紅白歌合戦、誘致合戦、雪合戦……と「○○合戦」は今も普通に使われるけど、同じような意味を持つ「○○くらべ」を見ると、たけくらべ、かけくらべ、せいくらべのように、文学や童謡の中にしか見当たらない。
大人も為す「合戦」に対して「くらべ」はそのほとんどが子供の遊びだったのだろう。その相手は兄弟だったり近所の子供だったりした。けれど「くらべ」遊びは、一度やればその大小関係は代わり映えしないものだ。「くらべ」遊びはそれが楽しかったからというよりも、それくらいしか遊びがなかったのだ。
そこにやって来たのが雑誌文化であり、決定的になったのがテレビという文化なのだと思う。同じ番組を見ている日本中の子供たちとの「くらべ」遊びが始まったのだ。いわんやネット社会においてをや。
「○○くらべ」は廃れたが、誰かと比べて云々という文化は廃れることはないのだ。