2018年5月9日、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯大手3社が新メッセージングサービス「+(プラス)メッセージ」を開始した。SMSの後継という位置付けで、「打倒LINE」と目されるサービスだ。
特徴は携帯電話番号だけでコミュニケーションの相手を指定できること、そして携帯大手3社が同時にほぼ共通のサービスを始めることだ。実現しているのが「RCS」(Rich Communication Services)と呼ぶ仕組みである。RCSが+メッセージをどう実現しているのか、仕組みや背景に迫る。
意外と古いRCS
RCSの歴史は意外に古い。当初はRich Communication Suiteの略称だった。2007年に欧州で業界団体のRich Communication Suite Industry Initiativeが設立され、2008年には携帯電話関連の標準化団体であるGSMA(GSM Association)で仕様策定のプロジェクトが始まった。
それから約10年も後の2018年というタイミングに、なぜサービスインとなったのか。その理由の一つとして投資の順番としてLTEを優先したからと説明する。「RCSとLTEは全然違うものです。ただ革新的な技術なので、投資の順番を付ける必要がある。我々はLTEから始めたということです」(NTTドコモの藤間 良樹 スマートライフ推進部 コミュニケーションサービス担当部長)。
共通仕様を規定するユニバーサルプロファイル
RCSではメッセージングのほか、チャット、VoIP、テレビ電話、コンテンツ共有、プレゼンス情報など、様々なサービスを定義している。ただし、今回の+メッセージでは、メッセージングサービスだけを採用している。
RCSのサービスの技術仕様を定めているのがGSMA発行の「Universal Profile」(ユニバーサルプロファイル)である。これに準拠することで、各事業者の相互接続を担保できる。ただ、複数の事業者が共通のサービスを問題なく提供できる半面、各社独自の工夫を縛る面もある。
+メッセージは従来のSMSに比べ、送信できる文字数が大きく増え、写真や動画も送れるようになったことが売りだ。送信できる内容は、テキスト・絵文字が最大全角2730字、写真・動画が最大100Mバイトとなっている。これは、ユニバーサルプロファイルでの推奨値を採用したものだ。
「3社で同時にサービスを始められるように、できるだけRCSの仕様に準拠したいと考えていました。このため、独自仕様を盛り込むのを諦めたこともあります」(NTTドコモの戸部 章子 スマートライフ推進部 コミュニケーションサービス コミュニケーションサービス担当課長)。
さらに、仕様で定めていない部分の調整についても苦労したという。「そういった部分を、私たちは“方言”と呼んだりします。細かいところの自由度は結構あるんです。そこをきっちり合わせる必要がありました」(戸部担当課長)。
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