森友学園を巡る財務省の決裁文書改ざんや自衛隊イラク派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)などを受け、沖縄県公文書館で保管や収集、調査研究にあたるアーキビストの仲本和彦さんが11日、日本記者クラブで会見し、記録管理院の創設などを提言した。「安倍おろし」に問題を矮小(わいしょう)化せず、公文書の記録管理について国民的議論をするよう訴えた。
仲本さんは1997年から9年間、米国立公文書館で資料調査を行い米国の公文書管理に詳しく、会見に招かれた。
会見で仲本さんは「公文書管理法ができたが問題は解決できていない。抜本的な改革をしていかないと問題はなくならない」と指摘。改善策として①公文書の定義を「組織で共有」に限定しない②独立した記録管理院を創設③レコードマネジャーの配置④罰則規定を設ける―の4点を提案した。
米国公文書館には沖縄戦の部隊の作戦報告書が4、5千冊あるが、日本軍の資料は防衛研究所に300冊しかない点も挙げ、「自衛隊の日報の保存期間が1年だったと在日米軍が聞いたら驚くだろう」と認識の差を伝えた。
米国では国家戦略として、100年後でも読み取れる電子記録の保存方法の構築などに取り組んでいると紹介。米国の公文書館でも保存率は数パーセントとし「米国では官報に載せてパブリックコメントを諮り、理由を説明して捨てる。捨てることを問題視しているわけではない」と、政府や国民が考え方を共有するよう呼び掛けた。