3月8日・9日とラフォーレ原宿で「高野口産地素材展ぷわぷわ7」が開催された。
二日間とも会場に詰めていたのだが、展示物の中では参考出品された「手帳カバー」が最も販路を拡大できる可能性が高いと感じている。

今回はサンプル製作のみなので売価すら決めていないのだが、展示する際に「阪急電車」「新幹線700系」「新幹線N700系」「大阪府議会議場」「国会議事堂控室」などと表示したPOPを添えた。

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(阪急電車)

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(新幹線700系)

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(新幹線N700系)

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(国会議事堂控室の椅子張り)

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(大阪府議会議場)

何のことやらわからん来場者も多数おられたが、説明すると皆一様に驚き、納得された。

和歌山県に弘法大師で有名な高野山がある。
高野山のふもとの地域を「高野口」と呼んでいる。
ちなみに「コウヤサン」であり「コウヤグチ」である。決して「タカノ」ではない。( ー`дー´)キリッ
この「高野口」ではフェイクファーやソファーの外側に貼るモケットや金華山織りという生地を長らく製造してきた。
そして、電車やバスの座席の生地も製造してきた。

それが「阪急電車」であり「新幹線700系」「新幹線N700系」である。
もちろん「大阪府議会議場」のソファーや「国会議事堂控室」のソファー生地も製造している。
サンプル化されずに生地だけPOPとともに展示されていたが「衆議院会議場」のソファーや御皇室の馬車の座席に使われた生地なども製造していた。

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(衆議院会議場)

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(皇室馬車用その1)

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(皇室馬車用その2)

産地の中と近隣はこうした背景は知られているが、展示会を開催するたびに、まだまだ知られていないことを痛感させられる。
知られていないということは産地側のプロモーションと告知がこれまで足りていなかったということである。

このような背景を持つ生地で「手帳カバー」をサンプル作成したというわけだ。

作成してみて、これは意外にも「産地製品」として通常の店舗で販売できる可能性を大いに秘めていることに気が着いた。

その利点を箇条書きで挙げてみる。

1、生地の色柄を開発しなくても良い
2、生地そのものにストーリー性がある
3、パターンやシルエットやサイズの工夫をしなくて良い
4、デザインもあまり考慮しなくても良い
5、縫製が比較的簡単である
6、季節性がない(通年で販売できる)

ということになるだろうか。

これまで生地産地が「製品化」を目指したときに、上記の条件がネックとなって結局プロジェクトが瓦解することが数多くあった。

まず、生地製造業の親父さんたちはデザインができない。
色柄を独自に作ってはいるが、デザインしているのではなく「実験」しているのである。
中にはヒットすることもあるが、大部分は製品化されない。

色柄のデザインもできなければ、衣料品や雑貨のデザインもできない。

こうした機能は今までアパレルやブランドのデザイナーに任せてきた経緯がある。
ブランドのデザイナーの支持通りに生地を製造し続けてきたので、デザインができないのも無理はないのである。

話は飛ぶが、近年、愛媛県の「今治タオル」が産地ブランドとして徐々に知名度を高めている。
今治タオルが幸運だったのは、生地製造産地ではなく「タオル」という製品を製造する産地だったことがある。
もちろん製品のデザインをグレードアップし、プロモーションする必要はあるが「当産地の生地を使ってどんな製品を作るか?」をわざわざ考える必要はなかった。

これは岡山・広島のジーンズ産地にも同じことが言えることだろう。

逆に奈良の靴下産地や肌着産地は同じ境遇にありながら、製品の産地ブランド化は手つかずであり、さすがは「奈良の大仏商法。のんびりしたはりまんなあ~」と感じないではいられない。

今回の手帳カバーだが、店頭に売るにはもう少しだけ工夫が必要だが、
基本的にはこれで十分だろう。

展示会場に来場した某国会議員も「これは国会議事堂の土産物屋で売れるわ。交渉の窓口になったる」と激賞していただいた。

そうなのである。
通常の百貨店や雑貨店への販売も良いが、この手帳は国会議事堂の土産物屋でも十分に販売できる要素がある。さらに鉄道マニア御用達店でも「阪急電車」「新幹線」などは販売ができるだろう。
ここには展示されていなかったがバスシートを作っている会社もある。バスの手帳カバーも可能だろう。

かなりの可能性を秘めている。

高野口産地の念願だった「製品化」への糸口が見つかった。
ぜひとも早急にまとめていただきたい。