(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年5月11日付)

アルゼンチン潜水艦不明、大統領が真相究明命じる 乗組員の生存は絶望的

AFPBB News

 今から1年前、アルゼンチンは世界の投資家のお気に入りだった。

 実際、人気が高いあまり、100年満期という先駆的な国債がわずか7.9%の利回りで消化されたほどだった。過去200年間に8回のデフォルト(債務不履行)を引き起こした発行体だという事実は無視された。

 そこへ、これだ。通貨ペソが記録的な安値に落ち込んだことを受け、マウリシオ・マクリ大統領が5月上旬、国際通貨基金(IMF)に支援を要請した。

 あの100年債も無傷ではない。昨年後半には額面に対して105%の水準にまで値上がりしていたものの、足元では同85%に近い水準で売買されている。

 マクリ政権にとっては非常に痛い話だ。そして、「漸進主義」の改革なら長年の経済の混乱、債務、退潮から脱出できるかもしれないと期待していたアルゼンチンの有権者にとっても、非常に痛い事態である。

 しかし、少なくとも世界的な視点から見るなら、希望の兆しがないわけではない。アルゼンチンの今回の混乱は、2018年のより大きな困難の数々をタイミングよく知らせてくれる警告かもしれないのだ。

 何しろ金融史は、為替レートの乱高下と信用サイクルの転換が組み合わさるときには、レバレッジを利用した企業や団体が露呈し、アルゼンチン型のサプライズがもたらされたりすることを示している。

 この危険な組み合わせの要素の一部が、今まさに現実になり始めている。まず、米ドルの貿易加重平均レート(実効為替レート)がここ3週間で5%上昇した。