2018年5月11日 19:09
カドカワは10日、2018年3月期の通期決算を発表した。運営する映像サービスniconicoの機能強化と収益改善策に関しては、新サービスを夏休み前に開始することや、“投げ銭”のような都度課金の導入、オリジナルゲームの年度内投入などを挙げている。
同社の通期連結売上高は2,067億円(前年度2,057億円)、営業利益は31億円(同84億円)の増収減益となった。niconicoを含むWebサービス事業は、売上高290億円(同312億円)、営業利益は10億円の赤字(同28億円の黒字)。ライブは増収だったが、ポータル、モバイルの有料会員数減少が続き減収。営業利益のマイナスは、有料会員数の減少や新サービス投入の遅れなどが要因。
3月末時点のniconico実績は、ID発行数が7,222万人、プレミアム会員数が207万人。ニコニコチャンネルの月額有料会員数は68万人。2月28日にニコニコ動画が「会員登録・ログイン無し視聴」に対応後、MAU(月間アクティブユーザー)とDAU(1日のアクティブユーザー)は大きく成長。1~3月の平均値はログインMAUが881万人、ログインDAUが298万人だが、3月はログインUU+動画非ログイン視聴UUを合わせたMAUが1,754万人、DAUは328万人となっている。
niconicoのサブスクリプション(定額制)モデルについては、プレミアム会員数が2016年3月時点の256万人から毎年減少を続けている背景として、システムの陳腐化や、会員減少のニュースによる解約助長、定額制課金サービスの限界を挙げている。2019年3月期のプレミアム会員数は201万人を予想している。
今後の方策としては、niconico(く)やnicocasなどの新しいサービスを夏休み時期の前にサービスインすることや、システムの根本的な強化により「niconico誕生時と同等の改善スピード」の実現、“投げ銭”システムやゲームなどの都度課金の導入、広告収入の強化を進める。
インフラ改善については、インフラの仮想化や、動画/生放送のトランスコードを専用ハードウェア化することなどによる画質向上、ネットワーク帯域を1,400Gbpsへ増強(現在は730Gbps)を予定。インフラコストは'18年度の50億から、'20年度は33億円へ段階的に削減するという。
niconicoのゲーム戦略として、オリジナルゲームや、ニコニコと連携したゲームを年度内にサービスインする予定。都度課金などの導入により、プレミアム会員数に依存しない収益要素の強化に取り組む。
成長分野については、バーチャルYouTuber(VTuber)市場について「今年以降、VOCALOID以来最大のネット文化のムーブメントが見込まれる」とし、niconicoで番組の充実や、クリエイター/ファンからの収益、VTuberのマネジメントなどにより収益機会を拡大。技術とユーザー基盤の活用で市場成長を加速、収益の囲い込みを図る。