段ボール箱で保管されている歴史的文書=佐賀市諸富支所

 学校法人「森友学園」への国有地売却問題や自衛隊イラク派遣の日報など、国の公文書のずさんな管理実態が次々と明るみに出ている。文書保存の選別や保存期間といった面がクローズアップされる一方、地方自治体では空調設備が整っておらず、書類の劣化が懸念される例もある。文書の保存管理のあり方がどうなっているのか。佐賀市の事例を見てみた。

 2011年の公文書管理法施行に合わせ、佐賀市は保存期間を過ぎた文書を改めて選別し、「歴史的文書」として永久保存する作業を進めている。文書規定で保存期間を1、3、5、10年、永久の5段階とし、議案や予算書は永久、日報や日誌は1年といった基準で分けている。

 本庁舎の部署が持つ「永久」文書のほとんどは、本庁舎地下の文書倉庫に保管。頻繁に取り出す可能性がある文書は部署ごとに管理するほか、各支所でも保管している。市は16年度、1万2847冊の保存文書を作成、17年度も同規模の冊数を見込んでいる。

 諸富支所では、市町村合併前は町議会会議室だったスペースを保管場所に活用、部屋には5~10冊入った段ボール約100箱を並べて積んでいる。古くて約40年前の文書がある。毎年、十数箱分の歴史的文書を搬入しているが、温度や湿度を管理する空調設備はなく、段ボール箱も保存に適した専用型ではないという。永久文書は紙媒体のほか、電子データで専用ハードディスクにも保存している。

 12年に開設した県公文書館は、保存期間が10年と永久に分けた文書などを保管する。除湿器を備え、温度や湿度を一日2回計測している。明治期はじめ古い文書は、中性紙を使った専用の箱を用意し、劣化を防ぐ管理をしている。1、3、5年の保存文書は各部署で管理している。

 佐賀市総務部は「文書の劣化が進むのであれば、どのような対策があるのかを調査研究していきたい」としている。