014年にIoTプラットフォームを提供するソラコムを創業。2017年8月にKDDIによる大型買収を決めたことは大きな話題となった。取材時は42歳。東京都在住。同い年で専業主婦(出産前まで自宅でパン教室を開催)の妻、小学生の長男、長女、幼稚園の次女の5人暮らし(取材日/2018年3月2日、インタビュー撮影は鈴木愛子、ほかも同じ)

ソラコムが“子だくさん企業”であると聞いたのですが、本当でしょうか。

玉川社長(以下、玉川):本当です。僕は3人の父親ですが、35人いる日本オフィスの社員のうち、子どもが3人いる社員は4人。子どもが5人いる社員もいますね。

 元々子だくさん企業だったわけではないけれど、うちに入社してから家族が増えたというパターンが多くて、つい先日も、社員の双子誕生のニュースを聞いたばかりです。

 経営者としてはすごく喜ばしいことだと思っています。なぜなら、社員が「この会社の未来は明るい」と思わなければ、子どもを増やそうという気持ちにはなれないはずですから。社員が会社の成長を期待してくれている証拠だと思っています。

 ただ、一つだけ残念だったことがあって、福利厚生サービスが充実していることで有名なある健保に加入しようと思ったら、「ソラコムさんは子だくさんの社員が多いので残念ながら」とお断りされてしまったんです。割に合わないと判断されたんでしょうね(笑)。おいしい鮨が優待価格で食べられると聞いて加入を楽しみにしていたのですが、その恩恵は受けられないことが判明しました。ただし、これもむしろ栄誉なことだと思って、しょっちゅうネタにしています。

働き方もかなり柔軟なスタイルを徹底しているそうですね。

玉川:勤務する時間は基本的に自由です。朝型の人も夜型の人も、自分の生産性が上がる時間帯に集中して仕事ができる方がいいと思うので。

 あと、社員の皆さんには「満員電車には乗らないでください」とお願いしています。満員電車に乗ると消耗するだけでマイナスなことしかない。僕もラッシュ時間を避けて会社に来るようにしています。例えば今日は朝10時からこの取材だったので、電車が混み出す前の8時前には出社して仕事をしていました。

 毎日11時の全社会議には全員が顔を揃えますが、それでも半数くらいはリモート(遠隔)での参加なので、全員オフィスに揃うことは滅多にありません。働く場所も時間も自由に選んでもらっています。それで、全く問題はありません。

コメント1件コメント/レビュー

理想的な会社だと思いました。
人は職業人である前に人間であるべきだと思います。つまり人生を楽しみ、妻(あるいは夫)と家族を築き、子供を育てるというどんな生物にも共通の一生です。
ところがそうは思っても、サラリーマンの悲しさでなかなか納得できるレベルでは実現できません。やはり経営者となって自分の会社を作らなければだめですね。
あるいは、ご縁があれば玉川氏のところで働かせてくださいっっっ!(笑)(2018/05/14 04:43)

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「「まずは自分の時間を与えて子どもに向き合う」」の著者

宮本 恵理子

宮本 恵理子(みやもと・えりこ)

ノンフィクションライター、編集者

「日経WOMAN」「日経EW」「日経ヘルス」の編集部に所属。2009年末にフリーランスとして活動を始め、主に「働き方」「生き方」「夫婦・家族関係」のテーマで人物インタビューを中心に執筆する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

理想的な会社だと思いました。
人は職業人である前に人間であるべきだと思います。つまり人生を楽しみ、妻(あるいは夫)と家族を築き、子供を育てるというどんな生物にも共通の一生です。
ところがそうは思っても、サラリーマンの悲しさでなかなか納得できるレベルでは実現できません。やはり経営者となって自分の会社を作らなければだめですね。
あるいは、ご縁があれば玉川氏のところで働かせてくださいっっっ!(笑)(2018/05/14 04:43)

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