現在、下の画像(※)が話題になっています。既にさまざまなところで話題になって取り上げられていますが、このブログでも改めて取り上げてみたいと思います。(※本当はこの記事10日前に書き始めたんですよ…。その時はまだネット上でしか話題になってなかったんですが、忙しくって書きかけで放置していたら新聞やテレビでも取り上げられてた)

(※問題のイラストは、もとになった写真の権利者であるセーブザチルドレンの要望に基づき転載を中止しました)
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シリア難民を揶揄するこの画像は、差別主義だとしてインターネット上で大きな話題となりました。このイラストを描いたのは「はすみとしこ」という漫画家だそうで、彼女のfacebookページにはこのような根拠不明なコメントが添えられています。
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>>ってか、あのシリア難民?ほとんど「移民」だろw

一体何を根拠に言っているんだ、こいつは!?
 
よくもまあここまでわかりやすい「ヘイト」をまき散らせるものです。シリア難民のほとんどが「移民」だなんて、彼女はシリアの現状を全く知りもしないのでしょうか。アサド政権、自由シリア軍、ヌスラ戦線、「イスラム国(IS)」が入り乱れる内戦となり、空爆も行われ、多くの人が家を追われているこの現状を知りもしないのでしょうか。

「不幸にも溺死してしまった自称シリア難民のお子さん」とは、アイラン・クルディくんのことでしょう。このはすみとしこが言っている「トルコ在住家族」云々は、どうやらこのThe Muslim Issueというサイトが書いた記事が基になっているようです。このサイトを読んでみると、「父親が3年間トルコにいた」という情報や、ボート上で起こったことに関する彼の証言がインタビューにより異なっている、ということから勝手に推測しているようです。はすみとしこは恐らくこの記事内容をそのまま鵜呑みにしたのでしょう。もし父親がボートに乗っていなかったのなら、どうして父親は入院していたんですかね?

このThe Muslim Issueというサイト、憎悪を煽るような記事の表現もさることながら、他の記事を見てみると、イスラム教はサイコパスを作るなんて記事があったりしますので、どうもヘイトをまき散らす悪質なサイトのようです。海外版「ネトウヨ」が作ったサイト、ということでしょうね。

このサイトでは彼がトルコに移り住んだ3年前はまだISISが出現していなかったということから、彼が戦争から逃れてきた難民ではないと決めつけていますが、シリアの内戦は2011年1月に始まっています。彼のトルコ移住後の経緯も既に報道されています。

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Wall Street Journal

そして、このはすみとしこは、Japan Timesのインタビューに対し、厚顔無恥にもこのように答えています。

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facebook

もうあまりの酷さと、自分を肯定する醜悪さに目も当てられません。

>>私は常々今回のシリア難民は
>>「なりすまし難民」ではないかと考えています。
>>本来ならば裏口から入ってくる不法移民が、
>>堂々と正面玄関からどっと押し寄せているのだと。


自分の勝手な思い込みで、難民に対してよくもまあこんな卑劣な言葉を投げつけられるものです。

>>シリア難民の報道や写真を見ますと、
>>身体が丈夫な働き盛りの男性が多く目に映ります。
>>彼らは祖国を良くしようと戦うことを放棄し、国を棄て、
>>より安全で快適な生活を求めて
>>「可哀想な難民」を装っているのだと思います。


戦争の被害者に対して「祖国を良くしようと戦うことを放棄」したと罵声を浴びせ、国を追われたことを「国を棄て」たと非難する。

なぜこんなことができるのか、自分が戦争に巻き込まれたら、なんてことを考えないのでしょうか。ただ平和に暮らしたい人が内戦から逃げて何が悪いのでしょうか。それとも、体が丈夫な働き盛りの男性は、戦争になったら逃げずに戦う義務でもあるのでしょうか。

まして、シリアで起きているのは他国から襲われたのではなくシリア人同士の内戦です。IS(「イスラム国」)は外国人勢力も大勢いますが、シリア人も大勢いるわけです。ただ安全に暮らしたいだけの人まで、アサド政権か反政府組織かに加担して戦争をしないといけないと言うのでしょうか。はすみとしこ氏の言うことは「一億玉砕」の発想と何ら変わりありません。

>>彼らは難民として移動するのに違法ブローカーに大金を支払っています。
>>そういう記事を9/18付けの読売新聞で読みました。
>>彼らは元々無一文だったわけではないのです


当たり前である!!

本当に無一文だったらシリアから逃げることも出来ません。難民として欧州に行ける人はまだ金がある人で、無一文の人はシリアに留まるしかないのが内戦、そして難民というものです。事実、現在家を追われたにもかかわらず、難民になることさえできずにシリア国内で避難生活をしている人が760万人もいると言われています。彼女はそんなことさえ理解していないのです。

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(↑NHK『クローズアップ現代』10月13日。
 UNHCR(国民難民高等弁務官事務所)のデータに基づいた避難人数)


こんな無知と無恥を晒して、彼女は自分のイラストの意図をこう説明します。

>>私は従来の、本当に不幸な難民を否定しているわけではありません。
>>そういう本当に不幸な人たちへの注目を利用して、
>>自分らに利する行動をとっている「なりすまし難民」を否定しているのです。
>>当該イラストはそれを揶揄したものです。


デタラメもいいところです。

彼女は「『なりすまし難民』を否定している」と言っています。彼女は「体が丈夫な働き盛りの男性」を「なりすまし難民」と考えているはずなのですが、それを揶揄するために少女のイラストを利用するという矛盾に本人は気が付いていないのでしょうか?

しかも、この少女のイラストは、レバノンでシリア難民となった6歳の少女の写真が基になっています。

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元の画像

欧州を目指す金がある「体が丈夫な働き盛りの男性」を「なりすまし難民」だと揶揄するために、レバノンの難民キャンプにいる6歳の女の子の写真を利用するという醜悪な矛盾。

こんな矛盾を犯しておきながら、はすみとしこは厚顔無恥にもこう続けます。

>>作品の本心を理解できない方がたくさんいらっしゃいますが、
>>私はそんな物事の本質を見抜けない人達を残念に思います。


難民問題の「本質」を理解できない人が何を言っているのか。

しかも、世界中のどこにも、あのイラストを見てはすみとしこが言うような内容を読み取れる人はいないでしょう。

そして、このイラストを非難した人は、作品の本質を理解したからこそ批判しているのだと思います。もちろんその本質とは醜悪な差別意識です。

基となった写真家からの苦情により、現在この画像そのものは削除されていますが(つまり著作権問題で削除しただけで、イラストの主張に問題があったとは欠片ほども考えていない)、はすみとしこを批判するコメントがある一方で、無知を丸出しでイラストを称賛するコメントも多く寄せられていました。
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(↑一緒になって難民を中傷する人たち(とはすみとしこの無恥なリプライ))

こういうものを見た外国の人が日本をどういう目で見るか、想像に難くありません。日本の評価を貶めているのは、彼らのような自称愛国者たちでしょう。

余談ですがこのはすみとしこはFBページ「安倍総理を支える会」の管理人の一人でもあります。これまで私がみてきた所謂「ネトウヨ」と呼ばれる人や、今回の難民中傷イラストに賛意を示している人は、一人の例外もなく安保法案支持で安倍政権支持です。「安保支持・安倍政権支持⇒ネトウヨ」ではありませんが、「ネトウヨ⇒安保指示・安倍政権支持」であるという事実は一考に値すると思います。

はすみとしこのこの中傷イラストに対する差別意識は、さらに日本のマイノリティーにも向けられることになります。次回はそれを紹介したいと思います。

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